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​30 名栗河又

​KAWAMATA

※注意:以下の但し書きをご理解の上、お読みください。

(1)グレードについて、個人的感覚により調整しています。性別、身長、リーチによって体感グレードは変わりますが、個人的なブログとしてご容赦いただいた上でご覧ください。なお、グレーディングの基準について、コラム11「グレード解析工房」で説明しています。

(2)星について、100岩では4つ星までついてますが、これもまた個人的感覚により、5つ星までつけています。星の基準については、「00 表記の読み方」で説明しています。グレードに対してこちらは、そこまでの批判は生じないでしょうが、やはり苦労して登った課題の星が下がっている場合があるかと思いますので、よくご理解の上、ご覧ください。

 

コウモリ岩

①忍吉98(5.9)☆

2018/04/21 2日3便RP

下地が水の通り道。5.9のガバだが1ピン目が遠く、ヒールフックからスタートなので落ちられない。スタートホールドは明瞭で、足場もスタートホールドの真下に岩が積み重ねられているため、リーチのないクライマーが利用することができる。1ピン目付近はチムニーのように体を挟み込む必要があり、こういったクライミングができないとグラウンドの危険がある。その後も基本的にガバだが良いホールドを見つけるのが大変で、見た目より傾斜があるので相当にパンプする。リードするにはフィジカルを鍛えてからがよい。

追記:夏場はホールドからカマドウマが出てくるので要注意。

追記:出だしは右側からトラバースすることも可能(プリクリせずにトラバースできるか?)。

②忍吉(5.10a)

2018/04/21 2日3便RP

下地が水の通り道。スタートのスタンスが黒すぎてビックリするが、このツルツルスタンスに安定して踏み込めるかどうかで石灰岩への慣れが試されると思う。①と同じく出だしが核心だが、こちらの方がよりホールドが悪くなる。マスターだとグラウンドする高さまで登ってから2ピン目を掛ける必要があるので注意(直上と左周りの2つのラインがあり、保持力があれば直上も可能でランナウトすることもないが、5.10aにしては辛め。)。中間部の抜け口手前で休めるものの、傾斜があり全体を通して消耗する。トポでは直上ラインに4ピン目が打ってあるが、ここは素直に3ピン目から①に向かって右上した方がよい。現在は4ピン目にボルトは打たれていない。クライミングを始めた頃に完登した課題で、当初星2つにしていたが、冷静に考えて星はなしとする。とはいえ、客観的に見て星のつかない課題だとしても、ムーブを考え、課題を解決する楽しさは、どんな課題でもどんな難しさでも共通で普遍的なものだと思う。

③タコ(5.11b→5.11a)★☆♂

2019/04/07  2便RP

パワフルなトラバース課題。あくまで限定課題で、本来ならトラバースしなくても済むのかと思いきや、ちゃんとトラバースしなければ左上できないのが面白い。②忍吉のレストポイントがありがたく感じ、ボルトも5ピンあるのでこちらの方がよりルートらしくなる。ムーブは若干デッド気味になるので、ホールドを知っていないとオンサイトするのは難しい。このグレードにしてこの傾斜はなかなかないので、希少性の意味で星2つとした。

参考:完全にトラバースしてもよいが、途中から直上するとすばらしい左手ガバがある(発見しづらい。)。

④スネーク・ジュニア(5.11d→5.12a)★★★

2019/04/28  4日14便RP

ワンテン地獄を初めて味わったルート。ゴール取りで5回(終了点付近を含め8回)落ちてしまった。同時期にトライしたデザートソングの便数を遥かに超えてしまい、しかし100岩場のグレードはたったの5.11dで自信を失った。まじでクライミングを辞めようかと思った…。だが、見た目にも3つ星に見えず登攀欲が湧かなかったが、触ってみるとその内容の濃さに思わず納得してしまった。また、ギザギザハート側から見てみると、辺り一帯がとても綺麗に前傾しており、その一番贅沢なところを抜き出したラインであるため、星3つであるともいえる。出だしから絶妙に悪いホールドが続き、終了点直下というか、まさしくゴール取りが核心の気持ちの良い(?)課題。それぞれのムーブの間にはクリップまたはシェイクができるくらいのホールドが設置されており、短いながらメリハリがあって非常に面白い。

この課題の素晴らしいところは、ライン取りや一部のホールドが一見限定に見えるが、やってみると1つのライン取りしかできず、また全てのホールドを利用しなければ終了点にたどり着かないことだ。特に、最後の終了点ガバには強引にデッドすることができず、丁寧にホールドを拾う必要があるのが素晴らしい(私の感想であり、リーチがあれば、当然届いてしまう、、、)。コルネを使ったムーブの質は河又で一番ではないだろうか。これで長さがあれば文句なしの4つ星課題になっただろうが、短いゆえにハードなボルダームーブが密集しており、これはこれで非常に価値が高いといえる。最後の核心を消耗した前腕で対処できるか?

