34-2 神戸の岩場
KANOTO
※注意:以下の但し書きをご理解の上、お読みください。
(1)グレードについて、個人的感覚により調整しています。性別、身長、リーチによって体感グレードは変わりますが、個人的なブログとしてご容赦いただいた上でご覧ください。なお、グレーディングの基準について、コラム11「グレード解析工房」で説明しています。
(2)星について、100岩では4つ星までついてますが、これもまた個人的感覚により、5つ星までつけています。星の基準については、「00 表記の読み方」で説明しています。グレードに対してこちらは、そこまでの批判は生じないでしょうが、やはり苦労して登った課題の星が下がっている場合があるかと思いますので、よくご理解の上、ご覧ください。
①ラッコ(5.10b)×
ボルトは古く、終了点も腐ったスリングとなる。高さも普通のボルダーくらいなので取り組む価値は薄いと思う。下地はよいのでボルダー課題として取り組むことは不可能ではないだろうが、かなりの掃除が必要。
③ハリネズミ(5.10b/c)☆☆
2019/06/23 2便RP
アルマジロと勘違いして取りついて撃退されてしまった。ボルトは古く、テンションはかけられたがフォールする気にはなれなかった。ルートの内容自体は良質で、下部と上部にそれぞれ核心があり、上部の核心の方が難しく、中間部でレストができる。最上部はいったん左よりに登って右にトラバースするとよい。終了点は④と共有するため新しく、中間支点のリボルトが期待される。
④アルマジロ(5.9)
2019/06/02 1便MOS
絵に描いたようなガバルート。出だしが若干ガバじゃなくて焦る。途中でランナウトするが、河又の同グレードよりも容易だと思う。最上部の滲み出しがひどく、もはや晴れていてもそこだけ雨が降っているといっていい状態になるが、下部から上部まではバッチリ乾いており、快適なクライミングが楽しめる。
追記:ガバ丸と勘違いしていたようだ。また、晴れが3日以上続けば、最上部はとりあえず濡れているだけで雨が降ることはなさそうだ。
⑤ガバ丸(5.10a)☆
2019/06/29 1便MOS
そんなにガバじゃない。④の方がガバ丸だと思う。出だしは濡れていると特に滑りやすく、ある程度のフィジカルが必要だろう。上部に至るまでも室内ジムではガバとはいえないようなホールドが続き、前腕が張る。最上部はブランクになっており、コルネに体を挟みこんでアンダーで体を上げて登ったが、濡れているとかなり難しい。
追記:最上部は、乾いていると普通にホールドを使って登れた。出だしは7級、核心は6級くらいありそう。
⑦ウィリー(左5.10b/c、直登5.11b→5.12b)
2019/06/02 1便MOS(左)★★☆
2023/12/17 3便RP(直登)★★→☆
出だしのボルダームーブから薄被りのルートセクションへ繋げる。ライン取りは自然かつ明瞭で、ガバに導かれるようにして終了点に到達する。ホールドは豊富で、典型的な石灰岩のクライミングを堪能できる。最後に近づくにつれ傾斜がきつくなるのも素晴らしい。出だしのボルダーは左から登って5~6級、直登は2級くらい。左から登った方がルートの強度が平均的で、限界グレードの人にとってはかなり面白いルートになるだろう。直登だと出だしが全てで、後は作業になってしまう。なお、出だしのボルダーは滲みだしでめちゃくちゃになっていたが、上部は常識的な濡れ具合で、概ね5.10dくらいの感覚で登ることができた。そんな中でも直登のラインは完璧に乾いていたが、はたしてこの岩場に通う人間が登ることは可能なのだろうか。追記:晴れが3日以上続けば出だしも乾いている可能性が期待できる。
(直登の記録)
人はグレードより難しい課題に直面すると、すぐに岩が欠けているとか言うが、これについては100%欠損していると言い切れる。ボルダーグレードで2級くらい。傾斜も垂壁で、登ったことないけど二子山白壁フェースと同じノリだと思う。神戸の岩場において異質の課題だが、コルネだらけの岩質に変化があってラーメン屋の味変的なノリで面白いと思う。
⑩オトシブミ(5.11d)★☆☆☆
