43 奥秩父小川山
OGAWAYAMA
※注意:以下の但し書きをご理解の上、お読みください。
(1)グレードについて、個人的感覚により調整しています。性別、身長、リーチによって体感グレードは変わりますが、個人的なブログとしてご容赦いただいた上でご覧ください。なお、グレーディングの基準について、コラム11「グレード解析工房」で説明しています。
(2)星について、100岩では4つ星までついてますが、これもまた個人的感覚により、5つ星までつけています。星の基準については、「00 表記の読み方」で説明しています。グレードに対してこちらは、そこまでの批判は生じないでしょうが、やはり苦労して登った課題の星が下がっている場合があるかと思いますので、よくご理解の上、ご覧ください。
親指岩
⑦本気のライン
1日1便×
⑩小川山レイバック(5.9+,5.9)★★★
2018/06/25 1p2便RP
参考セット(0.75→0.75→1→1→3→2→2)
離陸をジャミング。出だしのシンハンドを1mくらいレイバック。その後ジャミングに戻りカムをセット。マントリングの前に2番をセットすると安心。再登時、出だしのシンハンドをジャミングで登りカムをセットでき、成長を感じた。
(追記)
5年ぶりに再登。雨がビシャビシャ降っていたが、噂通り濡れなかった。ただし、ビレイヤーは普通に濡れる。ジャミングだけだと5.10aくらいに感じた。最後のマントルにもムーブがあり、やはりこの課題は面白い。ちなみに、この後にトシタケウチさんがほとんど全部ステミングで登っていた。カムも2個くらいしかセットしておらず、格の違いを感じた。下手なリードクライマーよりボルダラーの方がよほどリスクマネジメント能力は高いと思う。ステミングのスタンスが欠けたらどうするんだろうとか考えてしまうし、そもそも自分にステミングできる技術があるのかも怪しいが、次は手はジャミング、足はステミングで登ってみることにする。
⑭クレイジージャム(5.10d)★★★★☆
2022/08/19 2日3便RP
完登セット(0.75→0.75→1→1→2→2→3→3→3→4→1→0.4→0.4)
クラックをやらなくなって早4年。使うあてもないのに、なんとなくカムを買ったりしていた。そんな中、ひょんな機会から烏帽子岩左稜線を登ることがあり、その時に登ったクラックの感触が良かった。もしかしたら、今ならクレイジージャムを登れるのでは?予想は、的中した。さすがに1便目では登れなかったが、2便目にある程度の余裕を持って完登することができた。4年越しとあって感激もひとしおだ。そうだ、俺はあくまで高難度マルチピッチのためにショートルートを頑張っているんだった。そしてその高難度マルチというのは、ヨセミテのエルキャピタンのことだ。今後人生がどうなるのか予想もつかないけれど、海外遠征できるチャンスとパートナーの登場を期待して、前向きに頑張っていきたい。
完登できたのは、腕がパンプしなかったところが大きい。クラックはカムのセットに手間がかかるのでフェースよりパンプする印象があったが、さすがに5.13を登っていると、ドパンプはしなかった。これからもフェースのショートルートをメインにクライミングを継続していきたい。それが、クラックに、ひいてはエルキャピタンに繋がると信じて。
たぬき岩
④とろろ(5.12a)★★☆☆
2021/07/24 2日4便RP
凹角から始まり、トラバース、垂壁、ハング、スラブでフィニッシュ。最初から最後まで最高に面白い。立派な仮終了点から蛇足的なスラブを登ると、真の終了点に到達する。高度感、景色ともに文句なしだ。合宿中の1日で終わらず、諦めかけていたが、翌日付き合ってくれたパートナーに感謝したい。
以下ムーブメモ
トラバースが5級(ルーフ部分のガバを手はクロス、足はスメアでこなしていく)、垂壁は5級(実質1手、左右のホールドは効きが悪いので、左手のフィンガーで左足をあげて解決)、ハングは5級(ガバを右よりにつなぐ)、大ハングは3級(直前にチムニー的に体をねじこみつつ、ハンドジャムで大休憩すると5.12aになる、左に出過ぎないように、左足はフットジャムを効かせた)で5.12aだと思う。最後のスラブ、5.10台はないと思うが、パンプしきった腕には十分すぎるほどの恐怖を感じた。他のブログにも書いてあるが、全体的にメンタルを消費する課題で、トライするのがだんだんしんどくなってくる。
お殿様岩
③大貧民ルート(5.7→5.7→5.7)☆
2018/10/07 1p1便TR,2p1便OS,3p1便TR
見た目より難しいと思う。ジャミングができないと厳しいだろう。1p目は緩やかなハンドサイズのクラック。2p目はクラックのトラバースから同じく緩やかなハンドサイズのクラック。3p目はスラブだがボルトが1つもないので慎重に。下降は懸垂用支点(わかりにくい)から25mくらいで1pの終了点に到着する。そこから立木で懸垂。ロープは50mで登った。
⑤イムジン河(5.11d)★★★☆
2023/07/16 3便RP
完登セット(0.5→0.2→BN青→0.2→0.25→0.25→2→1→0.3)
イムジン河が登りたくて、フィンガークラックが登りたくてボーナスでカムを買い足してしまった。結果は、カラファテで勧められた使うかもわからないボールナッツが大活躍で、トーテムブラックの絶大な信頼感も感じられて大成功だった。クライミングはオンサイトできなかったのでその点では失敗なのだが。自分は何でもかんでも「揃っている」ことに快感を覚えるタイプで、当初は全てBDで揃えようと思っていた。ただ、パートナーから借りたトーテムカムが印象が抜群に良く、予めトーテムカムは買い足すことに決めていた。トーテムカムの青とBDの0.3番は同じ色なので問題なしとして、問題はトーテムカムのブラックだ。カラファテの店員に聞くと、0.3と0.2の間に溝があるようで、トーテムブラックはこの溝を埋める存在なのだそうだ。カラファテではとりあえずトーテムブラックが黄色だと思って購入したが、家に帰るとどうにも気になる。病的に気になる。トーテムブラックが黒色で独立しているのも、気になってしまう。結果、さらに買い足して、0.1、0.2、0.25(トーテムブラック)、0.3を全て2セットそろえてしまった。快感だ。かっこよすぎる。これにあてつけたようにカラビナのオズにブラックが販売しているのにも気づいてしまい、買ってしまった。まあ、イムジン河登れたからいいかあ、、、。
星について、このレベルで求めるのもどうかと思うが、中間部のレストポイントで休めすぎてしまうので、5つ星にはしなかった。5.11台であることを考慮しても良心的すぎるレストポイントだと思う。
⑧予期せぬプレゼント(5.10a)★★☆☆☆
2023/05/04 1便OS
完登セット(5→5→6→6→4→1→2→4→3)
参考セット(3→4→5→5→6→6→6→1→2→4→3→0.3(?))
昔から興味のあった課題で、5年前に取りつきまで見に行った記憶がある。あのときは、確か他のパーティがいたとかいう理由で別のエリアに行った気がする。本当に、あの時、軽い気持ちでトライしなくてよかった。先行パーティがいてよかった。予期せぬプレゼントを、オンサイトできて本当によかった。小川山トポで興味が断然出てきたのが今回トライしたきっかけだが、小川山トポで三つ星の課題を触っても、実際には微妙だったこともある。だがこの課題は正真正銘、日本を代表するルートだと思う。
以下ムーブメモ
マントルは左側の突起岩に立ちこんで、事前に3番をセットできる(後で回収)。マントルからの出だしは4番があると安心。6番は3つ欲しかった。核心はうつ伏せで登ったが、仰向けが楽らしい。
最高ルーフの左の岩
④最高ルーフ見学ルート(5.10a)☆☆(☆)
2018/09/17 3便RP
木の近くから取りつく。背中を押しつけて登れるが、木を使わなくても登れる。最初のガバから上方のアンダーフレークで2ピン目にクリップ。右手の凹角クラックの近くに1ピン目があるが、周りは苔むしており、使われていない。核心は2つあり、一つ目は左足でスタンスに乗り込み、左手にあるカチを掴めるか。上手な人なら乗り込みのバランスだけで体を起こせると思う。次は小垂壁からスラブへの乗り込み。カチは身長が170cmくらいあれば豊富に選べる。スタンスに見えないスタンスに右足を乗せ、左足でバランスをとって右足を少し上のちゃんとしたスタンスに乗り込む。初めての5.10台のスラブだった。長さもあって気持ち良い。誰もとりつかない不人気ルートだとは思うが、十二分に楽しめ、このレベルでこんなに楽しいなら一生飽きないな、と思った。とにかくルートは長いに越したことはない。
追記:5年ぶりに再登したが、上記の記事が何のことが全くわからない。本当に最高ルーフ見学ルートなのかもわからない。登る時に記事を見なかったので、帰宅してからやたら詳細に記載しているのに気付きびっくりした。今回登った感想だと3つ星だということになる。小川山本のラインと概ね同じように登った。2ピン目前の乗り込みがいかにもスラブな趣があり面白く、そこから左側の凹角を使ったクライミングが殊更に面白い。キーホールドが水晶ガバなのも特徴的で、ホールディングにコツがあるのも星に磨きをかけている。とどめは終了点直下の気持ちの良いカチ&カチ連打ホールドで、これだけ同じ保持感が続くのは湯河原幕岩のシャックシャインを思い出させた。万人にオススメしたい課題である。
⑤白糸(5.10c/d→出だし直登5.10c、木登り5.10b)★
2023/07/16 1便MOS
5年前に最高ルーフ見学ルートと間違えて完登した疑いのあるルート。ただし出だしは相当の強度(5級)があり、確信は持てない。木登りでエスケープしても中間部がなかなか難しく、常にランナウトしており気分が悪い。特に最後はマントルで落ちると頭をかち割る可能性があり、ボルトの位置に疑問が生じてしまう。二つ星クラスの課題だと思うが、中間部からマントルまでが激簡単になってしまうのと、出だしの登り方が2パターンあってしまい100岩のグレードと乖離してしまうので、星1つのままにする。
最高ルーフの岩峰
⑧笠間のピンキー(5.10c→5.10a)★★
2018/07/16 2便RP
完登セット(2→0.75→0.4→2)
ハンド~シンハンド~フィンガー~ワイドハンドからのスラブ。ピンキーをきめるのが難しいらしいが、身長があればピンキーをとばすことができる。その場合は5.10aが妥当か。スラブは立ちこみ2箇所の核心だが、やはり5.10aだと思う。
⑩最高ルーフ(5.10d)★★★☆
3日3便×
0.75→0.5→1→0.75→1→2→3
仏岩
⑬ノーリターン(5.10c)★☆
2018/09/17 2日2便TR
おむすび山スラブ
57無名ルート:すみれ(5.10a)★★
2023/10/07 2便RP
出だしのボルダームーブが厳しく、オンサイト失敗してしまった。6級程度だが、5.10aの強度しては辛すぎると思う。その後は爽快なスラブで、既に登山で高度を稼いでいるので景色が素晴らしく、ショートルートにしてこの解放感はなかなか味わえないと思う。こんなルートが低グレードで充実しているのが小川山の魅力である。ただし、スラブは5.8くらいの難しさがあり、全く油断できない。
砦岩前衛壁
aお手伝いします(5.10a→5.10b)☆
2024/08/11 1便OS
ラインを読んで登るのが楽しい課題。出だしの直登は不可能だと思う。左に右に登るのでボルトから離れがちで、」ボルト位置も親切ではないので、限界グレードだと怖いかもしれない。
⑧修行僧(5.12b)★★☆
1日1便×
