50 大仁城山
JO-YAMA
概要
南壁のマルチ、ワイルドボア周辺など各所でクライミングが楽しめる。岩質は凝灰岩で、エリアによっては固く(というかポケット主体なので剥離が考えにくい)、エリアによっては脆そうだが、キーホールドはシカーで固めてあったりもする。固そうに見えるエリアは脆い部分があらかた欠けて安定したものと考えられ、あまり触られていないエリアやエリアの端のルートの脆さがこの岩場の真実だと思った方がよい。フリクションはかなりよく、石灰岩やチャートのハングに比べて雑に足置きができるので安心感がある。花崗岩はフリクションはあるもののハングは少ないので、フリクションのよい前傾壁のエリアとして貴重な岩場といえる。また、ボルト間隔が常識的でスポーツクライマーに人気が高い。
交通
ワイルドボアは基本的に車でのアプローチとなる。頑張れば駅から歩ける(1時間30分くらい?)。南壁は駅からアプローチ可能な距離(40分くらい?)。
インナーウォール3
リバイアサン(5.13a)★★☆☆
2024/03/10 4日11便RP
城山の隠れ名課題。ロケーションは5つ星で、一瞬ではあるがポコチン壁、二間バンドの傾斜を超えたルーフクライミングを楽しめる。4年前に触った時は話にならず、A0で抜けたことを覚えている。今回、長年の宿題であるスーパーチューズデーが濡れていたので試しに触ってみると、意外にもバラすことができた。当時は一緒にパートナーを組んだ三段クライマーも苦戦しており、二段くらいあるだろうな~と想定していたが、完登してみると1級~初段くらいの体感に落ち着いてしまった。このルートはショートハード系ではあるが、核心の途中でクリップする必要があり、リードクライミングらしさも備えている。そして、よくある1箇所が猛烈に悪い課題ではなく、初手から最後の1手まで、6手に渡って同じような強度で、かつ全くの均一強度ではなくムラがある。最後の1手がランジなのも気持ちが良く、極限まで集中した会心のクライミングができた。傾斜があり過ぎてリバイアサンのクライミングシーンを回想すると平衡感覚がなくなってしまうほどで、多くの人がトライする価値のある傑作だと思う。個人としては、シーズン内3日10便で完登することができ、体感としても初段5.13a、二日目のヨレた状態でのRPということで、来る5.13a/bのルーフクライミングに向けて期待が高まる結果となった。最後に、いつもこんな辺境クライミングに嫌がる素振りも見せず付き合ってくれるパートナーに心から感謝を示したい。
気になること:
このルートはチッピングしている(と思う)箇所が2つある。1つは間違いなく、1つは疑惑が残っている。ルート開拓でホールドの造作を行うことに関して、肯定も否定もしないが、ありのままの自然を登ることが外岩の醍醐味なので、そこに人の気配を感じさせるような処置はしないでほしかった。私が明確に反対、否定しているのは、初登後のチッピングやグルーイング、安全管理のために岩を剥がす行為で、そんなことするならクライミング辞めろよ、と強く思う。
以下ムーブメモ
左手ピンチを右引きで右手ブロックガバでクリップ
左手ピンチを左引きに切り替えて右手超穴ガバでスタート
鬼体感で耐えて左手ポッケ(上引き。下引きは向きが悪い)
足を切って左足を柱状ホールドの上側の四角いスタンス(かなり上側なので体勢がキツイが、何もなさすぎるのでこれが一番引っかかる。足を切った時の振られが半端ないので、1回引っ掛けて振られを抑制し、2回目で止める)、右足を三日月状のスタンス、左足を切ってフラッキングで左手シッカーガバにランジ(チッピング疑惑のドリル跡を中指でバッチリ嵌める)。
右足を少し窪んだスタンスで左足を柱状ホールドにトゥ(左引きで効かせる)、重心を左側に寄せてクリップ。右手をシッカーガバの少し上の欠けそうな三日月カチ、左足をあげて右足を顕著なスタンス、右足をキョンで右手を縦穴ガバ、左足をクロスでスタートの超穴ガバに踏んで、リップのブロックガバにランジ
6手初段
その後は易しいが、傾斜があり過ぎてムーブを覚えないとハマる。RP時は落ちるかと思った。
アプローチについて
ワイルドボア壁とポコチン壁の間に、右上するようにフィックスロープが張られている。中間支点が打たれている箇所まではトラバース、そこから直上する。直上後の最終支点は古いボルトが1本だけなので、フィックスに全体重を預けるような登り方は危険だと思う。慣れると、手足だけで登降できるようになる。そこから少し歩くとインナーウォール2の基部沿いにフィックスが張られているので、頼りにしながら奥まで詰める。樹木が大量に生えており、地面というよりは樹木を踏みながら登っていく。終点までたどり着くと、リバイアサンの取り付きまでトラバースできるフィックスが張られている。これは私が設置した。長めのセルフを2本用意して掛け替えながらトラバースすれば、万が一があっても死ぬことはないと思う。慣れれば手足の力だけでトラバースできるが、岩は脆く、高度感があり、パートナーには相応の負担がかかると思う。取り付きには終了点が打たれており、下降時は自分のロープをフィックスしてロワーで降りることが可能だ。一度設置すればグリグリを使って登降できるので、登りもこちらから直登した方が楽かもしれない。直登のグレードは5.5くらい。トラバースは5.4くらいだが怖い。トラバースフィックスはインナーウォールのルートにもろ被りしているので迷惑かもしれないが、過去6年間登っている人を見たことがないので、勝手ながら設置させていただいた。
ワイルドボアゴージ
①ジャーニーオブホープ(5.10c)★☆
2019/01/19 2日5便RP
1年前は登れなかったが、今回は1便で登ることができた。下からは見えないが、ボルトが全部で5本あり、そこそこ充実する。印象としては、二子山広場エリア⑭高くのぼれ(5.10b)の進化バージョン。
以下ムーブメモ
上部の左ナナメカンテの処理が核心に見えるが、本当の核心はその上の垂壁にある。アンダーカチを右手から左手に持ち替え、明瞭なポッケに立ち込めるか。その先もガバを期待してしまうが、あまりかかりがよくないホールドが続く。
②ファンタジーランド(5.10b)
2020/04/17 2日2便MRP
2年前に話にならなかった課題を2年越しに回収。縦ホールドを嫌なバランスで登っていく。要所要所ランナウトしており、取り組むにはある程度グレードに余裕が欲しい。5.11前半だとアップにはならないだろう。内容も星はつけれらない。
⑥トゥエルブモンキー(5.12b→5.12a)★★☆
2019/02/24 2日6便RP
この周辺の瞬発系課題の中では頭1つ抜けて面白い。上部が簡単すぎるのも逆に潔くてよい。出だしから悪いが、これはさすがにプリクリップが前提だと思う(下地がどんどん下がっているようで、初登時は直登していたが現在は右側から登るクライマーが多い。リーチがあれば直登も可能のようだ。)。瞬発系といっても1手モノでなく、室内ジムのような複数手あるボルダー課題が長きに渡って続く。数多あるムーブの難解さに加え、クリップの難解さが組み合わさった特徴的な課題構成に星3つをつけたい。なお、終了点直下のガバはきれいに亀裂が入っており、いつか丸ごと剥離すると思う。
以下ムーブメモ
力が吸われる面ホールド2つをそれぞれの手で保持して、左手でデッド(5級)。スローパーながら微かにカチっぽいとっかかりがあるので位置を覚えよう。また、デッドを成功させるには右足のスタンス選びが鍵となる。やや右に迂回しつつライン上のガバにトラバース。大休止の後、少し上がって3ピン目を左手アンダーでクリップする。このクリップ動作自体が1つのムーブを構成しているのが興味深い。4ピン目のクリップも甘いホールドでのギリギリクリップとなり、さらに5ピン目も⑦と同様で、限界グレードの場合は薄被りを乗越してからクリップすることになるため、ランナウトする。3ピン目の後、上部のホールドを右手、左手の順でマッチする。足の位置を調整したら、右へトラバース。そこから一連に続く縦ホールドをうまく処理できるか(全部で4級)。最後は右手を上方のフィンガーカチに飛ばして耐え、左上にあるガバへ左手デッド。ダメだしでカチを中継してガバへ右手デッド(全部で4級)。
追記:パートナーのビレイをしていたら、全部スタティックに登っていて驚愕した。全くもって瞬発系ではない(!?)