2019/06/12 2日6便RP
持久系ながら長いルートに見合っただけの核心が4つもあり、最高に面白い。御前岩のただ長いだけのルートに辟易としていたので、トップアウトすらできないのが快感だった。20mの大スケールの最後に核心が3連続で用意されているという密度の濃さ、さらにそれぞれの核心の間にクリップできるガバが配置されている作品の完成度に星4つをつけたい。また、このルートはいくら滲みだしていようが登ることができる。乾いている状態と1グレードも変わらないだろう。
以下ムーブメモ
出だしの細かいカチを繋いで左へトラバースする下部核心(6級)をこなしたら、ステミングでレスト。そこから前腕を消耗するムーブが続き、上部の核心へ突入する。1つ目は、スローパー2つを左手、右手(右のスローパーは縦ホールドのように保持する。)で保持して、ピンチを左手で保持、右手で縦カチを中継して、縦ガバに小デッド(6級)。コルネの間に隠された右足スタンスを発見できるかが鍵だと思う。次に、左手で縦カチを保持し、右手を縦小ガバに飛ばし、左手をさらに上の縦カチに飛ばし、上部のカチを左手で保持し、右側の遠いガバを保持する(6級)。スタンスの踏みかえが鍵なので、左足のために右足を少し右よりに踏み込もう。追記:滲みだしにより左側のホールドが使えず、ムーブを修正した。縦ガバと小縦ガバを掴み、左足キョンでパワフルに足をあげ、上部のカチを左手で保持する。グレードは同じ6級だが、手数、足数が半分になるので、こちらの方がパワフルだが容易。最後に、左足キョンで上部のカチから右側の縦カチに飛ばし(左手)、右側のガバからさらに右のガバに飛ばし(右手)、上部のガバに右手デッド(6級)。
⑪カラヤブリ(5.12a)★★☆
2021/05/16 4日8便RP
オトシブミのバリエーション的な扱いだが、ルートの性格が全く異なり十二分に面白い。オトシブミはラインの弱点を突くが、カラヤブリはラインの強点を攻める。核心はボルダーグレードで1級分変わらないくらいだがやや難しく、ランナウトする。この2ルートについて、一見奇妙なライン取りの整合性は十分にある。それぞれの課題の個性も際立っており、⑩はスタティックにホールドを繋いでいき、全てのボルトにクリップホールドが配置されているザ・持久系のルートなのに対し、⑪はリーチの必要なムーブが続き、かつランナウトを強いられる場面が多い。どちらも一度はトライする価値のあるルートだといえる。
以下ムーブメモ
下部は共通で、カチを繋ぐ核心から右にトラバースするが、ここの難度は左でも右でも共通して6級程度(卵を右手で持つのがコツ、左上のシワを左手で持ち、後は左右のガバをガストンで登る。)。下部核心について、カラヤブリの場合はルート全体のグレードに関わらないと思う。そこからリーチの必要なムーブが続き、レストポイントに到着する。⑩のほとんどノーハンドで休めるレストと異なり、いわゆる普通のレストポイントといった感じ。そこからホールドに沿って右上するとかなりムーブが悪くなってしまう上に次のムーブに繋がらないため、ここはやや左上気味に登るとよい。レストのガバより少し上のガバカチを右手、左のやや遠い縦ガバをまず左手でカチ持ち、体を上げたらアンダーに切り替え、甘いガバへ右手デッド(4手、6級)、ややカチ持ちできるホールドを左手で保持して苦しいクリップをこなしたら、やや遠いアンダーガバを左手で保持し、遠い縦ガバへ右手大デッド(2手、6級)。合流地点に到着したら、左足でジャミングして奥スローパーを左手、手前スローパーを縦ホールドのように右手で保持し、見本ピンチを左手で保持、右足ヒールで縦カチを右手で保持、ガバへ右手デッド(5手、6級)。⑩と微妙にムーブが異なるのが面白い。←色々やってるうちに全く同じになった…。次のムーブは⑩と同様で、上部のカチを今度は右手で保持する(4手、6級)。左上のミニガバ2つのどちらかを左手で保持、薄いコルネを右手で保持、縦ガバで左手デッド(3手、6級)。体をうまく側対にしてクリップ。さらに終了点までの道のりも⑩より甘いホールドが続き、1グレードの差は間違いなくあると感じた。