先週のカサメリ沢ギャラクシィでも感じたが、スローパー系のホールドが現れると、数字1つ分グレードを下げてもバラせなくなり、悲しい気持ちになった。昔は真夏でも気にせず登っていたが、それは5.11まではカチ主体の課題が多いため保持可能だっただけで、5.12あたりから核心にスローパーが登場する場合があり、そうなると季節で急激に難易度が変化するのだと思う。そこも考慮すると岩の向き(午後は日陰になるなど)やホールドの形状(この課題はスローパーがない)まで把握する必要があるが、8月の避暑エンクラでそこまでガチにはなれない。というか情報がない。夏は技術的に伸びしろがあるクラックやワイド、数を打って丁度良い難度の課題を探せるボルダー、数字を3つくらい下げて楽しめるマルチで遊ぶのが良いかもしれない。
⑫完全なる酒乱(5.10b)★★★★
2024/08/11 2便RP
出だしのハングで0.75、ワイドの抜け口で6番をスタックさせてしまい、人生初のハンマーによるカム救出を行った。0.75は完全に閉じ切ってしまい、ハンマーを叩けば叩くほど更に閉じる方向にカムが進んでしまい、岩を傷つけてしまった。6番は抜ければ死亡確定という状況で、6番の信頼性やカムを2つ固め取り&スライドしつつ登るというクライミングに慣れていなかったので、つい固めに押し込んでしまった。大反省である。
課題は、予期せぬプレゼント(個人評価5つ星)と比べて、3つ星くらいに感じた。やっぱり、岩と岩の隙間より、岩自体に割れ目ができている方が、登攀意欲がそそられると思う。出だしの吐き出されそうなセクションでフットジャムを決めながら進み、そこから体を反転して永遠とずり上がり、そのままトップアウトする。特に面白みもない流れかもしれないが、ワイド経験が乏しい自分にはどれも新鮮で、とても楽しかった。それだけだと3つ星だが、もしかすると、これだけ長く同じ幅感が続くワイドクラックは珍しいのかもしれない。その意味では希少性が高いので、4つ星で据え置きとする。というか星を下げるほどの経験や実力が自分にはない。
以下ムーブメモ
上部はチキンウィングより、両手プッシュが有効だった。技術がないだけかもしれない。
屋根岩5峰
私の傾斜(5.11b→5.10d)★★
2024/06/15 1便MOS
見栄えのする岩を贅沢に使ったフラッグシップルート。5峰の特別なロケーションへのエントランスに位置するのも良い。難易度的には、5級くらいのムーブが一貫して続く印象だった。レストがノーハンドであってもスタンスが薄くて辛いなど、クライミングの連続性を感じられるものであれば間違いなく5.11台だと思うが、要所要所で休めてしまうので5.10dとした。スラブの逆襲よりは、ワングレード易しいと思う。グレードはともかく、課題名、見た目、内容がうまく調和した名作で、これを登るために5峰までアプローチする価値のある良い課題だと思う。
プラズマ火球(5.13c)★★★★
2日8便×
チョンボ&トップロープによるチーティグのおかげで、2日でデスノートを完成させることができた。たぶん完成だと思う、たぶん。秋にRPしたい。
グレードは、5.13cでよいと思う。エクセレントパワーやコンケーブ、穴社員でも感じたが、ちょっと甘いけど、明らかに易しいわけではないので納得感があるというのが人気課題の共通点だと思う。自分なりに整理すると、マンモスケイブが5.13a/bで天然記念物が5.13b/cとするとワングレード差あるので同シーズン内では太刀打ちできなかったと説明がつき、プラズマ火球は5.13cなので天然記念物と半グレード差である。ワングレード差だとプラズマのグレードに疑問符がついてしまうが、半グレード差なら納得感があり、グレード更新をかけるに相応しい課題だと思える。
グレードはどこまでいっても自己満足でしかないが、自分は完登に要した日数便数を唯一の指標とし、得意不得意は幻想であるという仮定のもとにグレーディングしている。一番重要なのは、数字を絶対評価するのではなく、相対評価することだと思う。プラズマが5.13bでも5.13dでも、あるいは5.13aだって構わない。あくまで自分にとっては5.13cだったというだけで、そのことよりは、低脂肪より2グレード難しかった、のっぺらぼうよ1グレード難しかったという比較。自分が完登した課題における比較によってのみ、グレード更新の嬉しさや、オンサイト成功の嬉しさが得られると思う。
以下ムーブメモ
1級+初段+1級+4級=5.13c
屋根岩4峰
⑤ノイズイノ(5.10b→5.10a)★★☆☆
2023/06/17 1便OS
一見して登りたくなる魅力的な課題。内容も核心部が2つ配置されており、ランナウトもあって長い割には飽きさせない。これが真っ直ぐ伸びてたら5つ星だったと思う。
グレードについて、5.13を登っている私が5.10bをグレードダウンしてしまうと批判があると思う。実際、グレードはそのグレードが最高グレード付近の人間が一番正確に測れるもので、個人的には初登者のグレーディングを尊重するという理念には賛同できない。二子問題もそうだが、例えば、初登時グレードと、再登者の体感グレードの平均の2つをトポに表記することで丸く収まるのではないだろうか。その意味では、ビブリオグラフィーがグレードダウンしたのも納得できない。5.15c/dでいいんじゃないか?登ったのは2人しかいないわけだし。グレードはあくまで目安であって、初登時のグレーディングというのは文化的な価値(トポに表記して後世に歴史として残す)のみで、スポーツ的な意味としてのグレーディング(多数派のグレード感をトポに表記する)と分けて考えるべきだと思う。今回のダウングレードは、登った人間の一意見であって、それ以上もそれ以下の意味もないことを申し添える。
⑥トキオ'83(1p5.10a→5.9,2p5.9)1p☆,2p星なし
2023/06/17 1pOS,2pOS
完登セット(0.75→3→1→2→1→4→3→2→10mランナウト)
小川山本で絶賛されており取りついたが、痛い目にあった。終了点には残置ビナがなく、スピリットを謙譲してしまい悲しい気持ちになった。1p目はユニークな構成で、左上クラックの手前で終了とすれば人気が出ると思う。2p目は泥、苔、濡れがひどく、とても不快だった。ナメプだったので最後はカムが尽きてしまい、10mくらいランナウトしてしまった。フリークライミングというよりはアルパインクライミングだった。ヨセミテを目指しているのであれば、簡単に登れなければならないのだろうか、、、。
小川山本ではノイズイノ3ピン目から右トラバースするとある。私は、2ピン目からトラバースして小ハングを乗り越えた。帰宅してから100岩を見てみると、確かに小ハングを乗り越えているような図だったので、自分のルートファインディング能力が当たっていて嬉しい気持ちになった。
アイアンマッスル(5.12a)★★☆
2023/06/17 3便RP
小川山には珍しい超パワー系課題。短い中に核心が3つもあり、最高に楽しめた。途中のフレークがもげればさらに核心が増えて四つ星以上になるかもしれない(無責任)。すでに四つ星の雰囲気が漂うがモロいので3つ星に留めておく。
以下ムーブメモ
3級+4級+5級=5.12a
屋根岩3峰
㉗南稜神奈川ルート(5.7,5.9,5.9→5.8,5.7,5.8)★★
2023/05/05 1p1便OS,2p1便TR,3p1便OS,4p1便TR,5p1便OS
完登セット(0.3~5×1セット)
最終ピッチが爽快な本チャン系マルチルート。セレクション、烏帽子左稜と異なるのは岩質で、脆さを感じながら登るのはアルパインチックな経験だった。
1pは5番が大活躍。ボルトは1本しか確認できなかった。全ピッチを通してプロテクションがきめづらく、一番簡単だが一番リスキーだと思う。
2pは高度感抜群!一番難しいピッチだと思う。
3pはチムニー。ボルトがあるのが大変に残念だ。次回はオールナチュプロで取り組みたい。グレードは烏帽子左稜のチムニーより易しく感じたので、5.8とした。烏帽子左稜が5.9、予期プレが5.10aとして、今後のグレード感を養っていきたい。
4pはフリーソロスラブが名物。例によって脆い。
5pはこのマルチの最大のハイライト。記録を見るにあまり印象のない方も多かったが、個人的にはこのピッチが一番楽しかった。4pの岩歩きから見える頂上の二つのクラック。ここを登ってくれと言わんばかりのその姿に、胸が高鳴った。予想は的中し、ガイドの記録でもオススメしているラインだと後で調べてわかり、自分の冒険感覚が正しかったことが確認できて嬉しかった。
二つ星クラスなのは間違いないが、さすがに脆すぎるので三つ星にはできなかった。
ロープは50mダブルロープ2本をオススメする。60mシングル1本だと、下降が非常に面倒くさい。
屋根岩3峰下部露岩帯
ダンナ岩Ⅱ
⑲シナプス(5.12b)★☆☆♂♂
2023/05/02 1日3便RP
爽快なランジルート。小川山トポで2級。自分も体感2級だったので、感覚が正しくて安心した。星はついていないが、非常に面白いルートだと思う。クライマーの雑談にもよく話題にあがるし、小川山トポの人気度が全てではないな、と感じた。何より、この課題のランジはカッコよく、クライマーでない一般人に見せてもわかりやすい。ロープがついていて安心だし、ファンクライマーはこんな課題を皆求めているのではないだろうか。
⑳エンドルフィン(5.13a)★☆♂♂
1日2便×
ソラマメスラブ
①裏ジェットストリーム(5.11b)★★★♂→★★★
2023/05/02 1便MOS
マスターオンサイトできて嬉しかった課題。ネーミングセンスを感じる。出だしの意味がわからない感じが楽しく、最後の最後に核心が用意されているのが素晴らしい。四つ星クラスだと思うが、ラインがさすがにわかりにくく、限定はないのだが限定感があるので3つ星のままとする。
③ソラマメハング(5.10c)★♂→★☆
2023/05/02 2日2便RP
縦ホールドの処理が楽しいハング課題。核心が少し長く、単なるボルダー課題に留まらないため2つ星に格上げした。
尾根岩2峰
㉒チキチキ・バンバン(5.11b)★★☆♀
2023/04/29 1便MOS
小川山らしい、花崗岩らしい、ロッククライミングらしい課題。ボルト位置は意味不明だが、オンサイトを狙う課題として最高に楽しめた。最後のカチは、5.12クライマーなら相当の恐怖があると思うが、5.13クライマーだと確実に保持できてしまうので、怖さは感じなかった。あとボルト1本分の長さがあれば四つ星になっていたかもしれない。
㉓かぶとむし(5.12a)★★☆☆♀
2023/05/02 2日5便RP
5.12aは、今の自分の実力だと2撃ひょっとしたらオンサイト案件なのだが、この課題は2日5便を要してしまった。だが完登した感想としては、2撃したイエロークラッシュと同難易度に感じた。カブトムシはカンテとカンテ左側の2つからラインが取れる。どちらから登っても大きく難易度が変わらない(いちばん簡単なので5.12a、いちばん難しいので5.12dだろうか)のが非常に面白い。不可能を感じさせない程度に難しくなってしまうのがもどかしく、ムーブの構築とラインの再構築を何回もしてしまい、それで難易度が変わっていくのがパズルのようで面白かった。人によってはYouTubeで最適ムーブを見つけて簡単に登ってしまうかもしれないが、この課題は自分の頭で考えて登ることをオススメする。特にオンサイトトライにもってこいの課題で、この課題でオンサイト能力の高さを証明できるのではないだろうか。
以下ムーブメモ
カムセット
ビレイ点に2番→信頼性○、スタートスタンスに0.4番→うまくはまらない△、スタートから右にトラバースしたところにあるクラックに0.3番→一見効きが良いがフレアしているので△、またそこまでいけば落ちないと思う。顕著な縦クラックに0番→バチ効き!感動!!マイクロカム最高!!!