以下ムーブメモ

まず、出だしの巨大コルネ(?)をジムナスティックな動きで解決したら、左手のデッドでレストポイントへ(全部で5級)。2ピン目にクリップしたら、右にあるカチを右手で中継し、続けて右側の下部コルネを保持する。体勢をあげたら、左側の下部コルネを左手で保持し、右側の上部コルネを右手で保持し、3ピン目をクリップする。次は左にあるカチを左手で保持して、左側の下部コルネを右手で保持、上部の左ピンチを左手で保持したら両足を上げて左側の上部コルネを右手で保持し、左上のガバを左手で保持する(全部で5級)。右手に見える縦ガバコルネ2つを右手、左手の順で保持したら、右足キョンで終了点間際のカチを右手で保持し、ステミング中の左足をさらにずりあげ、右足を明瞭なスタンスにあげて終了点ガバにめがけて右手デッド(4手、4級。終了点間際のカチが鍵になるが、リーチの影響をモロに受ける。)。

参考:ゴールについて、終了点の左側に何かガバっぽいのがあるらしく、それで終了としているクライマーがいた(トライしていないと草葉で埋もれるので、初見では気づきにくいかもしれない。)。終了点の位置からして真の終了点は終了点の右奥だと思うが、そのクライマーは上部を直上しており、私は左端からトラバースしたので、逆に左端が限定だと思うクライマーもいるかもしれない。ルートの内容は非常に面白く感じたが、このような限定や終了点について意見の分かれるルートは4つ星にはできないな、と感じた。

⑤カッパ(5.10c→5.10b)☆

2019/04/14  2便RP

変化があり総合力を試されるライン。

以下ムーブメモ

印象的な特大コルネは意外にホールドが乏しいので、真上にあるカチを右手で保持して、さらに細かいホールドを繋いで登っていく。特大コルネはチムニーのように体を挟みこむのに利用する。その状態でレストしつつクリップし、右にトラバースするところが若干のバランスを要し面白い。

⑥ギザギザ・ハート(5.10c)★★

2018/06/02 2便RP

下部は傾斜があって縦ホールド主体なので、ジムナスティックな側対ムーブを多用するのかと思いきや、単純に正対でピンチ取りした方が疲れないのが面白い。上部はムーブがあり、素直に順手で取ろうとすると次に繋がらないので、逆手でポケットに手を突っ込むとよい。濃い内容で良い練習になるが、側対が通用しないというのは、裏を返すとフィジカルと保持力(悪い意味での正対登り)で雑に解決できてしまうこと意味するため、力のない5.10クライマーのうちに取り組んだ方が充実すると思う。

⑦地主(5.11b→5.11a)★

2019/06/05  2便RP

核心は4手で5級くらい。小作人の体感は2手で5級なので地主の方が取り組みやすいと思う。上部も易しいので1グレード下げたが、核心部はややリーチが必要で、リップに1手で届かないとなると、大多数の人は5.11bに感じるかもしれない。

以下ムーブメモ

出だしのコルネから、ギザギザ・ハートのコルネを中継して上部のコルネを保持する。

左手でアンダーを保持して、上にあるフレーク状のガバを保持。クロスのような動きでリップ右側のホールドを保持、さらにクロスのような動きで見えにくい縦ガバを保持。これで実質終了となる。

⑧小作人(5.11b)★☆

2019/05/27  2日3便RP

小作人壁の中で一番面白い課題。短いながらボルトの絶妙な配置によりシビれるランナウトを楽しめる好ルート。

以下ムーブメモ

ハング越えとその先の垂壁の2つが核心。ハング越え(2手、5級)は縦ホールドを左手で保持し側対で上部のフレークに右手を引っかける。ヌンチャクを調整しない限りここでしかクリップができず、多少ランナウトする。さらに、その先もよくないホールドが続き、普通にランナウトする。右足を顕著なスタンス(突起物)に踏み込むのがコツだが、初見では発見することが難しい。

⑨オガミイットウ(直登5.11b、右回り5.10d)

2019/12/15  1便MOS(右回り)

2019/12/18  2便MRP(直登)