追記:中間部の核心について、滲みだしていると手に負えない難度となる。周りがめちゃくちゃな時も中間部は乾いてたこともあり、行ってみないことにはわからないが…。
追記2:核心の右手大デッドについて、オトシブミ辺りのホールドを使って左に巻き気味に登るクライマーがいた。トポの説明書きを見るに大デッドが正規ムーブでこの課題の醍醐味のような気がするが、自分は下部をオトシブミから登りがっつり休んでいるが、他のクライマーは1ピン目から完全に分岐して登っておりチムニーレストもしていない。どちらが正解というわけではないが、やはりバリエーションルートとして意見が分かれてしまうので、星4つにはせず星3つとする。オトシブミを弱点を突いて登るため意見の食い違いが起きにくく、素晴らしい
⑫花粉症(5.11d)★★→☆
花粉症ダイレクトとラインの違いがわかりにくいが、最後はオトシブミのコルネを使って登るのだと思う。オトシブミはコルネの上部を使うが、花粉症はコルネの下部までトラバースして上部のコルネまで登り、ドボーンの終了点に復帰トラバースするライン。このように整理すると、神戸の岩場のコルネを余すことなく活用できて面白い。ドボーンも私のラインだと花粉症ダイレクトと被ることがなく、絶妙に住み分けできている。あみだくじや限定がある岩場は嫌いで、いつも好きなように登っていたが、先人達には先人達の考え方があって尊重すべき点もあると思った。
⑬花粉症ダイレクト(5.12a→5.12b?)☆☆
1日2便×
ドボーンラインと比較するとキレイに分岐しており、花粉症より評価すべきラインなのでは?と思った。ドボーンは核心の強度が3級くらいあって厳しいが直前でニーバーレスト大回復可能、花粉症ダイレクトは最終核心(4~5級?)前でニーバーレストができず、総合的な難易度は変わらないかもしれない。また、ドボーンは分岐から明確に右にトラバースし、惰性的にコルネを詰めて核心に到達するが、花粉症ダイレクトは一連のムーブがレストなしで続いている。ドボーンはルート+ボルダーのパターン、花粉症ダイレクトはボルダー4つで一つのルートになるパターンで、二つ星は間違いなくあると思う。
5級+5級+6級+4級(?)=5.12b(?)
最終核心は太っちょコルネを左手、側対でビクトリー縦ガバへ右手大デッド。
⑭ドボーン(5.12a→5.12b)☆☆☆
2023/01/01 4日14便RP
自分の組み立てたムーブに固執してしまい、完登に時間のかかった課題。同時期にケレンジも取り組んでおり、同様のミスをしてしまった。もう少し柔軟に考えたい。最後の核心のランジムーブが気持ちよく、ランジで完登したかったが自分には力不足で、5.12cだと思っていたが、5.12dくらいあるのかもしれない。結局、全てスタティックに登ることができ、そうすると最後は3級くらいなので、5.12bくらいで妥当かもしれない。ランジムーブは2級くらいあって気持ちが良いので、腕に自信がある方は試してみてほしい。
以下自分のライン取り、ムーブメモ
1ピン目までは左のルート沿いに、2ピン目から分岐、右手ガバ、左手を右のルートでも使うガバコルネ(濡れてることが多いヤツ)、右手を薄いカチ、左手をガバコルネ手前のガバ縦カチ(わかりにくい)3ピン目クリップ、3ピン目すぐ下のスローパーを右手、クロス気味にガバに見えない丸いガバを左手、印象的なミニコルネを右手、左手をわかりにくいガバカチ(割と水平線上の左側)、左足を顕著なスタンス、右足を適当に、左手鼻コルネにデッド(5級)、道なりに進んでから左のルートのレストポイントへ。(完登時は、スローパーは使わず、ガバに見えない丸いガバを右手、印象的なミニコルネを左手でコルネを直接取りに行った。リーチが必要だが、完璧に乾いていればこのムーブで行けるかも)
4ピン目レストから、右上のコルネまでのトラバースが厳しい。左手が掴めそうで掴めないホールドが続く。最初は左端にカチ持ちできるホールドあるので、左手で思いっきりロックオフする。右手を縦カチ、右足を顕著すぎるスタンス、右手を縦ガバカチ、スタンスを左足に踏みかえて、左手甘いカチ(親指で抑え込める、左側の方が親指は悪いが、それ以外の手がよい。←完登時は違いホールディング、とにかく悪い)、さらに足を右足に踏みかえて、ガバへ右手デッド(5級)。