出だし
腰を落として右トラバース
1ピン目
両手アンダーで左トラバース、左手頑張ってガバクラック(パツパツ)
2ピン目
右手穴に逆手フィンガー、左手マッチ(早技)で右のガバクラック(ここまで5級)
3ピン目
右足ヒールでレスト
少し手順を戻して、左側甘いクラックに左手(パツパツ)、スタンスを上手に拾って手数足数を稼ぎ、右手をカンテのガバカチ、うまいこと側対でバランスを取りクリップ(5級)
4ピン目
左手縦ガバ、右足顕著なスタンスの少し上の薄スタンス、右手カチへ飛びつく、左足ジャミングで右足カンテにステミング、左手カチ、左足適当で右足カンテ上端に乗り込む、そのまま重心を右に移してカンテ上端に立ち込む、右手甘いカチでタイミングを見計らって左手ガバカチにデッド
5手3級
5級+5級+3級=5.12a
㉙ダーククリスタル(5.9→5.8)★★☆
2023/06/17 1便MOS
蜘蛛の糸のアプローチとして利用されていることが多いが、アプローチにするにはもったいないほど高品質なルート。懸垂のフィックスにして放置しているパーティも散見されるが、あまり良くないと思う。個人的には、初級クライマーの最初の目標にしてもらいたいほどの良課題である。スラブに乗りあがるまでにカムが必要。
㉚セレクション(5.8→5.7,5.8→5.9,【5.5】,5.8,5.6,【5.9】)★★☆
2018/06/25 1p1便OS,2p1便MOS,3p1便TR,4p1便OS,5p1便TR,6p1便TR
2022/08/21 3p2便RP,5p2便RP,6p2便RP
参考セット(0.4~3×2セット)
1p目は右のクラックから。マントリング前のクラックが悪く、プロテクションがとれないので、多少ランナウトする。プロテクションを取ろうとすると、グレードの割にドパンプする。
2p目は5.8のスラブ。5.9に近い(追記:ダーククリスタルと比較して、5.9とした。)。マルチクラック用のブカブカシューズだとかなり怖い。キツイ本気用シューズの方がよいと思った。スラブを舐めてはいけない、、、。
3p目はチムニー。フェース登りするパートナーがいて驚いた。
4p目はクラックが2つ。1つ目のクラックは出だしが難しく、木を使わないと5.10台あるかもしれない。2つ目のクラックは意外とカムをセットできるのが面白かった。
5p目は見栄えのするトラバース。簡単だが濡れており、高度感もある。
6p目は左と右にクラックがあり、左を選択。若干ハンドより広く、人によっては難しいかも。というか女性には5.10台あると思う。クレイジージャムを登った後に再登したが、もはや同等の難しさを感じた。
下降は左側のワイヤーをつたって降りられるので懸垂不要。ロープは1回目は60m、2回目は50m弱で登った。ギアは0.4~3を2セット用意した。1セットだとだいぶ心もとない。
説明するまでもなく、日本屈指の名マルチルートだと思う。岩質も良く、三つ星は間違いない。強いて言うならやはり名前の通りセレクトしたあみだくじルートなのが残念で、これでナチュラルさがあれば四つ星確定かもしれない。
㉟蜘蛛の糸(5.11c→5.11b)★★★
2023/06/17 1便OS
ロケーション、内容、課題のネーミング、大木の手前の明瞭な終了点という名作に必要な条件を全て満たしているスーパーワールドクラスな課題だが、限定があるので3つ星で据え置きとした。自分は、枯れ木のクラックを使ってしまった。もう少し実力があれば、左のクラックを使わないようにムーブを組み立てることができたかもしれないが、落ちないこと、完登することを第一に、必死に登っていると気付いた時には左のクラックを触ってしまっていた。不可能スラブで、覚醒は日本最高難度なのだから頭痛のホールドを使ってはいけない、という理屈があったかと思う。その理屈だと私は蜘蛛の糸を登ったことにならないのだが、私は今後も蜘蛛の糸をオンサイトしたという考えでいたいと思う。その理由は、やはり左のクラックを使うのが自然だからだ。自由にクライミングするのが魅力だと思っている自分は、限定課題が好きではない。ボルダーなら、オンサイトを逃した2トライ目以降なら、好きなようにムーブをバラすし、むしろこだわることもあるかもしれない。だが、一生に一度しかないオンサイトトライで、限定だのなんだの言われて、「蜘蛛の糸ではないナニカ」を登っただなんて後味が悪くてクライミングが嫌いになってしまいそうだ。あくまで、あくまで個人的な意見だが、課題名というのは人間がコミュニケーションするための便宜的な呼称、グレードというのはプレイする時の目安で、それ以上もそれ以下の意味も価値もないと思う。あるクラックを登る時に、名前がないと不便だから名前をつけているだけで、それに加えてに限定があると文句をつける権利は誰にもないと思う。勝手に先に登って勝手に課題名とグレードをつけているだけ、というと多方面から批判の声が飛んできそうだが、クライミングというのは、身長やリーチなどの身体的な特徴を駆使して、なにより自分の頭を使って、悩んで、自由に楽しむものだと思う。
クラックの経験がなさすぎるので一応5.11bとしたが、限定が5.11c、下部のボルトより手前からクラックに移りボルトなしで直登して5.11dという仮説を立ててみた。実力がついたら、枯れ木と一緒に完登を目指してみたい。
限定解除で5.11bと記載するのが適切だと思うが、わざわざ限定解除と記載するのも癪に障る。むしろ私のラインが蜘蛛の糸で、限定が「蜘蛛の糸(限定)」と言われる日が来てほしい。来ないか。
③コグレ大サーカス(5.10c)★☆☆
2023/05/20 1便MOS
ヘンピなところにあるが、そのロケーションもまた良い。2峰の東側を贅沢に全面使用した冒険感溢れる好ルート。核心は上下2つにあり途中で休めてしまうが、絶妙な傾斜により休めている気がしない。ムーブは多彩で乾きは早く、取り付く人が後を絶たない大人気ルートである。
[PTA周辺]
㊵PTA(5.11b)★☆☆
2023/05/20 3便MRP
PTAの壁(と言ってよいと思う)のど真ん中を突いた美しいスラブ。出だしのクラックが、ここから登りなさいとクライマーに語りかけてくる。JECC(ダイレクト)ほどではないが悪場が長く、スラブによくある一点突破型の課題ではない。それぞれの核心はクラック、バランス、ポッケと異なる動きを求められ、スラブなのに非常に多彩なムーブを楽しめる。終了点まで歩いてアプローチできるので練習しやすく、エンジョイスラブクライミングに最適な1本。
備考
グレードについて、JECC(ダイレクト)より簡単に感じた。思うに、手がかりがあるのが5.10前半、手がかりがなく足のバランスに頼るのが5.10後半、そして5.11からは指力を使わなければ登れないのではないだろうか。その意味では、単純に指力が必要だと感じたので5.11bで妥当かもしれない。個人的にはグレードが上がるにつれ、無限に極限フリクションスラブが高まっていくものだと思っていたので、結局フィンガーパワーに頼って登れてしまうのがやや残念に感じた。しかし、極限のフリクションというのは幻想で、単純に壁の傾斜とクライマーの体重で登れるか登れないのか決まってしまうのかもしれない。足の力だけで登れるというのは、つまるところその程度の課題、ということなのだろうか。これから先、手は一切使えず、足だけで登っていくような5.11、5.12課題の登場を期待したい。
6級+5級+4級=5.11b(レストだらけ)
屋根岩1峰メインウォール
⑤ムーランルージュ(5.11c)
1日1便×
ヤッホー元気と間違えて大敗退。最近は道によく迷うし、山ヤ時代はルーファイに自信があったのに、ラインを読む能力が減退している、、、。
⑥ヤッホー元気(5.10b)
1日2便×
1便目はランナウトに負けて敗退。2便目はカムエイドでトップロープを構築した。昔はどんなルートでもオンサイトを目指して頑張っていたのだが、、、。
⑨力the大岩(5.12c→5.12d)★★☆☆
2023/10/08 3日8便RP
7月に人生初パキりを経験し、その後初めての成果。本当は指に優しい岩場に行きたかったが、その日は小川山瑞牆くらいしか天気が良くなかった。試しにチカラザを触ってみると、見た目に反してパワフルな動きが連続し、カチる要素がまるでない。最後は室内ジムを凌駕するほどのコンプレッション祭りで、クライミングにはあまり必要ないはずの大胸筋が筋肉痛になってしまった。その日は3便出したが最後の核心が突破できず、敗退。次週、再び1峰へ。この日に登れないと、限界グレードの大幅ダウンを認めざるを得ない。先週の岩場復帰で指が目覚めたのか、初便で最後の核心を突破できた。さらに、その日は完登できなかったが、疲れが残る翌日の2便目に完登することができた。グレードは小川山本通り5.12dだと信じることにして、この調子で秋の天然記念物、RPを狙って努力していきたい。最後に、去年に出会い様々なエリア、ルートに付き合ってくれるパートナーに感謝を示したい。
以下ムーブメモ
出だし左手ガバ、右足側対アンダー体勢で右手クラックガバ、右足顕著な突起で左足フラッキングしながら左手アンダー(遠い)、左足、右足、左足を全て微妙なスタンスで右手穴ガバ(3手4級)。右足を顕著なスタンスに乗せてクリップ
左足を花崗岩にしては普通のスタンスに乗せてアンダーゾーンに左手、飛ばしながら逆V字の左側を左手で保持(右側も保持感良いが、次のムーブが苦しくなる)、右足を足クロスで斜めスタンスにキョン(このスタンスが曲者。三つ星のスタンス)、左足を薄いスタンスに張って右手をガバカチアンダーへ飛ばす、左足をさらに左側のスタンスに移して右足のキョンをステミングに変更(このステミング具合でクリップの安定性や次の1手でスリップするか決まる!)、左手を左側に飛ばしてクリップ(3手3級)。
左手を縦コルネ風のガバ、右足を縦コルネ下にある突起で側対レイバック体勢(滑らないのが不思議)、左足を顕著すぎるスタンス、右手を上のミニアンダーに飛ばして右足をズリあげる(はっきりしたスタンスまではあげず、スローピーな面の薄いスタンスまであげる)、左手左上のガバへデッド、右足あげて左足を壁の端っこにトゥ(テクい!)、左手をレストポイントでクリップ(3手4級)。