⑧オレゴン魂(5.12b/c)★★
2020/12/26 6日23便RP
クライミング復帰後初の限界グレード。最初の2日は全然違うホールドを使って登ろうとしてしまい、全くの無駄だった。ムーブの解析は得意だと思っていて、昔のパートナーからもそのような評価をもらっていたため、うぬぼれてしまっていた。また、型に嵌めようとする性格があり、そのせいもあって全ての行動がルーティン化し、成長が止まってしまったのだと思う。これからは、もっと視野を広く持ち、精神的、肉体的に新しい刺激を日々与え、マンネリ化しないよう気を付けようと思う。
ルート構成は2級の激しいボルダリングから手数の多い4級、最後にスラブを登る。最後のスラブは易しいはずだが濡れていると泥が表面化し、足が滑ってしまう。乾いていると泥があってもフリクション抜群で気にならなかったが、やはり水の通り道だとシーズンが限られる上にこのような弊害があるのだと知った。内容は3つ星だが前述の理由により2つ星とする。また、自分の中のルート終了点の4級核心後に3回落ちてしまい、1回は雨天だったので仕方がないが、乾いた状態で2回落ちてしまったのがショックだった。登れた理由はいつもよくわからないが、落ちた理由はいつも明確だ。難しくないところで落ちてしまう当たりが限界グレードともいえるが、4級核心の安定度、その日の4便目で完登できたことを鑑みグレードは据え置きとする。また、2級核心からの4級核心では練習すればこなせてしまうのが事実だ。河又のおもらいが登れたので、もはや取り組む価値もないと思っていたが、結果的にどんな理由があるにせよ6日23便という限界グレード並のトライをしてしまったので、上が簡単だろうが何だろうが完登しない限りはどんなことも決めつけることはできないのだと思った。
以下ムーブメモ
出だし下側のホールドを左手、右手で保持。左上の気持ちよいカチを左手、足を大きくあげて右手スローパー、左手スローパーで左奥のガバにデッド(4手、6級)。クリップ。適当にこなしながら2ピン目クリップ。外傾ガバを左手、左足、右足(右側の顕著な棚)をあげてアンダーの上側を普通に右手で持つ。左上の薄カチを左手。クリップ(左足をトゥが効く部分があるのでうまく効かせて体を壁に近づける。)。右足を少し上げて右手をアンダーに切り替える。左手をシェイクした後、ハングのカチに右手デッド。右足を大きくあげて左足トゥで左手円形薄カチ、右手を右上のなんともいえない穴に飛ばし(親指で押さえつけ、次のムーブで右に振られないようにする。)、左足をあげて縦ホールドに左手デッド。右手を右上の穴に飛ばし、左足を顕著なスタンスにあげて穴ガバへ右手デッド(6手、2級。ランジにはならなかった。)。左足穴。右足スメアでクリップ(右足を顕著な穴に入れないよう注意。繋げるとクリップが難しい。)。薄スローパーへ左手デッド。右手ガバカチ、左手ピンチで右上のガバへ右手(左足がはっきりしているので右足は適当。クリップはしない)、左の薄スローパー(さらに悪い)へ左手は出さず、そのまま右足をあげ、左足をボルトの左の窪みにうまく踏んでトゥ効果を期待(切れてもOK)し、ガバへ左手デッド(5手、4級)。次のクリップポイントである右上のガバアンダーを掴むまで、右下の縦ホールドはガバのように掴めるのでそのように。スラブは濡れた場合は難しくなる。足がちゃんと穴に入るので左足を突っ込んでしっかりレストしよう。
⑦OVERDRIVE(5.11d→5.11c)★★★→☆☆
2019/01/26 2便RP
ボルト5本に渡ってボルダー5~6級くらいのムーブが永遠と続く。ミニピンチをつまんで上部のホールドを取りにいくところが一応の核心だが、薄被りを乗越すまでロクに休むことができない。乗越しの5ピン目はクリップできるくらいのホールドはあるものの体勢が悪く、限界グレードの場合は乗越した後の明確なスタンスに立ちこんでからクリップせざるをえないため、多少ランナウトする。その後も絶妙に配置されたボルトに導かれながら直上していき、最後までランナウトを楽しむことができる。乗越した後のフェースはおおよそ5.10cくらいで、ルート全体のグレードには作用しない。5.11aくらいあれば緊張感があって面白かっただろうが、序盤の5.11cのセクションに対し5.10cでは多少緊張するものの冗長的な感が否めない。また、フェースは左に逃げてしまいがちで、ルートが最長になるよう無理に直上しようとしている感じもあり、星3つにはできなかった。印象としては、天王岩上の岩場㉖ミンミンの劣化バージョン。
追記:2年ぶりに登ってみると、同じ強度がずっと続き、クリップも簡単でも難しくもなく、PUMP2のような消耗するようなクリップで腕がパンプし、最後のガバ取りで落ちたのがとても楽しかった。古いトポやロクスノでワイルドボアいちの高評価だったのも納得できた。白妙橋のナビの解説で、「中間部でレストせずに登ると充実する」というコメントがあり、当時は意味がわからなかったが、なるほど、これを中間部でモンキー側に寄らずクラックを真っ直ぐ登れば確かに充実するな、と納得した。
追記:記事では限界グレードではランナウトと書いたが、限界グレードでもきちんとクリップして核心に突っ込むパートナーがいた。下からクリップすると疲れるが、ランナウトすると緊張して体の伸びが悪くなることもある。自分は5.12aくらいから、なりふり構わずクリップ飛ばしやヌンチャク延長で無理やりRPしてきたので上記のような書きぶりになってしまったが、最近はあまりそのような乱暴な登りはしなくなった。というか課題が難しすぎて小細工が通用しなくなってきた。
追記:完登してから4年が経ち、改めて城山3部作を眺めてみると、どのルートも顕著なクラックが走っていることに気付いた。クラックはルートのラインを示す明確な地形である。カンテもやはり明確で、3つ星や4つ星になっていることが多いが、カンテ限定だとか言われ、限定課題が生まれてしまう可能性がある。クラックはこの点、クライミングにおいて最も尊重されるべき岩の特徴であり、クラックの形状で様々なムーブが生まれ、限定などのネガティブな印象が薄く、どれも人気課題になるのかな、と思った。
⑪ジゴロ(5.11b/c→5.11c)★★☆☆
2019/01/19 2日5便RP
大人気持久系課題。1年前は登れなかったが、ワンデイで登れて成長を感じた。スローパーガバが連続するものの、ホールドの間隔が遠く核心にたどり着くまでに消耗してしまう。明確な核心は1箇所だがその後もいやらしく、どこでも落ちれてしまう。無事切り抜けた後は終了点で安定でき、景色の良い眺めを味わうことができる。文句なしの4つ星課題だと思う。