オンサイトに固執するあまり、正規のラインと異なる登り方で完登してしまった。⑧の1ピン目から⑨の1ピン目にリンクすると不自然なく登ることができる。⑨の1ピン目が高すぎため、(たとえプリクリップした場合でも)このように迂回気味に登るクライマーが多いと思う。これは⑦についても同様で、下から見ると⑧の1ピン目を起点にしてルートが展開しているように見える(実際はよく見ると⑨の1ピン目は、⑧の2ピン目と⑦の1ピン目に比べて、やや低めに設定されている。)。これはルート間の距離が近すぎることによる弊害だが、⑧がこの面の最も合理的で素直なオリジナルルートだと考えると、⑨はバリエーションと捉えることができる。そうすると、やはり設定通り、(1ピン目をプリクリップして)直登すべきだろう。ただし、右回りの場合でもグレードは下がってしまうが、同じような強度のムーブが続き、バランス、パワーの配分もちょうどよく面白い。逆に、直登の場合はボルダームーブが成功すると実質終了となる。どちらのラインも登りごたえ十分で星1つの価値はあるが、ボルトの位置によって勘違いが起きやすく、それによって2グレード難しさが変わってしまい、課題の感想を共有しにくいため星はつけないままにする。

以下ムーブメモ

左手穴ガバ、右手薄カチでスタート。穴アンダーへ右手デッド。ごちゃごちゃしたカチを左手で保持して、上部の縦コルネピンチへ左手デッド。足位置を調整して、右足フラッキングで横コルネアンダーへ右手デッド。4手4級。(穴)アンダーからの(横コルネ)アンダーへのアンダーデッドが新鮮で面白い。直登はここで実質終了だが、右回りの場合は次の右手クロスの1手が核心となる。薄いカチで⑨の1ピン目へクリップするため消耗が激しく、短いながら持久系の感すらある。直登の瞬発系と対比され、核心の箇所も異なるのでそれぞれトライする価値あり。右回りの場合は、⑧の1ピン目からクリップしていけばプリクリする必要もなく、2ピン目(⑨の1ピン目)に至るまでのバランス、ランナウト感が恐ろしく、逆にそれがルートの面白さを増していると思う。

⑩大根音頭(5.12a→5.12c)☆☆

2021/10/20  2日完登(~20便)

気持ちの良いランジの課題。出だし核心で、かぶってるぜのような若干のアプローチがなく、下地さえよければボルダリングとしても成立する。もっと登られても良い課題。距離出しがキモなため、グレードはリーチの影響をモロに受ける。体感1級。これを完登(できるとは思っておらず、完登してしまった)したため、河又は残り3課題となってしまい、岩場に行けなくなることの恐怖を感じた。

以下ムーブメモ

出だしは右足を顕著なスタンス、左手カチ(当初下側を使っていたが、上側を使った方が1手省略できる)、右手ファットピンチへデッド(当初地ジャンだったが、左手を固められるようになったためデッドになった)、両足を上げて左手ランジ(2手、1級)。初段との意見もあり。

参考:上部も難しいようだが、ボルトが古く登られていないので、オガミイットウのラインをそのまま直上することが多い。

参考:初登者の大根原さんは「おおねはら」読む。

⑪畑(5.11b)☆

2019/12/21  4便RP

トラバース課題。ジムナスティックな動きで面白い。

以下ムーブメモ

出だしはボルト右下の縦ガバカチを右手で保持して、ボルト左上の薄カチを左手で保持する。トラバース側に良いスタンスが無いので、トラバース中間部のスタンスに右足を乗せて、右側の縦カンテカチへトラバースデッド(リーチが必要、途中にアンダーカチがあるが、中継可能かどうかは不明。)。トラバース中間部のスタンスを左足に踏みかえて、右端のでかいスタンスに右足を乗せる。斜め棚ホールドの手前のカチを左手で保持して、斜め棚ホールドへ左手デッド(5手、4級)。斜め棚ホールドで2ピン目にクリップ。ここで実質終了と思いきや、斜め棚ホールドはあまり休むことができず、消耗した状態で第2核心へ突入する。これしか掴めないカチを右手で保持し、スタンスが皆無なため縦カンテカチにフットジャムを決めながら上部のコルネホールドを保持する。後は、コルネを利用した快適な側対クライミングで終了点に到達する。⑫で使いたかったコルネを思う存分利用でき、とても楽しい。

参考:上部は右上にガバがあるっぽい。

⑫麦畑(5.10b)★

2018/04/21  1便OS

河又にしては傾斜が緩く、粘れるのでオンサイト向き。右側にあるホールドたちが掴めそうで掴めないのがもどかしい。あまりよくないホールドでトラバースするところが核心。

⑬かぶってるぜ(5.12a)