右手スローピーなアンダー、左足をカンテにステミングで右足をでかくて丸いスタンス、右手をカンテ(右)で無理やりカチ持ち、右手の肘を伸ばして左足を顕著なスタンスにあげて左手をカンテ(左)にコンプレッション、右足をスローピーな広々としたスタンスにあげて右手をカンテ(右)にコンプレッション、左足をさらに一つ上にあげて左手をカンテ(左)のリップ付近にコンプレッション、右足をあげて、左足をカンテにステミングで右足を左足で踏んでいたスタンスに踏みかえ、左足をカンテの左側に踏んで側対で右手リップ、左手をリップミニガバを経由してカンテ左のスローパーガバにデッド(7手2級)
最後は右手リップの奥にあるかかりのよいスローパーを右手で保持、左足を足ジャムで上部の岩のガバをつかんでマントリング(7級くらい、スローパーガバから素直にマントルすると難しそう、リーチがあるなら右回りが楽)
4級+3級+4級+2級=5.12d
屋根岩1峰東面
①プリンセス(5.10b)★★★→☆☆
2023/04/28 1便OS
完登セット(B→枯木→0.4→3→3→0.75→2→0.75→1→2)
小川山トポの見た目ほどは唆られない。内容は振れ幅のあるハンドサイズで、同じハンドジャムを続ける中でも変化があって面白い。ただ、サイズが少しずつ変わってしまうほどクラック自体に変化があり、ルートが断続的ともいえる。出だしのフィンガーも全無視してガバに手が届いてしまうのもガッカリした。1つ星でもいい気がするが、長さを考慮して2つ星とする。ただ、期待値が高すぎただけで、最初から2つ星課題だと思えば十分満足感のある課題だと思う。
グレードについて、5.10bだと甘い気がしたが、パートナーいわくカサブランカと同程度とのこと。そして、花束は5.10cでは辛いとのことだったので、私の体感とも一致することもあり、プリンセスは5.10b据え置き、花束を5.10dにグレードアップしておく。クレイジージャムよりは簡単な気もするが、核心の強度は花束のほうが上だと思う。それに伴い、カサブランカとジャックと豆の木は5.10b、5.10cに変更しておく。5.10a→5.10b/c→5.10dの基準より、ワングレードずつ上がる基準のほうが望ましいと思うので、今後はこのグレード感でグレーディングしていきたい。
④フィジカル(5.11a)★★
2023/04/28 1便MOS
小川山らしからぬ3Dで全身の筋肉を総動員する課題。岩は欠けなかったけど、欠けそうな恐怖を感じてしまう。小川山トポに書いてあるとおり、岩が安定すれば三つ星になる素質のある課題。グレードは甘いけど、5.10dにするほどではないと感じた。
⑩花束(5.10c→5.10d)★★☆
2023/04/28 1便OS
完登セット(B→0.75→1→0.5→2→0.3→0.4)
小川山レイバックを寝かせたような見た目。美しい岩肌で、思わず登りたくなってしまう。しっかりジャミングできるし、クラックの左右を使って立体的なムーブを起こすこともできる。核心の後で休めてしまうのが残念だが、最後も簡単すぎず、多彩なムーブを楽しめる。ムーブだけなら2つ星だが、尾根を詰めて岩を発見したとき、思わず嬉しくなってしまうような見た目を考慮して三つ星とする。長さがあと5m、いや3m長ければ四つ星になったかもしれない。
⑪厩屋王子(5.12b)★★☆☆☆
1日1便×
ストリームサイドエリア
④都忘れ(5.12a→5.11b)★★→☆
2023/05/04 1便OS
見た目とスケールは確かに惹かれるものがあるが、やっぱり限定課題は嫌いだ。右側を限定しようとすると、左側のルートのガバを使ってしまった。おそらく、右も左も限定して5.11cだと思う。個人的には右も左も使って自由に登れば、二つ星課題くらいの面白さにはなったのではないかと思う。
⑤Love or Nothin’(5.10a)★★☆
2023/05/04 1便OS
完登セット(3→1→0.2→0.75→2)
節理が発達しているので、カムで登ってみた。ちょっと効かせにくいかもしれないが、充実すると思う。ルートの内容は素晴らしく、フリークライミングを始めるクライマーに是非オススメしたい。
兄岩
[兄岩下部スラブ]
①グダイマイト(5.10c)★☆
2021/07/21 1便MOS
きれいなハングを越える。ムーブがあり、ハング越えの手前が一番難しく、十分に面白い。
④ピクニクラ(5.10b)★★★☆
2022/10/22 1便 MOS
参考セット0.2~3各1
見た目の割に内容は確かに三つ星!ルーフトラバースの手前でスモールカムをセットするところが緊張感があってよい。核心部は右抜けと左抜けの2パターンがある。左抜けの方が簡単なようだが、マスターだと右に行ってしまうだろう。オールナチュプロでも登れそうだが、ボルトがあるとやはり安心で、よく考えられたルートだと思う。最後のランナウトは爽快感がある。
⑤登攀のすべて(5.12a→5.11d)★☆☆
2024/08/10 2便RP
アプローチがビレイヤーを連行するには申し訳なさを感じてしまう難易度。今度フィックスを張っておこうと思う。ニンポーにフィックスを張ったり、城山のリバイアサンにも張ったり、各種整備作業を行っているが、クライミングの精神性を損ねているような気もする。有笠のアドベンチャーも開拓時はフィックスがなかったようだし、瑞牆のマルチを志すのであれば、各種エリアにおけるルートアプローチもクライミングに含まれているような気もするが、そこは棲み分けというか、ショートルートのエリアならフィックスでアプローチを快適にしても良いかと思う。アプローチを工作するデメリットよりも、アプローチ難度の高さで敬遠され、ルートそのものが忘れられてしまうデメリットの方が大きいように感じた。超名作ならアプローチなど関係ないと思うが、登攀のすべてだったり、川乗のウッシーⅡだったり、隠れ名作ほどむしろアプローチを整備する意義があると思う。
話が逸れ過ぎたが、課題はとても面白かった。ハングのクラックと取り先のダイクの距離感が絶妙で、そこからのマントルも素晴らしかった。さらに、ピクニクラと合流するラインの合理性とポケットホールドの配置が絶品で、限界グレードなら相当楽しめると思う。難点をあげると、ボルト間隔がミニマムなのか適正なのか、よくわからなかった。ミニマムにするならマントルとトラバースの間の1本は不要だと思うし、適正ならアプローチとマントルに1本ずつ必要だと思う。あと、中間部でノーハンドでき、右側に逃げられるのも微妙だった。ただ、簡単に右に逃げられるわけではなく、マントルからの1段立ちこみは自分のムーブだと左周りで、逃げることが許されなかったのは好印象だ。全体として3つ星はあると思う。良い課題だった。グレードについて、ノーハンドがあるので、実質ハング越えでグレーディングしてよいと思う。真夏で難しさはよくわからないが、3級のハング越えに6級のマントル(注意!危険!!)くらいじゃないかと思う。
⑥タジヤンⅣ(5.10a)★★→★△
2021/07/21 1便OS
最後が10mくらいランナウトする。終了点直下で落ちればグランドだが、落ちそうなランナウトパートで落ちたら1ピン目くらい(?)。なんにせよ最後にありそうなボルトがないので、要要注意。⑦のボルトにクリップして登ったので、完登といえるか怪しいが、核心部は7~8mランナウトに耐えながら解決したので完登とする。
⑦三日月のピン・クリップ(5.10b)★★
2021/07/21 1便OS
中間部が核心でムーブが面白い。最後はランナウトする。
[兄岩]
⑬Sunday(5.9→5.8)☆☆
2023/06/25 1便OS
完登セット(4→0.4→0.5→3→1→0.3→0.75)
見映えのするハンドクラックを気持ちの良いムーブで登る。下部の山登り感が残念だが、クラック部分はジャミングレイバック以外に手がかりが少なく、クラッククライミングを楽しめる。上部もウィニングロードみがあって爽快だ。八王子ルートと比べて、大きく難易度の差を感じたのでグレードダウンした。
備考:クラックの奥に3番をきめると、ロワーダウン時のテンションで上にきめた1番をロープがウォーキングさせてしまい、ガチガチになった1番とロープが絡み合いスタックしてしまった。クラックの奥にカムをきめるときは、前後のカム次第ではヌンチャク延長する必要性があるのだと理解した。
⑮めおとクラック(5.12a)
1日1便×
たぶん、初登時はナッツ等のプロテクションしか存在せず、ボルトを打ったのではないだろうか。現在はマイクロカムがあるのでボルトレスで登れるかもしれない。いや難しいかもしれない。下部と上部のクラックセクションは易しかった。中間部のボルトセクションが難しく、ここでグレードがついていると思う。自分の実力だと完全にボルダームーブになってしまった。
⑱八王子ルート(5.9→5.10a)☆
2023/06/25 1便OS
完登セット(0.3→0.75→0.4→3→0.75→0.4→4→0.2→2)
ハングが印象的なロングルート。登りは本チャン的で、ライン取り次第ではハングをダイレクトに抜けれると思うのだが、自分はクラックの左のホールドを使ったり右のカンテに乗り込んだりしてしまい、イマイチ課題を楽しめなかった。クラックは美しいと思うが、クラックの左右を使って登れてしまえるので星1つに留める。
⑱’無名クラック(5.7→5.8)☆
2024/06/09 1便OS
完登セット(0.75→0.75→1→1)
途中の棚が期待していたガバではなく、しっかりジャミングする必要性を感じたのがよかった。最後はスリングが延長されてロープが擦れないようになっているが、きちんとマントリングして終了すると充実すると思う。小川山レイバックのマントルがルートにおける醍醐味となっているように、無名クラックもマントルがルートの構成要素の一部分となっていると思う(マントルがクラックに対して難しすぎず、また易しすぎないということ。)。ジョイフルジャムと比較してワングレード難しいと思うので5.8にしておく。