この課題を触った時に初めて、フリークライミングを全身で味わっているような感覚を得た。具体的には、ハングドッグ中の地面の景色がこれまで登った課題とは明らかに違った。
以下ムーブメモ
核心(5級)は正対保持からの右手V字クラック保持からの正対引きつけで左手ガバを掴むところ。正対ばっかりで疲れる。最後の乗越し手前は6級ぐらいだが、手順、足順をきちんと覚える必要があり、これだけ消耗した後だと焦ってしまいなかなか完登することができない。
⑫ジャンバラヤ(5.11c)★★★→☆☆
2019/01/26 2日3便RP
こちらはジゴロと違って瞬発系課題となる。一見持久系に見えるが、上部までは凹角でステミングして登れてしまうので、ホールドは細かいがほとんど消耗することはないと思う。核心部だけで捉えると3ピン課題となる。ガバトラバース、フィンガーのムーブが面白くそれぞれ星をつける価値があるが、下部のアプローチ感もあり星3つには届かないと感じた。
以下ムーブメモ
核心は6級のガバトラバース(左足ヒールで直接右上のガバを取れる)から間髪入れず5級の左手デッド、数手挟んで5級の左手フィンガーを保持するところ。
追記:久しぶりに登ってみると核心の強度がかなり低く感じたが、周りのクライマーの感想を聞いてみると、やはり5.11cで適正のようだ。グレードが離れれば離れるほど、正確な難しさがわからなくなる。
⑬モンキークライ(5.12c→5.12a)★☆
2020/04/26 2便RP
第1核心から、レストできそうでできないクリップポイントを挟んで第2核心へ。典型的な星2つ課題だと思う。
以下ムーブメモ
ジャンバラヤ側のホールドでクリップして、右へトラバース。右手カチから見本のようなスーパーガバポッケを左手、縦ホールドを右手で頑張って足をあげる。3手4級。消耗するクリップをこなし、側対で上部のカチを左手、右側のカチを右手、足あげて縦ホールドへ右手を飛ばし、ガバへ左手デッド。3手4級。右側のガバでクリップ、両手のレストを行い、第2核心へ。右手を右上のリップへ、足をあげてリップ右上奥のガバ。左足を手に足で左上の横カチを左手で保持、右手を左上の縦引きできるホールドに飛ばし、顕著ナガバへ左手デッド。5手5級。マントルして終了点へ。
⑮ドカジャ(5.11b)★★→☆
2020/11/21 2日2便RP
シーズンを越えて完登。宿題は残すものではないと思うが、それと同時に登れるとわかりきっている課題を2便、3便かけて登ることの意味を考えてしまう。やはり、クライミングはオンサイトと執念のレッドポイント、この2つに価値がある。しかし、便数をかけすぎても精神衛生上よくないので、適度に折り合いをつけてクライミングを楽しもうと思った。シーズンの間に成長しない自分に嫌気がさし、半年クライミングから遠ざかってしまった反省もある。課題は4級のボルダリングといえる。核心スタートの棚ガバまではやや難しいというか、オンサイトなら思い切りが必要。そこで最終クリップを頑張ってこなし、核心へ。棚ガバから左上にかかりのよいカチがあるので左手で保持し、乗越す面にわかりにくいがかかりのよいカチがあるので右手で保持、最後はダスキン多摩の面に素晴らしいポケットがあるので左手で保持し、体をあげる。最終クリップ前後を含めて4級くらい。
⑯カルカッタ(5.10c)★☆
2019/01/26 1便MOS
オンサイト向き。1ピン目は遠いのでガバホールドを期待したが、ガバはなかった。終盤の小ハングからの大ハングが核心。小ハングは左と右の2つライン取りが可能で、オンサイト能力が試される。大ハングは見たままルートの弱点を突けば左上することになる。そうするとやはりその先に終了点がある。
⑰ロングディスタンス(5.10d)★☆☆
2019/09/11 5便MRP
素晴らしいルート。出だしが核心で後は作業のように思うが、最後の最後まで緊張する。全体的に乗り越しに必要な上部のカチやかかりのよいホールドがなく、パワーとバランスを使って登っていく。第2核心の顕著なハング越えは、手はガバホールドだが、ルーフ上になっているため足をかけるところがなく、これもまた前腕に頼った登りになる。核心以外は5.9~5.10aでそれほど難しくないが、スラブまたは垂壁、ところによっては少し被りを感じる箇所があり、最後まで全く気は抜けない。登り切ったときの充実感はひとしおで、ルートクライミングをやっていてよかったと思った。ボルトは17本。ヌンチャクは16本でどうにか足りた。60mロープを使用し、⑱の終了点までロワーダウン、そこから懸垂で降りた。
以下ムーブメモ
出だしの核心(5級)は、縦ガバを右手(逆手)で保持して、上部の親指のかかりが浅いピンチを保持(足の位置が重要)したら、右手をカチまたはそのへんのスローパーで耐えて、上部右上の小さいガバに右手デッド。その後のマントルもよいホールドがなく、パワフルに乗越す。
⑲クロスロード(5.10a)☆☆
2018/04/01 1便MFL
出だしはやや左からトラバースして1ピン目をかけるが、⑯よりもホールドは悪いので要注意。そこからのハング越えが楽しい。ステミングを使った3次元的な登り方を味わえる。ハングを越えたら、左にトラバースするが、ここが一番バランスを要する。そこから先も緊張感のあるフェースを登り続け、最後の終了点に立ちこむに至るまでもなお難しい。全体を通して気を抜ける箇所があまりなく、ハング越えのパワー、トラバースのバランスなどムーブが多彩で、万人におすすめできる5.10a課題だと思う。クライミングに必要なスキルが一通り身に着く課題。1ピン目は遠い上にガバが無いので注意。場合によってはプリクリップでもよいと思う。
㉑スーパースター(5.12a)★★
1日1便×
㉕ドント・スピーク(5.12c→5.11d)★★
2020/04/26 2便RP
核心が2つあって面白く、星2つで順当だと思う。クリップは体勢をよく考える必要があるものの、特別消耗するわけではないので3級+4級で5.11dで妥当だと思う。
以下ムーブメモ
左手アンダーで右手ガバへデッド。左足キョン、右足ステミングで左手を面ホールドへ飛ばす、リップ奥のガバへさらに飛ばす。4手3級。クリップ。左手を見本のようなガバポッケにデッド、右手を左手のガバへ飛ばす、左足を左下側の突起に乗せて、上部のガバへデッド。4手4級。
㉖スーパーチューズデイ(5.12d→5.13b?)★★☆♂
7日17便×
2級+初段+2級+4級=5.13b(?)