核心前のニーバーでレストする(発見するのに3日かかった)。ニーバーするかしないかで、グレードが1グレード以上変わってしまう。上部をクリップして戻って再度ニーバーした。その上はクリップを飛ばした(ゆえにドボーン?)。
核心は、右手ガバ、左手突起(アンダーの下)、右足中間部のスタンス、左足コルネの中間でキョン、左手アンダー、キョンを返して右手縦ガバカチ(できるだけ上の良いやつ)、右足あげて、左足を張って、右足をコルネ頂上の膨らんだスタンス、左手縦ガバカチ、右足逆三角の黒いスタンス、左足非常に小さいスタンス、右手を縦カンテ上ホールドに飛ばす(見た目に持てそうに見えないが、しっかり効く)、左手ファットピンチ(悪い!ドボーンのハイライトホールド)、左足を中央のふくらみのあるスタンス、左手を縦カチ、右足、左足、右足で踏みかえて、左足を左ルート上のコルネに張る。鋭利なガバに右手で終了。9手3級。(参考:以下ランジムーブ。悪過ぎて不採用にしたが、何度やっても爽快だった。ファットピンチからの縦カチから、右足ヒールフック(バチ効き)、右手斜め面外傾ホールド、左手ランジ(2級、ヒールフック解除でランジは1級くらい。)。5.11b(5級+5級)+3級=5.12b(ニーバーレストあり)
備考:
カラヤブリドボーンについて。Youtubeに勝井さんが登ったカラヤブリドボーン(5.12d)がアップされているが、グレードはドボーンと変わらないと思う。カラヤブリの核心はリーチで難易度が変わりそうなので、それで体感が違うのかもしれない。自分にとってはドボーンの下部ラインの方がむしろ難しかった。いずれにせよドボーンの核心手前でニーバーレストできるので、そこまでをどんなラインで登ろうともグレード感は変わらないと思う。ドボーンの核心について、私は最終クリップ(できない)から斜め左上に登ったが、勝井さんはバブルスの終了点沿いに登っていた。その点もグレード感が変わる要因だと思う。
⑮バブルス下部バリエイション(5.11c)×
初見ではライン取りが不明。ボルトも見当たらない。
追記:花粉症ドボーン共通ケミカル右隣のケミカル3本がこれらしい。1本目、いくらなんでも高すぎでは。あとバリエーションになりうるのか謎。
⑯バブルス(5.11b)☆☆
2020/11/16 3日5便RP
神戸の岩場のコルネの中で一番綺麗に発達したものを贅沢に使うライン。濡れていて2ピン目以降の下部がかなりの核心だった。それなりにランナウトするので4ピン目をかけるまでずっと緊張してしまう。核心は見映えのするコルネを使ったレイバック。そこからは右側のガバホールドを繋いで終了点へ向かうが、全体を通して縦ホールドが多く、前腕が張るムーブが続く。上部はどんな時も乾いているので、下部が濡れている場合は2グレードアップの5.11dくらい。下部から上部までほぼ均一な負荷がかかり、リードクライミングらしく面白かった。
追記:梅雨時は上部も濡れていた…。濡れているというか、滲みだしはないのだがあまりの湿気で全てのホールドがヌメっていた。チャートで結露はよくあるが、石灰岩でも結露はあるらしい。
⑰スネークヘッド(5.11c)×
普通に考えて⑯がスネークヘッドに見えるのだが…。ボルトは錆びてなかったが、終了点は古いスリング。⑱と隣接しているので、右側に乗り込んでしまいそうで、限定を感じさせるラインだ。
⑱割箸(5.10d)☆
2019/06/23 1便OS
まあまあ見映えのする2つのコルネが印象的なルート。しかしながら持ち感が悪く、割箸のようなムーブ(?)にはならず残念だ。下部は三次元的で、ランナウトもするので緊張感がある。そこからスラブのセクションに移り、左から右にトラバースして核心の割箸セクションに突入する。割箸を越えたら左上のとても魅力的なガバで小休止ができる。最後は右にトラバースして抜けた。短い中に3つの変化があってなかなか面白かった。ちなみに、上部と下部は滲みだしの影響を受けないが、中間部のスラブが尋常じゃなく滲み出ており、なおかつスタンスも悪い。クリップも厳しくグラウンドの危険もあるので要注意だ。