㉒アルパイン少女マミ(5.11d→5.12a)★★☆♀♂
2022/10/23 2日4便RP
5.11をワンデイできないのは衝撃的だった。ネットのブログを漁ると、どうやら5.12になったらしい。花崗岩はムーブの解析に時間がかかる。時間がかけてムーブを組み立てるのがクライミングの醍醐味だが、今回は面倒くさく感じてしまった。単に、5.11を楽に登れないことへの苛立ちなのか。でも、石灰岩の方が面白いと感じてしまうのは自分だけだろうか。ルートは、兄岩ならこれを、と言った感じの良いロケーションにあり、内容も濃くて面白い。傾斜のとおり繊細な、傾斜に反してパワフルな、ミニマムボルトも感じさせてくれる良質な課題である。
以下ムーブメモ
核心は、顕著な左手で取りたくなる三角ガバを右手、クロスで左手縦カンテ、左足を顕著な棚の左側のミニ棚、右手アンダーのムーブで解決した。リーチが必要とのことだが、このムーブならリーチがなくても不可能ではないと思う。グレードは、嫌なレイバックをこなした後が5級、左トラバースが6級、核心が3級、その後の左トラバース気味に上がるところが6級で5.12aだと思う。四つ星の雰囲気が漂うが、核心の強度が前後に比べ高すぎるので三つ星とする。
5級+6級+3級+6級=5.12a
[兄岩東面]
㉗森の緑にかこまれて(5.11b)★★→☆
2023/05/03 2日3便RP
出だしに核心があるが、右隣のルートに行ってしまった。マスターだと、右上してからクリップになり、最適ムーブでトラバースするにはクライムダウンする必要がある。適度にストレニュアスで、出だしの核心を越えても上部で落とされる良いルートだが、若干上部が易しいのと、出だしの動きが自然でないため、1つ星とする。もう少し何かが噛み合えば3つ星になり得たと思う。
[兄岩2F]
㉞マガジン(5.10a)★☆
2023/05/21 1便OS
完登セット(0.3→2→0.3→0.4→0.5→0.5→1→1→0.75)
噂通りの美しいクラック。取り付きが高度感満点なのも良い。中間部から易しくなってしまうので三つ星はつけられなかったが、フィンガージャムの模範的練習課題といえる。
㉟ダンス・ダンス・ダンス(5.10c)
2024/06/09 1便OS
完登セット(0.3→0.2→0.25→0.1→0.4→0.3→B→B→B→B)
ラインがよくわからず、途中でPDの方に行こうとしてしまった。高度感による恐怖が凄まじく、グレード感は全くもって不明だった。ものすごく簡単に感じたが、もしかしたらボルト部分でグレードがついているのかもしれない。そうするとクラックのグレーディングではないということになり、5.10cのフェースだと思えば納得感がある。自分は、PDのラインのボルトを使ってしまった。PDはこのボルトが無ければオールナチュプロなのになあ、と思った。3峰南稜神奈川のチムニーでもボルトを使ってしまい、後悔が残った。NP&Bの功罪について考えさせられた。典型的な☆無ルートだと思う。
ままこ岩
①5.10a☆
2023/05/03 1便MOS
1箇所シビアだが、壁の左側の傾斜が緩く、ライン取りによっては5.9程度のようだ。
②ままこスラブ(5.10d)★☆
2023/05/21 1便MOS
湯河原のようなピン間隔で、岩は凹凸が大きく小川山ではないような岩質だ。悪場は意外と長く、中間核心では足だけに頼るフリクションクライミングが楽しめる。終了点が左にあり、左のルートが優しいのもあって左側に体が寄せられてしまう。密度の濃い三つ星クラスのルートだが、右のカンテと左側が限定感があるので2つ星に留める。特に最後は、終了点によって左に寄せられてしまうが、顕著なアンダーガバまで直登して5.10dに感じた。
1ピン目が遠いが、そこまで難しくはない。出だしにクラックがあるのでカムをセットすることもできる。
④磁力(5.12d→5.13a)★★☆♂
2023/06/25 4日11便RP
見ればこれとわかる課題。そして登りたくなる課題。グラウンドの危険があり、バラせてもつながる気配がなかったので、梅雨と夏を明けた秋シーズンに完登を狙っていたが、完登できてしまった。前日にもそれなりに家トレしていたので、びっくりした。要因はダイエットした以外に思いつかないが、最近は毎回コンディションを仕上げてクライミングするのではなく、秋シーズンまでの期間をジムや外岩、普段の生活を全てひっくるめてトレーニングと割り切っていたので、たまたま体の疲労が少なく、コンディション等の条件が整っただけかもしれない。とはいえ、梅雨時のベストとはいえない状態で完登できたのは自信になった。このペースで天然記念物に向けて調子をあげていきたい。
星について、ムーブの連続性と特異性を十二分に評価して3つ星としたい。天王岩の八月革命や障子岩のアドレナリンジャンキーなど短しい系課題の最高峰ではないだろうか。核心の前後は易しく、グレードには影響しないが緊張感のあるセクションで良いスパイスとなった。ガバ前の足上げで落ちれば地上1.5mくらい、ガバ取りで落ちればグラウンド必至だが、ガバ取り自体のムーブは易しいので、きちんとメンタルコントロールできればガバ取り前に降りるか突っ込むかの判断がつくと思う。自分はビレイには相当自信がある方だが、さすがにガバ取りで失敗されるとロープの伸びで着地できるか吸収できず怪我させるかの瀬戸際くらいだと思う。ただ、前述したようにガバ取りは南無参デッドではないので、Rはギリギリつかないだろう。低脂肪よりメンタル要素のある課題だといえる。しかし、そもそも2ピン目の位置が悪く、もっと上に設置できたはずで、初登者の意図とは異なるかもしれないが低脂肪くらいの安全課題には十分なりえたと思う。
メンタルの必要な課題について、ロクスノでジャンボ横山さんが、「RXルートを無暗にトップロープしてしまうのはいかがなものか」と記事を書いていたのが印象的だった。自分の考えとしては、「危険になればなるほど、トップロープ等の試登はすべきでなく、RP→OSと目標を高次元にすべき」と考える。危険になるから安全に練習するというのが、矛盾を孕んでいると思う。危険だから、オンサイトすることに価値が生まれるのではないだろうか。磁力も初リードトライではトップロープのフィックスを張って、地上30cmまでフォールすると自動でトップロープが作動するように細工していたが、思いのほか順調に登れてしまい、「あ、落ちてフォールチェックしないといけないのにどうしよう」と思ってしまった。結果、足上げてスリップしてしまい、フォール距離とパートナーのビレイ能力を安全に測れたので万々歳だったが、登れてしまったらどうしていたのだろうか。私は、個人的な意見だが、トップロープでも落ちなければ完登だと思う。それで喜んでいいと思うし、それを蔑んだりDISったりするのは間違いだと思う。あくまでリードは完登スタイルの一つであって、プリクリ、マスター、ハングドッグの有り無しやヨーヨースタイルなどの一部にトップロープ完登が含まれていると考える。むしろ、クリップもできないほどのギリギリのクライミングができたのなら、見方によってはRPよりWPの方が評価されるのではないだろうか。何が言いたいのかというと、試登で完登してしまったのなら、もうそれでいいんじゃないかと。過激な発言をすると、WPで終わらせるべきで、RPを目指すのは違うんじゃなかろうかと。これは私のこだわりだが、低脂肪でもムーブをバラせた段階でリードに切り替えており、磁力も偶然かもしれないが同じくリードに切り替えて完登している。登れるか登れないか、わからないから挑戦する価値があるのであって、トップロープでも完登してしまったら物語は完結していまい、リードする意味はなくなってしまうんじゃないだろうか。低脂肪をトップロープせずに完登を目指すクライマーもいるだろうし、いざR/Xを触る機会があったら簡単に考えを変えてしまうかもしれない。だが、とりあえずクラックで登場するPDについては、この自分のスタイルを貫いて登ろうと思う。
以下ムーブメモ
出だし側体で登る。左手で取りたいガバを右手でクリップ、左手縦カチで右手クラックが切れた先の横ガバカチ、左足1ピン目下のブロックにヒールで左手アンダーカチ、体を起こして右手ブロックに側対でクリップ(ここまで5.10cくらい、ムーブを覚える必要があるくらいの強度)、左手カンテ手前のガバカチに近いガバ、側対(左足ヒールで一時的に楽できるが、カンテを限定でこだわったので側対)で卵カチ、足を踏みかえてステミングで左手縦帯状カチ、左足を絶妙なスタンス(顕著なスタンスだと体が上がりすぎてしまい苦しい、微妙な丸い凹みを使う)、右足顕著なナナメ長方形面スタンス、右手ブロックアンダー気味カチ(ブロックが複数あるがブロックから張り出したカチが効く)、左足あげてキョンで左手激カチ、左足キョンを右足キョンに切り替えて右手大ブロック、左足を上手に踏み込んで(微妙なスタンスなのでスリップしやすいが、キョンの切り替えしをしつつも最後にしっかり踏み込めるかが一番のポイント)右足斜め広大面にある顕著な崩壊跡(顕著だが小さいので効かせて踏むのは難しい)で左足を卵カチにあげて左手3ピン上のガバにデッド(しびれる!)、クリップ、右手無理やりマッチで足をあげてアンダーをこれまたマッチしながら終了点右側の凹凸のあるガバ帯(カンテを限定すると少し難しいが、グレードが変わるほどではない。)、クリップして終了(トップアウトしたいが木が邪魔なのと、それが原因でカンテに乗り上げてしまうので、スポートルートとして顕著なガバクリップで終了とした。)。
7手初段=5.13a。途中、カンテ手前のガバにトラバースしないで直登したら2~3段ありそうだ。
弟岩
⑦ジョイフルジャム(5.8)☆☆☆
2023/05/21 1便OS
フリークライミングとはこのことではないだろうか。クラックの左右に手がかりがあるので難しくはないが、思わず見惚れてしまうほどの美しいクラックが山頂まで伸びている。
備考:クラック限定するとクソむずい。シンハンドできない。5.11はありそうだ。
適当につないだマルチ
1p(5.10a)☆
2024/06/09 1便OS