アンダー(右手)から左側ガバ(左手)までリーチで届かせる。右手ガストン(上側縦ホールドのかかりがよく、次のホールドへ向けて体を起こしやすい。)、左足を(左下)四角いミニミニホールド、左手を下側縦ホールド、右手ガストンが効いたら、上部のアンダーガバを左手(3手、3級)、クリップ。左足を左側ガバ、右手を穴ガバ(親指を引っかける)、右足を顕著なスタンス、リップのスローパーへ右手を飛ばす(ここまでスタートから2級、5.12a)、リップ上のスローパーガバへ右手ランジ(1手、初段、ランジ体制は左足は左手アンダーの垂直線上のスタンスだと体を起こしやすい(←やっぱり関係ない?右足だけ意識すれば良い?)、右足は顕著なスタンス)、左足をランジしたときの右足スタンスで左足キョン、右足をステミングでリップ左下の平行カチへ左手を飛ばす、右上の顕著な穴ガバへ右手ランジ(2手、2級)、右足トゥでクリップ。左上のスローパー縦ガバへ左手ガストン、右手マッチで左上の穴ミニガバへ左手デッド、終了点左の穴ガバへ右手、終了点右側カンテのガバへ右手デッド(4手、4級)。
㉗child’s play(5.12b)★★
2024/01/02 3便RP
新年初の成果。前日の城ヶ崎での虎の穴で使い果たし、翌日ヨレヨレの状態だったが落とすことができた。去年の春先は、天然記念物トライの翌日にビッグプレゼントを落とそうとして、同じく3便かけてダメだったので、もしかしたら成長しているのかも。下部は5.11aくらい、核心は3級くらいだと思う。3級に対して5.11aなのが絶妙なラインで、パンプを楽しめるルートクライミングとして成立している。5.12bはちょっと甘い気もするけど、城山グレードと思えば妥当なラインかもしれない。終了点周辺は落ち着ける雰囲気でなく、クリップも含めて慌ただしい状況で完登した。ラインをもう少し伸ばして、安定できる場所で終了だったなら三つ星の可能性ありか?
以下ムーブメモ
レストポイントはニーバーレスト可能。
5.11a+3級=5.12b(レストあり)
㉘ポコチン大魔王(5.12d→5.12c)★★☆☆☆
2020/02/27 5日19便RP
瞬発系課題最高峰。自分のフェースクライミング史上、スパイダーマンの次に面白いと感じた課題。クライミングの面白さとは、同強度のムーブがずっと続くことだと思う。だからといってボルダリングが面白くないというわけではない。3手、2手核心、矛盾するようだが1手核心であっても、自分にとってギリギリの強度が等しく続くことが、可能性を感じつつも繋げることができないというもどかしさを生み、これがクライミングを面白くしていると感じる。ポコチン大魔王は、核心パートは10m程度(簡単な下部もドカ落ちしてグラウンドしないためには必須要素)だが、同強度のボルダームーブが3連続し、さらにこれが上部に行くにつれ手数が増えていく(4手、5手、8手)。このため、最後の最後で手数の多い核心を繋げられずに落ちてしまう。そして、これらを越えると最後は堂々たるマントリング。薄暗い穴蔵から出ると、狩野川を中心とした大仁の景色が眼下にどこまでも広がる。この課題は、最高の5つ星課題だ。
以下インスタから抜粋
初日は散々だった。最後のマントルに失敗してドカ落ちしてしまい、その日は怖くてトップアウトできなかった。けれど、そんなトップアウトすら許さない課題の方が、RPした時に成長を感じられて充実感があると思う。マントルは落ちたくない一心で30回くらい練習したので最後は落ち着いて登れることができた。
その日は5日目で、朝は滲みだしが酷く一番濡れてはいけない外傾カチがびしょ濡れだった。けれどここまで来たからには他の課題で気を紛らわすことはできない。ヌン掛けだけ済まし、滲みだしが収まるまで待つことにした。結局16時になっても完璧に乾くことはなかったが、他の岩場で雨でも雪でもトライをした経験から、おおよその期待を持ち、希望を捨てずに待つことができた。また、レストについても悩ましく、レストしないで最後の核心に突っ込むのはたぶん自分だけだと思うが、最後まで自分の判断を信じることができて良かった。
今までのクライミング史上5本の指に入るくらい良い課題だったと、登れば登るほど思わされた、こんな課題をこれからも打ち込んでいきたい。
以下ムーブメモ
左足ヒール、カチでマッチ(右手親指、人差し指、中指(スペースを作るため、薬指、小指は使わない。)。左足ヒールを解除するまでに、マッチ完了後、右側のホールドを右手で保持したら、腰を落とすことでヒールがさらに効き、左手を持ち直すことができる。)。足位置を調整して上部のガバカチヘ右手デッド(要ティックマーク、真ん中よりやや左側にマーキングする)。4手3級。右足を見えないミニ面スタンスにあげて(なんとなく押し付けるイメージ。目視で確認する時間をとるよりは、左足に重心を乗せてクリップしてしまった方がかえって消耗しない。)クリップ(マッチで使った周辺のスタンスは窮屈で、安定するものの消耗がかなり激しい。)。目の前の薄いカチで中継し、出だし偽縦ホールドを左手、マッチカチの右側を右足(きついのでさっさと踏みかえる。)、マッチカチを左足で正対、左上の薄カチを左手(右側で親指カチ持ち可能、迷わずすぐに出す)、右足をステミング気味に突っ張り、アンダーを右手、ガバを左手。5手3級。クリップ(4ピン目の左下のスプーンカット状のスタンス、左上のホールドに使ったところまではあげない。)。誰も使わないカチを右手(右側カチ)、左足キョン右足ステミングで左側カチを左手で保持、左足をフットジャムに突っ込み(右足は切らないでキョン)、ガバを右手(足が切れたら終了)、右足を切って縦ホールド右を左手。右足をあげ、左足ややキョンで左手縦ホールド左、今度は右足をややキョンにして右手縦ホールド右、右足を棚に乗せて縦ガバホールド右手ガストン。うまくいったら左足を右側に寄せ、左手マッチ。8手3級。右手ガバで、1つ上の棚に両足をあげ、右手で穴カチホールド右側(人差し指、中指がよい。)。もう1つ上の棚に両足をあげ、左手で穴カチホールド左側(やや苦しいが右上の棚に右足を乗せない)。右上の棚に左足クロス、右足マントルで右手を穴ガバホールド右下奥(4日目にようやく発見した。これが無ければ上部は終了点までで2級あったかもしれない。)、左手を穴ガバカチホールド左上奥で完全にスラブ面に立ち込む。左足をハイステップ(ロープが絡まないように注意する)。最後のマントルでロープが邪魔しないよう、1ピン目~4ピン目(特に3ピン目)は全て長ヌンにし、6ピン目は長ヌン連結にするとよい。なお、6ピン目を長くすることで腰を落とした状態でクリップできるので、前腕の消耗を節約できる。3級+3級+3級=5.12c