出だしがパズル的なムーブで、縦ホールドを効かせて登った。2~4ピッチに比べて体操的な難しさを感じた。
2p(5.9→5.7)
2024/06/09 1便OS
アルパインチックなピッチ。
3p(5.9)☆☆
2024/06/09 1便OS
印象的なクラック。足があると思わせつつ、しっかりとした難しさも感じた。上部はクラックが閉じてしまいランナウトした。簡単だが、クラック部分でもう一つプロテクションを取ればよかった。けど、クラックが閉じる手前が核心なんだよなあ。
4p(5.9→5.8)
2024/06/09 1便OS
左の岩にステミングしまくったら簡単になった。反則かもしれない。
妹岩
①イエロークラッシュ(5.12a)★★★♂→★★★☆
2021/08/28 2便RP
最高に面白い課題。5つ星にするか、かなり悩んだ。下部のアプローチと最上部が簡単なので、ぎりぎり落第で4つ星とする。トポでは♂マークがついていたが、細かい足位置の調整が必要な、岩の良さとジムの良さが掛け合わさった最高に良質な課題だと言える。景色の良さは言うまでもない。
以下ムーブメモ
2ピン目から3ピン目(4級)
左手縦カチ、右足ハイステップ、右手縦カチ、左手アンダー気味縦ガバ、右足右側で正対、右手薄横カチ、右足側対(そのままだと身動きがとれない)、左足外傾ガバスタンス、右足正対に戻す、スタで左手縦ガバ、右足外傾ガバスタンスで側対、クリップ
3ピン目から4ピン目(4級)
左足刻む、右足ハイステップ側対、右手右側の薄横カチ、左足正対、右足頑張ってあげる、左手縦ガバカチ、右手ミニガバ、左手スローパーミニガバ、右手ガバ、クリップ
4ピン目から5ピン目(5級だが手数が少ないので一番保持力が必要)
左手縦アンダーガバカチ、左足顕著なスタンスの下のスタンス(上のスタンスだと体勢が窮屈になる)、右足上げる、右手縦破片カチをガス気味にねじり握りこむ(5つ星クラスに面白い特徴的なホールド)、左手縦ガバカチへデッド、足をあげて右手ガバ
⑦カシオペア軌道(5.10b→5.10c)★★☆☆
2022/11/04 1便MOS
完登セット(B→0.75→0.4→1→0.2→B→4)
岩の導きを感じる、至高のライン。エクセレントパワーでも岩の道が出来上がっていて感動したが、これもまた聖なる岩がライン取りを啓示してくれる。オンサイトできて大満足だった。特に、スモールカムをきめて突っ込むところの緊張感はオンサイトならではだと思う。グレードはクラックグレードだとよくわからないが、少なくとも出だしの核心が5級くらいのスラブの5.10cに感じたので、1グレードあげておく。
⑧愛情物語(5.8)☆
2018/10/06 1便OS
過去に死亡事故が発生したルート。プロテクションは若干極めづらい気がする。ジャミングはあまり使わず、フェース中心の登りになるため、カムをセットするいい練習になると思う。
⑪ジャックと豆の木(5.10b/c→5.10c)★★☆☆
2018/10/06 1便OS
完登セット(0.5→0.75→0.4→4→1→0.75→2→3→2→3→0.5→0.4→0.2)
再登セット(6→5→0.75→0.75→2→3→1→1→0.2→0.5)
試しにやってみたらオンサイトできた。RPのクラック最高グレードがカサブランカの5.10aだったので素直に嬉しかった。仏岩のノーリターン(TR)でヒールアンドトゥ、フィンガーの練習ができたのが功を奏したようだ。出だしが怖くてカムを3つくらい固め取りし、1番を間違えて1つしか持たなかったので、上の方でかなりランナウトしてしまった。フェースだと冷静になれるが、クラックをやると頭が大爆発してしまうのは私だけだろうか。
追記:5年ぶりに完登してみた。使用した番手が違いすぎて意味が分からず、草しか生えない。最後が0.2で終えているのを見るに、5年前は一応アルパインクライマーだったので、今よりメンタルが強かったのだと思った。記事に書いてあるヒールアンドトゥは一切やらなかった。左のクラック沿いのガバを使いながら登ったので、ワイドっぽい登りはにはならなかった。オンサイトできた課題で落ちると死ぬほど萎えるので、登れて一安心だ。星について、3つ星としていたのを1つ上げて4つ星に変更する。景色が良ければ5つ星でもおかしくはないだろう。カサブランカより被っていてクライミングの連続性を感じられたのに加え、ワイド気味のセクションからハンドに移行する核心部を越えてもなお油断できず、悪場が長かったのが好印象だった。
⑭龍の子太郎(5.9★,5.8)
2018/06/25 1p2便RP
核心にカムをセットすると越えられないので、核心前に3番を2つ固め取りした。核心を越えたあとはランナウトする。
⑮カサブランカ(5.10a→5.10b)★★★
2018/06/25 3便RP
完登セット(1→0.75→3→2→0.75→1→1→2→0.5→0.5)
再登セット(0.75→0.3→2→0.75→0.4→1→2→3→0.4→1→0.4)
美しいクラック。ジャミングとレイバック以外許さないというのは素晴らしい。フェース登りできてしまうと、クラックグレードとしてグレード更新できたのか、しっくりこないので、小川山のクラック課題はこの点で満足いくクライミングができると思う。
追記:
5年ぶりに再登した。今回は木を使わず登ることができ、成長を感じた。普段はルートクライミングでリピートする趣味はないのだが、いろいろなクラックを登って、改めてカサブランカを見てみると、いかにもそそられるスペシャルな課題だと思った。三つ星のままにするのは、四つ星、五つ星にするにはクライミングの連続性が乏しいように感じるからだ。見映えはするが、意外とクラックは分断されており、傾斜が緩いせいでかなり休めてしまう。射精するほど気持ちの良いハンドジャムセクションは3mくらいで、あまり没頭できなかった。次はジャク豆をリピートして再評価してみたい。
以下ムーブメモ
中盤のフレア、終盤の右のクラックへの移動がそれぞれ核心。フレアはカムをセットする余裕がないのでランナウトした。フレアを越えた後はハンドがきまるので落ち着いてカムをセットできた。右のクラックへの移動は、ハンドを思いっきりねじ込んで足をあげ、レイバックでスタンスに乗り込んだ。右のクラックからカムが足りずランナウトしたが、1番または0.75番がきまると思う。ばっちりきめるのは難しい印象。
⑯ノーモアレイン(5.12a→5.12b)★★☆☆♂♀
2021/07/25 2日7便RP
長いルートだと途中の大レストはつきものだが、このルートは見た目に反して休憩がまともにできない。ジムのような消耗するレストをこなしつつ、核心を連続的に解決していく。核心ムーブはそれぞれ独特で面白く、独特な♂核心から♀核心につなげていくのがさらに面白い。頂上は妹岩で一番高く、マラ岩、親指岩、たぬき岩等の岩峰を思い出とともに眺めるのは至高のひと時だ。
以下ムーブの解説
右手左手アンダーから左足ミニ四角スタンス(上の大きい四角スタンスは、上げてしまうと腕が張ってしまう)、右手アンダーを左手でマッチ、右手をカンテ沿いのスローパーっぽいカチスローパー、右足をカンテ右上端に上げる、左手凹角の左側のミニカチ、左足を適当なところでキョン、左足のキョンをステミングに直して左手縦アンダーガバ(縦の方)、右手をカンテ上端のガバへ(パツパツ)。5手4級。
縦アンダーガバを左手(縦の方)、右足を左側に丸っぽい岩に寄せる。左足を顕著なミニスタンスに張る(上の方、下の方がムーブを起こしやすいが、核心後の足上げが困難。)、縦アンダーガバの右上ガバカチを右手、左カンテ上のミニピンチ、右足を大きく上げる(きつい)、右上のガバカチに右手デッド、カンテ左側のガバカチへ左手デッド。5手4級。
左手ガバの反対側のガバカチ、右足適当にヒールでスローパーへ右手(左側を空けておく)、右足見えない斜度の緩いスタンス、左足小さな丸い岩にヒール(右手を引きつけて効かせる)、左手マッチ、左足適当、右足カンテ端、右手カンテガバ、左足左側の丸い粒スタンスに立ち込む、左手縦カチ、右足スローパーに立ち込む(叫ぶ)6手5級。
5.11a+4級+4級+5級で5.12b。スラブ核心後は左寄りに登ると容易。
⑰ニンポー(5.12d→5.13a)★
2024/10/13 3日8便RP
大岩三部作、ショートハードシリーズの最後の一角を落とすことができた。このラインは、昨年の春にアプローチのフィックスを設置した後、指をパキってしまい放置してしまったものだ。日曜に完登できたが、土曜にも一人完登、小鹿野委員会の有名クライマーもSNS上で完登報告、youtubeにも完登動画がupされており、一昔前まで不人気課題だったのにすっかり様変わりしてしまった。5.13aを土日2日で完登できた経験は今まで無かったが、youtubeの完登動画が参考になり、RPの助けにもなった。マラ岩東面から見ると、緑色のフィックスが色鮮やかで、人目を引くのもトライされるようになった要因かもしれない。自然の景観を損ねている感じもあるので、ノーモアレインのフィックスくらい目立たなくなってほしい思いもあるが、フィックス無しでビレイヤーをニンポーに連行するのは相当心理的難度が高いと思うので、総合的に考えて良いことをしたのかな、と思う。
ただし、課題の面白さは、他の三部作と比べて見劣りすると言わざるを得ない。出だしのドガバのせいで足置きが単調になり、その後も手は悪いのだがスタンスがデカすぎる。核心部はムーブを感じさせる動きがあるが、要リーチで、ラインも真っ直ぐ解決することができない。また、ショートハードというが、ニンポーに関しては完全にボルダリングであり、これをやるなら普通に有名ボルダリング課題をトライする方が有意義かもしれない。面白さ的には星1つで、上記のマイナス要素から星無しとするところだが、大岩三部作の一角であり、特異なロケーションとアプローチを有すること、終了点で景色が一気に広がるのが開放的で気持ち良いため、星1つのままとする。
ボロクソ書いてしまったが、フィックスも無い中リボルトをしてくれた職人達には頭が上がらない。自力でアプローチできない人間にはトライする資格もないというメッセージかもしれないが、マイナー課題においては、アプローチを含めてクライミングの崇高さを保つことよりも、課題そのものが忘れられてしまうリスクを優先する、というクライマーの一意見を申しておく。
追記:
上記のとおり、個人的な面白さは星1つなわけだが、完登後の充実感はひとしおで、打ち込んだ課題で感じるものと同等だった。理由について考えてみると、①全身全霊のトライだったこと、②パキる前とパキる後で、成長を感じられたこと、の2点だと思う。改めて、自分はリードクライミングが好きなんだなあ、と思った。
以下ムーブメモ
3ピン目で足がロープに引っかかりやすい。というか、どう足置きしようがバランスを崩すと足がロープに引っかかる。ボルト位置の関係上、チョンボに頼ってしまいがちなルートなので、ランナウトした状態でムーブを起こす機会が少ないと思う。そうすると、繋げトライの初便でやってしまいがちなので、フォールすると相当な危険が伴う。この1トライにおいては、磁力の危険度を上回る。核心初手の外傾カチを左足で踏んで、左上のスローパーにトラバースデッドするわけだが、左足がロープに引っかからないよう踏み方、落ち方に注意する必要がある。
5手9足初段=5.13a(途中の中継ガストンは手数に含まない)。核心までの導入部分は5級くらい。
マラ岩
[東面]
⑲レギュラー(5.10c)★★☆☆♀
2020/06/27 1便OS
ルートファインディング能力が試される名作。登っていて限定感を感じにくく、左に右に自由に登っていく。最後は左上に逃げてトップアウトしたが、ライン取りをビレイヤーに教えてもらったこともあり、純粋なオンサイトとするか悩んだ。途中で傾斜が緩くなるものの、最初から最後まで気の抜けない、素晴らしい名作だと思う。
追記:最後は直登することができる。
⑳イレギュラー★★♀
2022/05/19 1便MOS
強烈なランナウトに耐える課題。⑲と比べてラインが読みづらく、オンサイトは難しい。ホールドに導かれるような全能感のある⑲と比べるとやや見劣りする。⑲がオリジナルで、⑳はバリエーション的な。限定はないかもしれないが、⑲は自由に登り、⑳は⑲寄りのホールドを使わないよう注意した。最後は、直登が難しかったので右から登った。三つ星でもよかったが、終了点が真上になく迷子になること、限定感があることにより星2つ据え置きとする。
追記:本来は、イレギュラーが最初に登られ、レギュラーが後から登られたようだ。
㉑ブラックホール(5.12b→5.12c)★☆☆♀
2023/06/26 5日11便RP
非常に取りつきやすいので東面に来たクライマーが皆トライしているが、一瞬で敗退するため混み合うことは滅多にない不思議なルート。思い返すと、イエロークラッシュを2撃後にトライしてド敗退してから、丸2年かかってしまった。隙間産業的に取りついていたが、エクセレント完登後も跳ね返され、コンディションが整っていないと出だしの核心を突破することは難しかった。強度はエクセレントの核心と同じ2級だと思うが、手数が少ないのでエクセレントが登れてもこれは登れないクライマーはいてもおかしくない。実質3ピン目で終了だが、そこからが手順の難しさがあり、さらに傾斜が変わって登り方も変化し、最後はスーパーランナウトするのが個性豊かで大変に充実した。単純な面白さだと2つ星だが、ロングルートを最後まで飽きさせないルート構成やボルト位置を評価して3つ星とする。
普段、なるべくプリクリしないように気をつけているのだが、このルートは気にならなかった。自分の基準を考えてみると、フォールしたら大怪我の危険があり、さらにムーブが難しい場合は道具を使ってクリップ、そうでないなら、自分の手足でプリクリできるのならクリップ、という感覚のようだ。今回は下地も超危険ではなかったが、右のクラックからプリクリできたのでセーフとする。
以下ムーブメモ
出だしの左取りは、下引きすること。そうすると、右手ガバカチのために左手を引きつけることができる。ガバカチの後は、縦ホールドを右手、左手の順でマッチする。最後は、右手で取りたくなるホールドを左手で保持する。
2級+3級+5級=5.12c(実質2級と3級で5.12c、3手2級、5手3級)
カムは0.4、2番。巨大ガバフレークの手前のミニフレークで0.4が決めれるが脆く、効かせるのが少し難しい。
㉔オーバーヒート(5.11c→5.11d)★★
2024/06/16 ~20便WP
2024/07/28 2日~30便RP
完登セット(0.4→0.3→0.2→0.25→0.2→0.2→0.25→0.75→2→3)
現在進行形の倒木により、出だしのムーブが難化中の課題。初便はわけがわからなかったが、コツを掴むとトップロープで完登することができた。自分のムーブだと、左手がフィンガ~シンハンド(指を曲げてハンドジャムの雰囲気にして支持を得る、被っているので上方向に引っ掛けるとアンダーみたいなノリで効く)からの右足切株からの右手リップ先のピンキーガバにデッド、そこから脳筋する感じだった。スタイルにこだわって切株&倒木を使わないで登るとなると、出だしのクラックが完全に閉じており、カムを決めることができない。倒木を使わないで登るのに、カムセットは倒木を使ってOKなのか?という疑問が残る。自然に任せて、あるがままの状態で登るのが良いように感じた。グレードは切株フル活用で3級、初登時はピンキージャムに初手で届いたようなので、そうなると4級くらいで5.11bの初登グレードに納得感がある。バリエーションとして、左手フィンガー~シンハンドでスタート、右手はよくわからんフィンガー群、そこから切株を使わないで登ると、小川山本に記載のとおり5.12aになるのだろうか。いずれにせよ、切株は使わないにしても倒木はある程度使用して登るものだと推察される。
星について、RPしてないのに評価するのも顰蹙モノだが、初登時が一番面白かったのではないかと思う。ハング越えの難度とハングを超えた後の垂壁フィンガーセクションの難度が近い方が、クライミングの連続性を感じられて楽しいと思う。自分がWPした時には既にハング越えの難易度が凄まじく、フィンガーは難しいけど練習すればどうにかなるかな、と思うくらいだった。ロケーションの素晴らしさ、クラックの美しさ、クラックの5.11でハング越えを経験させてくれる希少性から2つ星は十分にあると思われる。
RP後感想:
WP時の腹積もりと異なり、核心の真っ只中でカムをセットする必要性に迫られた。ハング下で固め取りを2箇所セットしたとはいえ、緊張感のあるトライになった。結果としてはある程度余裕をもって完登でき、グレードも甘すぎず辛すぎない印象だったが、初めてこの課題を発見した時のとても登れる気のしない威圧感や迫力が脳裏に焼き付いていて、今回RPまでこぎ着けたことは非常に感慨深い出来事だった。アプローチのフィックスや、枯れ木に嵌め込まれた岩、終了点のロープや残置ビナなど、先人達の遺物がなければファンクライマーの自分にはとても取り付ける課題ではなかったと思う。自分も名課題に出会った時は、アプローチの整備をしたり、完登動画や写真をSNSにあげたりして、この素晴らしい歴史的遺産が後世まで語り継がれる、その一役になれるよう頑張りたい。
㉕卒業試験(5.10b)★☆☆☆
2020/06/27 1便MOS
独立した岩峰にただ1つその存在するルート。ライン取りは非常に自由で、核心だけでなくその前後もムーブが悩ましく、内容が濃い。ボルトの位置も考えられており、フリークライミングの面白さがよくわかる課題。
[北面]
ムードはイイ線(5.9)☆
2023/07/12 1便OS
完登セット(2→0.3→6→3→0.5→0.75→0.25→0.4)
ライン取りがなんともクラッククライミングらしい好課題。登ってみると意外とチョークがついていることが隠れ人気課題の証左だろう。見た目よりはずいぶん長く、ランナウト要素もあって充実すること間違いなし。ただしホリデーと同じく、限定グレードのクライマーにはオススメできない。
[西面]
⑥届け手の平(5.10c)★☆
2023/06/26 1便OS
初登者のネーミングセンスが光る課題。マラ岩に行ったことのあるクライマーなら一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。核心部は、自分の感覚では核心だけ切り取ってもJECCより簡単に感じた。ただし、要フィンガーパワーで、かつ巨大穴もスローパーで保持できるくらいだったので、そうでないと足技勝負となり面白い課題となり得るかもしれない。5.10cなので一応5級くらいの難易度としておくが、JECCの上部(限定ライン)の方が難しく感じた(しつこい)。星は本来1つ星だが、ユニークな課題名を考慮して2つ星とする。実際、どちらも同じくらいの人気具合だと思う。
追記:JECCの時も思ったが、細かいポッケがちょうどボルトの抜け跡に見えてしまい、JECCはなるべく使わないようにしたが、届け手の平は核心部そのものなので使わざるを得なかった。チッピングも同様だが、ボルト穴でないこと、チッピングされていないことは悪魔の証明なので、あまり気にしないようにすることが一番なのだろうか。
⑦JECCルート(5.10d→5.11a)★★
2022/11/04 2日3便MRP
参考セット(0.3→B)
スラブはマスターの方が充実するので、マスターで頑張った。ついでに、ライン取りもこだわった。出だしは右側は使わず、直登を意識した。中間部はボルト穴を使わないようにした。上部は右側の明瞭なスタンスは使わず、最上部は届け手のひらの巨大穴は使わないようにした。これだけ書くと死ぬほど限定しているようだが、あまり気にならないと思いう。これで確かに5.11aだと思う。内容は同程度の難しさが続き星3つクラスだが、やはり限定があり意見が分かれてしまうので、星2つのままにする。
5級くらいが永遠と続いて5.11a(レストしまくりだが上部は息つく暇もない)
[マラ岩北面]
[マラ岩南面]
⑩ホリデー(5.9+)★★
2023/06/26 1便OS
完登セット(0.1→3→2→1→0.5→2→3→4)