㉞心の愛(5.11b)★★☆☆
2020/03/21 1便MOS
マスターオンサイトできて嬉しかった課題。このグレードのMOSは1年前に達成しているため、成長がないといえばないのだが、それでもオンサイトは嬉しい。次は5.11cのオンサイトを目指したい。
ルートは垂壁からスタートするが、1ピン目がやや高いので緊張する。これをプリクリップせずにマスターで登れたことは、普段から簡単な課題であっても極力プリクリップをしないクライミングを心掛けた成果だといえる。垂壁はキーホルドを右手でとって左に巻くことで解決できるが、完全に左側に逃げることはできず、ノーハンドレストすることもできない。ボルトに導かれるようにしてハングへ到達すると、パワフルなレイバックムーブが連発する。それらを乗り越えても最後の最後にクラック越えが待っている。リップまで到達すればマントルは容易だが、下部から最上部まで完全に休める箇所はなく、変化する傾斜とホールドを様々なムーブで解決していくのはとても面白い。てっきり壁の途中で終了するものだと思っていたが、マントルで両手を離せ、良い景色を眺められるのは意外で、これで間違いなく4つ星課題になったといえる。
追記:途中でノーハンドレストした人がいました…。
ワイルドボア右壁
⑲ワイルドX(5.10a)★★→☆
2018/03/24 1便OS
垂壁越えが核心。右に周りこめそうだが、直上の方が面白いと思う。ライン取りを間違えて左に乗越そうとすると難しく、ルートファインディングの能力が試される。終了点直下がガバに見えてあまりガバでない。
㉒城山物語(5.9→5.8)★★→☆
2018/03/24 1便OS
長いので気持ち良い。適度にランナウト。核心は上部にもある。ロワーダウン開始時にロープ真ん中を越えていたため、ロープは50mでぎりぎり足りないと思ったが、ロープの伸びのおかげか50mでも1mくらい余った。
チューブロック
①白壁の微瑕(5.12d→5.12b)★★★
2020/03/13 2日6便RP
関東周辺の岩場で2グレードも下がっていたので、何か限定があるに違いないと思い、上部の②寄りのガバポケットを限定にして遊んでいたが、最後までムーブが解決しなかった。推定1級ありそうで、そうすると5.12dで間違いないだろう。今回は諦めたので、何でもありのムーブで解説する。なお、内容は星2つ程度だと思うが、チューブロックの中で一番露出しており、終了点近くに立ったときの視野が広がる感覚が特に素晴らしいため、星3つのままにする。
以下ムーブメモ
穴に入り込んでレストしたら、入口下のスタンスを左足で踏んで、右手ガストン(ほとんど同じホールドが右下にあるので注意。)で体を戻し、2ピン目左のアンダーカチを左手で保持、2ピン目右のアンダーカチを右手で保持、足をあげてガバへ右手デッド(4手、4級)。モノポケットに2本指を重ねて捻じ込み、右足を右側の壁に押し付け体を引き上げ、左足を顕著なスタンスにあげ、右足は切ってガバアンダーへ左手デッド。モノポケットの右側に平行に走る皺(1mmくらい)に右足でスメア、上部のガバカチに右手デッド(3手、3級)。クリップしてから上部のガバを左手で保持し、しばしレスト。右側のサイドスタンスで右足キョンを作って左足は適当にスメア、L字フレークの角を右手でカチ持ち、左足をあげて右足は適当にスメア、モノポケットを2本指で捻じ込み、右手デッド(3手、3級)。その先は手順を覚えれば難しくないが、限界グレードでは落ちる可能性は十分にある。その意味でも②よりは難しく、最低でも5.12bはあるだろう。チューブロックはラインの横間隔が狭く、①と②の間のポケットガバ、⑦と⑧の間のガバなど、限定を感じさせるホールドが存在し、それらを限定にしたかのようなグレーディングが残念である。
②生と死の分岐点(5.12b→5.12a)★★★
2019/12/28 3日9便RP
チューブロックは特徴的な岩で、白くて綺麗である。このルートは、さらに露出した部分を登ることもあり、眺めがよくてとても気持ちがよい。終了点もわかりにくいがガバホールドがあってある程度は安定できる。明確な核心部から、クライマーの頭を悩ませる数あるポケットを駆使して登る、文句なしの3つ星課題である。聖人岩の黒山讃歌や、御前岩の蒙古タンメンと同じく、オンサイトトライに向いている課題といえる。裏を返すとホールドがたくさんあって覚えづらく、ハマりやすいということだが…。
ワイルドボアのトゥエルブモンキーを落としてから、これを落とすまでに1年かかった。人によってはこれの方が簡単に感じるらしいが、私にはかなり難しかった。というのも、1年前は二子山で遠くのガバホールドをデッドで取ることばかりしていて、体重に適したフィジカルはあったが単純な保持力がなかったのだ。トゥエルブモンキーもリーチでパンパン取りに行ってごまかして登ったが、これは単純な保持が必要とされる。1年前は手首の腱に危険を感じるほどで全てテンションをかけて登ったが、今回は負荷を感じながらもその日の4便目で登ることができ、グレードは大して変わっていないものの、フィジカル、保持力ともに底上げができていることを実感できた。
以下ムーブメモ
右側は無視して、アンダーをいきなり左手で取る。アンダー右側のポッケを保持して、穴スタンスにステミングでクリップ(アンダーは消耗するので、クリップまでは右手のポッケを中心に保持するよう意識し、左手の前腕を節約する。)。足をあげて、ポッケに左手親指デッド、続けて薄い縦ホールドに左手デッド、右手マッチ、左足をアンダーに捻じ込んで左手ガバ(4手、4級)。クリップ。3ピン目右下のポッケ(縦に効くので側対できる)を右手、左下の平行カチを左手、右上のポッケを右手、左大きく上のポッケを左手(4手、6級。ここまで取らないと足を上げるのが苦しい)、側対でクリップ。4ピン目右下の縦ホールドを右手で保持、側対で左上のポッケ(垂直左下方向に効く)、右足を体寄りのスタンスに寄せて側対、左上のガバポッケにデッド(3手、6級)。側対でクリップ。右手縦ホールド、足をあげて左手薄カチポッケ、さらに足をあげて側対でスローパー(カチ部分あり)を保持(3手、6級)。これで実質終了だが、終了点目前まで気の抜けないクライミングを楽しめ、短さを全く感じさせない。なお、核心部は左奥のガバを使うと1グレードダウンとなるらしいが、パワフルムーブで前腕が張ってしまうため、持久系のこのルートにおいてはグレードは変わらないと思う。
④オンリーイエスタデイ(5.10d)★★→☆
2018/03/24 2便RP
出だしが難しい。その後は各所で休めるが乗越しがどれも手ごわい。ムーブを感じさせる動きが多いので星2つのままでもよかったが、③の上部に逃げてしまいがちなので星を1つ減らした(逃げてしまうと全身レストができるが、それでもグレードはこのままだと思う。)。③の上部の棚を限定とする方もいるだろうが、クリップ体勢が悪くなるし、心情的に左に逃げてしまうのは仕方のないことなので、ここはルートに含めてよいと思う。
以下ムーブメモ
核心は右のわかりにくいカチで耐えてガバに手を伸ばす。保持力があれば同じく右のわかりやすいアンダーピンチを利用してガバを掴めるだろう。
追記:2022年年末、チューブロックでじっくりビレイしてみると、ミウラーとストーンフリーは人気があるが、この課題は触っているクライマーがいなかった。そういう意味でも、星1つで妥当かもしれない。
⑤ミウラー(5.11a)★★
2018/03/25 3便RP
記念すべき初5.11a。出だしは薄いアンダーからガバアンダーへ直上する。ムーブがあって面白いが、右側に逃げてレストできるので、最初から⑥側から登ってもよいと思う。そこからのトラバースと、終盤の左上垂壁が核心。チューブロックで一番長さを感じるルートであり、中間部で休めてしまうものの、出だしの強傾斜、中間部のトラバース、上部の細かい薄被りと、変化に富んで飽きさせない。そして、2つある核心部のどちらにも多彩なホールドがあり、個人に合った最適なムーブを組み立てるのはとても面白い。
⑥ストーンフリー(5.10c)★★☆
2018/03/24 2便RP
城山のプレミアムルート。ホールドはガバが続き、気持ちの良いクライミングを約束してくれるが、上部の細かい核心でしっかり落としてくる憎めない課題。終了点からの景色は圧巻で、このグレードにしてこの景色を味わえる課題はそうそう見つからないだろう。途中で全身レストできなければ4つ星になったかもしれないが、そうすると5.10cではなくなってしまうのでやはりこのままがベストか。最後の乗越しは右、真ん中、左の3パターンがあるが、右が一番易しく感じた。
⑦グレイシー(5.11c→5.11a)★
2019/12/29 1便OS
ガバに見えてガバじゃないホールドが続く。全体を通して、クリップを含めて4級のハイボルダーといった印象。別記のオンサイトの定義に基づき、先行クライマーをビレイしていたがオンサイトとする。だが、ティックマークが無ければオンサイトできなかったと思うし、確かに先行クライマーの登りは自分のトライの役には立たなかったのだが、「オンサイト」というより「一撃」または「フラッシュ」という方がしっくりくる気がした。オンサイトと呼ぶには、ある程度長さがあって、完全に初見のパートがないと駄目なような…。
⑧シャムロック(5.11b)☆
2020/02/29 3便RP
核心は難解そのもの。核心後は手順を覚えれば易しいが、最後までホールドがわかりにくく、ことごとく期待を裏切られる。オンサイトはかなり厳しいと思う。
以下ムーブメモ
アンダーからの一連のムーブが厳しい。両手アンダーでガバへ右手クロス。手頃なホールドを左手で保持して、上部のガバへ側対で右手デッド。足が切れないように細かく刻み(足が切れたら5.11bではなくなる。)、リップ凹部右奥のガバ(非常にわかりにくい)へ左手デッド。4手4級。側対にしてクリップ。
⑨レインマン(5.10b)★
2020/02/09 1便MOS
右にトラバースするルート。トラバースといってもだんだん上に上がっており、中間部が難しくそれを越えるとガバの終了点が設置されており普通に楽しめる。⑦の基部のあるセルフ用ボルトからヌンチャクをかけてトラバースするのがよいと思う。
⑪ドロンパ(5.12a)★★★→☆☆
1日1便×
被ったカンテというのは、常に素晴らしい。出だしが右の岩を使ってしまい、上部で右に逃げてしまうので星2つ
⑫キララ(5.10d→5.10b?)
2024/03/10 2日2便RP
敗退記録
終了点手前のムーブが解決できず、右上のガバで終了点クリップして終了としてしまった。クリップはしたものの、明らかにゴールは別なので完登とはみなさない。この(自分にとっては)低グレードで落ちるのが恥ずかしく、変なことをしてしまった。グレードに関わらず、落ちるときはいさぎよく落ちるべきだ。反省。なお、終了点手前はきちんとホールドがあるため、チョークがついていれば普通に直登できると思う。内容的には残念ながら星をつけることはできなかった。
完登記録
3年越しにようやく完登。最後はポッケを使い、一応終了点付近で終えることができた。しかし、左カンテを使って登るのがモヤッとする。また、終了点クリップを謎の一本指ポッケでこなしたのが印象に残りすぎた。一応リップにガバカチがあるが、ゴールホールドとするには悪く、上から土砂が堆積しがちで居心地が悪い。ポジティブな評価をすると、出だしのドロンパ分岐のワイド挟まりんぐムーブは独特で、ここは1つ星の価値があると思う。通常、最上部で苦戦するルートだと思うが、今回は出だしのワイドパートが一番難しく、そこで5.10dがついていると感じた。
⑮ファーストサークル(5.11c→5.11b)★
2022/03/20 1便MOS
下部が4級、上部が5級くらい。中間部で休めてしまうのが残念だが、上部のムーブは爽快感があって気持ちがよい。下部は要指力。一応、出だしは真っ直ぐ登ることができる。クリップは左から登ってプリクリップした。城山のグレーディングではかなり辛いが、小川山のスラブなどと比べると、ホールドもスタンスもハッキリしていると言い切れるので、どうしても甘く感じてしまう。
⑰イスタンブール(5.8)★★→☆
2018/03/24 1便OS
アップルート。ホールドが細かく立ちこみが必要なので、シーズン入りの際に岩質をチェックするのに向いていると思う。終了点が上までいってもなかなか見えないが、直上するとある。右上は隣のルートの終了点なので注意。
⑱椿の森の中で(5.9)★☆
2020/01/21 1便MOS
1ピン目から最終ピンまで気の抜けないルート。⑰の方がオリジナルなラインだとは思うが、掴めそうで掴めないホールドがずっと続き、同難度のムーブが続く希少性としては⑱の方が価値が高く、面白いと思う。ライン取りも⑰より明瞭で、迷いようがない。ボルトの間隔が遠ければオンサイトできなかったかもしれない。
二間バンド大ハング
②かさぶた(5.12c)★☆☆
2020/04/26 5日14便RP