+ってなんだ?初めて見たんだけど、、、。確かに、プラスをつけてもいいくらい危険な香りのするルートだった。今回小川山本を見て、ボルト無視で登ってみただが、カムの効きが甘く緊張感MAXだった。かといって、小川山本のように5.10aとするかというと、やはり5.9で適正だと思う。クラックについては、Eグレードのように単純なムーブの難易度とは別に危険度の指標が欲しいところだ。つまり、無印、PD、R、Xだと幅がありすぎる。10段階くらいあってよいと思う。ボルトが打たれたのは納得できる面もあり、納得できない面もある。南稜神奈川のようにキレイなボルトが欲しいところにあると使ってしまうのは人の性だし、そこをボルトに頼らず知恵と努力で解決するのがフリークライミングだと思う。かといって、瑞牆のR/Xエリアだらけになるのもファンクライミングとしては好ましくないと思う。ピクニクラは素晴らしいルートだと思うし、ボルトの功罪について考えさせられるルートだった。星は面白さ的には1つ星だが、歴史的な価値を込めて2つ星のままにする。
⑭シルクロード(5.12b/c→5.12c/d)★★★
2022/10/16 5日16便MRP
⑮ロッキーロード(5.12a)★★☆
2022/10/16 5日16便MRP
参考セット0.75
⑯エクセレントパワー(5.13a)★★★☆☆
2022/10/16 5日16便MRP
エクセレントパワーの印象は、あまり良くなかったと記憶している。100岩のトポを見て、わざわざ繋げる必要があるのか?と思ってしまった。妹岩、マラ岩に来てからも、エクセレントがどこにあるのかわからず、初めて来てから2年後くらいにエクセレントを発見した。こんなところに!?こんな大きな岩が!という印象だった。その時は奥でスペシ
ャリストだかメランジだかをやっているパーティーもいて、威圧感があって近寄りにくかった。その後、梅雨前のタイミングで、エクセレントに触る機会があった。同じくリンク課題であるシンデレラボーイのラインを理解した時と同様、バラさず下から繋げて登るぞ!と意気込んでいた。
初め、パートナーのレギュラーのビレイをしていた。その時、2人組のパーティーが待っているような気配を感じたが、平日ということもあり、気楽にパートナーのクライミングを眺めていた。「すみません、長いんですが、、、」と言われたときは、少しびっくりした。気持ちはわかるが、実際に口に出して言われたことはなく、言ったこともない。しかも理由が、ロッキーロードとシルクロードにヌンチャクをかけるために、レギュラーを譲れというのだ。これには、カチンときた。レギュラーを一生懸命登っているクライマーより、アップで登りたいクライマーが優先するはずがない。アップで登りたいのなら、ほかにもルートはいっぱいあるだろう。回り込んでヌンチャクをかけたいだとか、ヌンチャクを掴むだとか、チョンボ棒を使うだとか、程度の差はあるがどれも反則行為だ。反則行為だけど、安全のため、または効率優先で仕方なく(こっそり)用いる手段であって、頑張って登っているクライマーに対して堂々と言う言葉ではない。場所は変わるが、有笠のアドベンチャーランドで用心棒を登ろうとしたとき、「あ、そこは今から右のルートからヌンチャクかけるよ」と言われ静止されたことがある。そんな当たり前の権利のように主張するものではない、と思う。クライマーが優先で、クライマーがオウンリスクで楽しむスポーツだと思う。回り込んでヌンチャクかける連中は、その時点ではクライマーではない。自分も回り込んだり懸垂してヌンチャクをかけることは多々あるけれど、そこにクライマーがいて取り付こうとしているなら、クライマーを優先するだろう。そして、ここはマラ岩で、このルートはエクセレントパワーである。下から正々堂々登りたいとは思わないのか?こんなことを思うのは自分だけなのか?と不安になり、ネットで調べてみた。すると、草野さんがマスタースタイルで完登していた。よし、俺もマスターで完登しよう。
マスターで登ろうと思った理由は、ほかにもある。エクセレントはメンタルが重要な課題だからである。傾斜はスラブに近く、ヌンチャクがかかっているか否かで精神的な難易度が大きく異なる。被っていて、マスターだと肉体的にパンプしてしまうのなら、迷わずヌンチャクをかけたままにするが、精神的な難易度が変わるのなら、マスターの方がしっくりくる。ただ、トライを重ねれば重ねるほど、落ち慣れし、グラウンドしない高さならば、怖さも薄れていく。結局はマスターでもヌンチャクプリセットでも精神的な難易度は変わらなくなるが、それでもマスターにした理由がもう1つあった。それは、ロープの流れである。エクセレントは40mの高さを蛇行しながら登るため、ヌンチャクの長さを調整して、ロープの流れを良くする必要がある。その目的でヌンチャクを長くしても、傍から見るとロープの流れを調整しているのか、それとも単に怖くて長くしているのか、判別することができない。完登してYoutubeにアップロードすることが生きがいになって(しまって)いる自分にとっては、これは是非はっきりしておきたい問題だった。こんな経緯もあって、マスターで登ることにした。完登時は、腕より足がヨレてしまって、クラックを登って右の面のガバカチにデッドする箇所が本当にギリギリだった。そこからほぼノーハンドで休めるはずだが、全然休めなかった。ノーハンドスラブに立ちこむまで、限界クライミングだった。普通はロッキーロードの出だしをこなせば、ほぼ完登だと思うが、自分はこんな事情もあって上部まで最高に楽しめた。一番最後で落ちる人もいるみたいだが、さすがに休まなさすぎか、岩が完全に温まって熱いくらいかのどちらかだと思う。留まろうと思えば、1時間だって留まれるレストポイントなのだから。
グレードは、5.13aが限界の自分にとって、マスタースタイルで、かつ前のトライから1
時間20分くらいしか空けていなかったので、5.13aにはやや疑問がつく。でも、エクセ
レントは素晴らしすぎるラインで、日本初の5.13aが日本最高の課題であるという非常にイコニックかつメモリアルな歴史を背負っているので、誰も文句を言う人がいないのだと思う。あえて物申せば、ワングレードダウンで5.12d、日本でこんな長さのある課題は非常に稀なので、日本というロケーションを加味して5.12d/5.13aを個人的な体感グレードとしておく(中間グレードは自分の好むものではないので、グレード表記は5.13aのままにする。)。
5級+2級+4級+6級+4級+2級+5級+4級+(一番最後は5級)=5.12d/5.13a
シルクロードの核心は、自分は2級に感じたが、人によっては1級~初段くらいの幅があると思う。そうすると、当然5.13aは固い。
考察:エクセレントのグレードや限定について
思うに、初登者が5.13aとして、シュテファングロバッツが5.12に感じたということは、その差はリンク部分にあるのではないだろうか。大岩課題の共通点として、リンク部分の美しさ、ムーブの難解さがある。エクセレント、シンデレラ、そして触ってもいないが唐獅子牡丹も同じではなかろうか。所謂リンクモノの課題は本来ならクソ課題だが、エクセレントだったりシンデレラだったり、大岩課題はリンクするに値する価値が感じられる課題ばかりだ。そして、リンク部分が明確な核心となっていること、これがラインの美しさに加えて、リンクモノを課題として成立させるのに必要な構成要素なのだと思う。エクセレントのリンク部分は若干ブランク気味で、リーチが短ければ短いほど不可能感があると思う。逆に、リーチがある外国人は簡単に感じ、5.12とグレーディングする場合もある。リーチの長くない初登者が、安易にカンテに逃げず、明確な核心として解決し、完登したからこそ、エクセレントパワーは日本初の5.13として歴史的にも非常に意義のある課題になったのではないだろうか。
姉岩
⓪卒業試験(5.10b)★☆☆☆
2020/06/27 1便MOS
独立した岩峰にただ1つその存在するルート。ライン取りは非常に自由で、核心だけでなくその前後もムーブが悩ましく、内容が濃い。ボルトの位置も考えられており、フリークライミングの面白さがよくわかる課題。
①センター試験(5.8)
2020/06/27 1便OS
ヌンチャクを借りてトライしたが、やはりスラブはマスターで登るべきだと感じた。
②限定解除(5.10d)
2020/06/27 2便RP
限定解除せずに登った。星1つの内容だが、限定があるのでマイナス星1つで星なし。核心は5級くらい。
烏帽子岩
左稜線(18P,450m)☆☆☆☆
2022/08/11 OS(全ピッチリードトライ)
参考セット(0.3~4×1セット)
今まで登ったマルチの中で一番良かった。もう一度登りたい。カムは0~4を1セット用意したが、0,0.1,0.2は使わなかった。岩でガリガリなってしまい、使ってもないのに新品マイクロカムが傷ついてしまい私の心も傷ついた。最終ピッチのチムニーは5.9だと思う。
八幡沢左岸スラブ
⑰雨がやんだら(5.11b→5.11a)☆☆
2021/07/24 1便OS
とてもきれいなフェイスを登る。倍くらい長さがあれば3つ星以上確定。フェイスはカチだらけで、中間部の棚も意外に悪い。最後は左カンテを使用するが、限定して登ると最後が2~3級のムーブになってしまい、5.12台確定なので安心してカンテを使おう。
㉔YMO(5.12a)★
1日1便×
5.12のスラブを初体験の課題。難しい、、、
㉕ブラック&ホワイト(5.10b)★★☆
2021/07/24 1便OS
ボルトの位置が絶妙で、最後まで緊張感のあるクライミングを約束してくれる。スラブ課題だが、典型的な何もないヤツではなく、この世界でここにしかない、独特なムーブを下から上まで要求される。ちなみに1ピン目と2ピン目間はカムを差せるかもしれない。
㉗ジャーマンスープレックス(5.10c)★★
2021/07/24 2便RP
出だしのライン取りを誤りOSならず。ラインの美しさに過度にこだわってしまい、視野が狭くなっていた。ムーブは面白いが、いつものスラブって感じ、、、。上部は岩が白くて美しく、終了点近くの水晶が完登に華を添えてくれたので星は2つのままとする。