6ピン課題ながら、本格派持久系課題。下部は体感5.11b、レストを挟んでからの核心は2級に感じた。手数は自分の場合は13手あり、リードでここまで手数の長い課題は相当稀だった。核心の内容は手順、足順、ムーブを入念に組み立てる必要があり、考えるのがとても楽しく4つ星クラスだと思うが、⑤フェイトと同様、岩の脆くない方にラインを引いている感じがあり、特にかさぶたは(登ってみるとわかるが)明らかにライン取りが不自然(直登なら5.11台か?)なので、星を1つ減らして星3つとする。それでも、二間バンドの課題はどれも魅力的で、多少の脆さやラインの不自然さを考慮しても、十二分に取りつく価値があるといえる。南壁への落石に注意を要するが、要所要所でどうしても落石を避けられない場面はある。二間バンドでの行動に気をつけるのは当然だが、それ以上に南壁でしっかりと落石への気構えと対応策を講じるべきだと思う。
以下ムーブメモ
左手でクリップ(2ピン目は長々ヌンがよい。)。右手で持ち替え(やや消耗する)、左手カチポケット、右手カチポケット、左足をキョン気味にフットジャムを効かせる、左手カチポケット、右手ガバ手前のガバっぽいホールド、右足を上からは見えないガバスタンスに乗せて、右手をガバへ飛ばす。クリップしてレスト。右足を踏みこんで上のガバを右手、側対で左手を棚、足位置を調整して左手をガバカチ(クラック気味ホールドの一番下が効く)、レストガバへ右手、左手マッチ、クリップ、右手を右側に横引きできるホールドを保持して左足が切れないようにする。どこかでクリップしつつレスト。右手レストガバ、左手ガバカチのクロス状態で、ハング下のガバカチスタンスに右足を乗せる(左側を空ける)、側対で右手左側カチ、右手を右側カチへ飛ばす。左足を横面に突っ張る、左手左側カチ、左足ガバカチスタンス、右足をガバ帯の左側の1cmくらいの薄スタンス、右手ガバカチ、左足をガバカチスタンスの右の1.5cmくらいの薄スタンス、右足を右側のガバスタンス、左手ガバカチへマッチ。右手を少しシェイクして右側のガバへ飛ばす、左手をガバカチ右側へ飛ばす、足位置を調整してさらに右上のガバへ飛ばす、左手を斜め薄カチに飛ばす、右足をなるべく上側にあげて、左足ヒール。リングボルト左側のガバカチ(よくわからない)へデッド。右足を顕著なスタンスに足を広げて踏み込み、ガバへ右手デッド、ヒールを解除して最後のガバへ右手デッド。
③ケレンジ(5.13a)★☆☆
2022/12/26 9日22便RP
以下インスタから抜粋
二間バンドを初めて見たのは、山ヤ時代に、西南カンテを登った時のことだった。家に帰ってトポを見てみると、5.12だとか5.13だとか書いてあって、憧れの遥か遠くにある課題だった。
あれから5年、ついに登れる日が来たのがとても嬉しい。フェイトもかさぶたもケレンジも、いつもワイルドボア・チューブロックから出張してくれて、暴風でも寒波でもビレイしてくれたパートナー達には本当に頭が上がらない。けれど、二間バンドの課題達は、構成、ムーブ、ロケーション全ての面でワールドクラス、これだけでリードクライマーの人口が増えるほどだと思う課題ばかりで、どうしても登りたかった。もう二間バンドで打ち込める課題はないけれど、これからも二間バンドの素晴らしい課題達に熱中するだろうパートナーのために、喜んで出張していきたい。
以下記事
ケレンジはポコチン大魔王を完登した後に触ったのが最初である。ポコチンが5.12dだったので、ポコチンは甘いとは思いつつ、かさぶたではなくケレンジを触ったのは自然の流れだったと思う。結果はコテンパンだった。それから完登まで3年、長かった。1年前、低脂肪を完登した時、個人的にはバッチリ5.13aだと思ったので、甘いとされるケレンジに土日ツーデイ目当てで触ってみた。結果は、全然ダメだった。ケレンジの核心について、1~2級とする声が多く、自身でもそう思っていた時期があったが、クライミングを一時辞める要因の一つにもなった、ケレンジの強度が、1~2級では納得がいかない。苦手系なのかもしれないけど、課題のグレード感をいつも考え、記録し続けてきた自分にとっては、初段であると主張したい。リーチは十分すぎるほどで、なんでこんなにできないのか、フィジカルの問題だから強い人は甘く感じるとか、人それぞれいろんな意見があると思うが、日本でクライミングをしている一人の人間の体感として、初段という意見を表明したい。上部は、右手出しのムーブがハマらず、下部で2回越えても落ちてしまったが、左手出しに変えたところ、ムーブ練習なしで、いきなり完登できてしまった。個人的に、核心の強度が2グレード下がる(この場合は初段に対して2級)分には次の核心になりうるが、3グレード下がると核心となりえないと思うので、あくまで初段で5.13a、上部は3級で、リードクライマーであれば問題ない、と思う。初段+3級=5.13a
星は、本来二間バンドは全課題5つ星クラスだと思うのだが、脆さによってラインが決まっている感じがあり、また課題の内容というよりはロケーション、インスタ映えの方に価値を感じてしまうので、全て3つ星くらいではないかと思う。ただし、ケレンジはかさぶたフェイトに比べて、ライン取りが一番自然に感じる(単純に岩の弱点を突いている)ので、リードクライミング感のなさを考慮しても3つ星だと思う。
ムーブは、できないうちはクソ課題だったが、バラせると、これだけ爽快感のあるムーブは珍しいのではないか、と思うようになった。距離だしの遠さが等間隔で、ホールドは全てガバだが多彩、特徴的なムーブと体の連動を感じる動き。ひも付きボルダーとして、デザートソングと双璧を成す課題だと思う。
以下ムーブメモ
右手岩と壁の隙間、両足をステミング(右足はレスト大岩の下の面、左足はちゃんと正対できる面に張る)で左手マッチ、右手ガバ、右足を棚に上げて左手大穴(右奥)、右手大穴(右奥)マッチでクリップ、大穴の奥の地面ガバ(?)で両手レスト(両足は同じくらいの位置でカエル座り、左腕を壁に擦り付けると両手レストできる)
側対で左手遠くの真上ガバ(スタート大穴はアンダー気味に効かせる)、側対で右手ガバ、大きく側体で左手核心大穴ガバ、右足キョン左足ステミングでクリップ
第1核心(1級)
右手アンダー、左手アンダーに返す(アンダーは2時方向右上の掛かりが良い位置)、右足顕著な棚、左足は真下のスタンス(重要)、右手ガバカチ(右上がカチッとハマるが、ロシアンルーレット。クリンプで踏ん張る。左手アンダーが効くので、左足に加重して、右足はキョン気味でバランスをとって取りに行く)
左足ヒール(とても深く)、右足ブラ、左手薄カチ、右手ロックオフ(重心を右上に上げて肘を固めることで、背筋が効きロックできる)、右足を適当に張る(先に右足を上げると安定してしまい、重心があがらず右肩のロックが効かない。右足ブラで左足ヒールを効かせ、重心をしっかりあげてから、申し訳程度に右足を張ってバランスをとる)、左手ポケット(いきなり取ろうとするとデッドになり、失敗する。右肩を固めて体を上げれば、あとは左手を水平方向にスライドするだけ、ポッケは3本指がジャム感があって安心するが、次のガバ取りの時に指が抜けない場合があるので、2本指にする。)
足を切って右足踏み変え、左足側対で踏めるスタンス、右手縦スローパー(シェイクする)、左足を顕著な棚にヒール、右足ブラ、左手ガバへデッド
右足をいったんカサブタのガバ、左足かさぶたのガバ、右足顕著な棚、クリップ、右手ブロック左側のガバでレスト、右足をよくわからないスタンスに上げる、右手をブロック右端のドガバ下の棚ガバを中継してドガバ、左足ヒール、右足大穴(右下)、左手マッチで左足大穴(取り先ガバ、左上、死ぬほど捩じ込む)で右手クリップ、レスト
第2核心(3級)
右足ハイステップで右手カチ(右足を下のスタンスでも取れるが、次のムーブが苦しくなる)、左足ヒールで左手穴カチ(わかりにくい、左側のやつ)、右足ヒール&トゥ(ヒールは棚にドカッと乗せるとトゥの効きが悪くなる、右寄りの狭くなる棚でトゥを水平方向にバッチリ効かせる)、左足トゥ(ジャム的に差し込み直す)、右手超ガバカチ(右足トゥを効かせて重心を左に寄せる)、左足を中央に寄せて左手を左側のガバカチ(余裕なら飛ばす)、左手ブロック状ガバカチ(右手の真上)、右手シェイク(余裕あれば)で右側のカチ(左にもあるが右側)、右足をあげてキョン気味に立ち込んで右上の見えない大ガバ
⑥フェイト(5.12a→5.11d)★☆☆
2020/03/15 2日3便RP
日本で最も見映えのする二間バンドの中で、最も手軽にとりつくことのできる課題。下部はラインを間違えないように注意して登る必要がある。中間部のステミングノーハンドレストまでは5.11aくらいあり、核心を越えた先の乗っ越しもムーブがあり十分に難しい。中間部のレストは上側でステミングレストするとノーハンドできるが股関節が痛く、下側でステミングレストすると足がミシンを踏んでしまった。無限には休めず、やや消耗した状態で核心部に突入したので持久系課題の印象がとても強い。終了点からの景色は最高に眺めがよく、チューブロックの比ではない。内容もパンプ2のツナミ壁のようでとても楽しく、4つ星クラスの課題だと思うが、脆さがあまりにも気になり、完全に終了点に立てるわけでもないので、星を1つ減らして星3つとする。なお、今回の3度のトライではホールドが剥離することはなく、古びたボルトも破断することはなかったが、下部のライン取りに間違うとスタンスが度々削れてしまった。岩の脆くない方にラインが引かれている感じがあり、やや限定感がある。
以下ムーブメモ
核心部は、左手ポケットガバを側対にして効かして右手ガストン、足を踏みかえて左手をガストンの左上あたりのガバカチで保持し、リップ右側のガバっぽいホールドに正対でデッド(4手、5級)。レストしたら、丸ごと引っこ抜けそうな大フレークにダブルアンダーで大ガバに右手デッド(3手、6級)。クリップしたら、甘いホールド(親指で若干抑えこめる)を左手で保持し、右上のガバに右手を飛ばす。良さそうで悪いホールドたちに隠れたガバを左手、右手とダイナミックに保持して終了点へ(4手、7級)。
南壁
⑨エキスカーション(5.10a,5.10a,5.10c,5.10a,5.10a,5.9→5.6)★★★
2020/03/22 1pノートライ、2p1便TR、3p1便MOS、4p1便TR、5p1便MOS、6p1便MOS
南壁で一番最長のラインを引くことのできる課題。内容は多彩で変化に富むが、最長であることで星3つの価値があるといえる。核心ピッチをオンサイトできてよかった。おそらくだが、1p目はやや左寄りの高台のようなところだと思う。しかし、西南カンテに継続するパーティが多く、直登するのは難しい。2p目は左と右にそれぞれボルトが打ってあり、今回は右から登った。最終ピッチの終了点は納得の終了点で、冒険の終わりを感じさせる。
⑫アミーゴス(5.9)
2020/03/22 1便MOS
2ピン目あたりがグラウンドしそうで怖い。バランスも必要。
⑭とんとん拍子(5.8)☆
2018/02/18 1便TR
上部のハングをどのように越えるか。ルートファインディング能力が必要。
⑮バトルランナー(5.8,5.10a,5.7→5.8,5.9→5.8)★★☆
2018/02/18 1p1便TR、2p1便MOS、3p1便TR、4p1便MOS
フリーの面白さとしては南壁最高の課題だと思う。核心ピッチをオンサイトできたことは、今でも誇りに思っている。自分にとってギリギリのグレードをオンサイトできたことは、しかもマルチでやりきったことは、フリークライマーの本分を全うできたといえる。
㉒西南カンテルート(5.7,5.8(2p合計5.8),5.5,5.5(2p合計5.5),5.8,5.8→5.9)☆☆
2018/02/18 1p1便TR、2p1便MOS、3p1便TR、4p1便MOS
2年前にこのルートを登り、今感想を書こうとするが、もはや興味がない。課題には旬があり、この課題は旬を過ぎてしまった。けれども、旬の時期に登れて、このルートの魅力を存分に味わえて、とてもよかった。あの時、帰宅後に二間バンドのトポを見て、西南カンテ最終ピッチから見たフリークライマーへのあこがれが、今現実のものとなったのが感慨深い。
㊸ハンドバイス(5.11d/5.12a)★
1日3便×
以下ムーブメモ
右足をできる限り奥に詰めて、体を岩に密着させ、右手を効く位置まで頑張って伸ばす。足を切って顕著なスタンスに左足、ピンチガバに左手デッド。リップのガバを右手で保持。クリップ。左手クロス、ガバカチに右手ガストン、リップ先のガバカチに右手ガストンで飛ばす。ガバカチで中継して左手を左奥のガバへ飛ばす。右足で体を起こし、ガバの右上のガバ(手前はカチ)へ右手デッド。マントル。3級。リーチがないと出だしが相当難しくなるのでその場合は2級だろう。
㊿ハートルート(5.11a)★★☆☆
2020/03/26 1便OS
歴史を感じる名ルート。このスケールにして、ボルト3本なのが素晴らしい。出だしは6級くらいあり、ガバに見えて悪いホールドが多い。2ピン目のクリップは容易だが、意外と休めずに3ピン目に突入する。この3ピン目が曲者で、悪いホールドでクリップしておかないと、最後の核心でクリップする余裕がなく詰んでしまう。最後の核心は5級くらいで、核心を越えた後もマントルがしっかり5.11aクラスの難しさで落ちてしまいそうになる。終了点は快適で、フリークライミングの面白さ、魅力の詰まった名作といえよう。