2021/05/30  5日13便RP

ヒールムーブが主流で楽そうだが、自分はランジの方が楽だった。4日目までヒールでトライしていたが、結局最後まで成功しなかった。最初のトライで諦めていた縦ガバカチの効きが良くなっており、ビレイヤーの「使ってみたら?」の助言で無事完登することができた。クライミングはあらゆる意味で視野を広くすることが大事だと思った。

面白さについて、ランジムーブは面白かったが、ヒールムーブと動きが違いすぎ、課題の感想を共有しにくいので星はなしにする。大根やマンモス初手を登ってみて思うのは、ランジは想像力が重要で、まず手が届くイメージを持てるかどうかが重要だということだ。リードクライマーはスタティック信者が多く、デッド魔神を他称される自分でもランジをイメージすることが難しかったので、自然とヒールで登るクライマーが主流となってしまうが、ボルダラーにとっては、少なくとも段がつく課題ではないので、ランジを選択する人も多いのではないかと思う。

以下ムーブメモ

1ピン目は麦畑のボルトを利用する。1ピン目をかぶってるぜのボルトにすると、かなり登りにくい。足は人によってカンテ左でヒールしたり、⑫の壁でステミングしたりするが、基本的に⑬の壁で直登できる。右手棚ホールド、左手ガバカチ(見えない)、右手外傾棚ホールド(右側、カチ持ちできなくもない、親指で抑え込める)、左足キョン(深い、ニーバー気分)でカンテ右側の縦ガバカチ(指を捻じ込める)、左足、右足を上げてステミング気味に体勢を整え、リップ上のガバで左手ランジ(4手、2級)後は道なりに進むだけ。

参考:ヒールムーブは1級との意見あり。

⑭イヤーイヤ(5.11a)★★

2019/04/28  2日2便MRP

思うように成果が上がらず失意の中、必死に頑張って登ることができ、嬉しかった課題。5.12台はおろか5.11台ですら新たに登れたのは1ヶ月ぶりで、励まされた。トラバース課題だが、出だしから1ピン目の右側から登る必要があり、課題の特性が徹底されており面白い。1ピン目から3ピン目の間はホールドを発見しづらく、オンサイトは難しいと思う。その後4ピン目まで持久力のいるムーブが続き、4ピン目で座って休むことができる。だが、休むといってもガバホールドがうまい位置に配置されておらず、若干消耗した状態でトラバースセクションに突入する。このセクションがまたホールドの位置が悪く、緊張感のあるトラバースを強いられる。パワーからバランス、変化があっておすすめできる星2つ課題である。この課題は、側対(“効かせる”登り方)が通用しない。ホールド自体はそこまで悪くないがホールドの向きが悪く、効かせようとすると進行方向にトラバースすることができない。下部は正対で引きつけ、上部はバランスでいなす。ジムリードで側対ばかりやっていると体操が上手になってしまうが、この課題では地に足つけたロッククライミングをしなければならない。

備忘録:終了点の右奥の大穴にムササビがいた。とても可愛かったが、真っ直ぐ飛ばれたらフォールしていたかも。幸い飛んでこなかった。怯えている様子も見られたのでそっとしておこう。

⑮アリゲーター(5.11a)★

2019/06/01  2便MRP

出だしボルダーの課題。

以下ムーブメモ

出だしの核心(体感4級)は、左足を地面、右足をステミングで岩に突っ張り、ボルトの右下にあるクラックに右手を引っかけるところ。ホールドが発見しづらく、オンサイトは難しかった。右手で保持できたら、適当な所にトゥーフックをかけ、振られないようにしてボルトの左上にあるクラックに左手を引っかける。後は道なりに進むだけだが、最上部はチョーク跡がついていないと難しいと思う。若干右回りに登っていくようにすると易しかった。

⑯大将(5.10c→5.10d)★★

2019/06/06  2便MRP

トポにはリーチが必要と書いてある。確かにリーチがあればトラバースが1手で済むが、足が悪いのでかなりパワフルなムーブとなってしまう。実際には縦ホールドで中継できるのでリーチはそれほど関係ないだろう。また、トラバースが核心で後は作業に見えるが、トラバース後のハングにも1ムーブあり、さらに上部もレストできるもののパンプした腕にはキツイホールドが続き、星2つの面白さは十分ある。

⑰ミヤザキミドリ(5.10a→5.10b)★★

2018/06/02 2日2便RP

ガバは多いが河又特有のツルツルスタンスに悩まされる。クリップの間隔も遠く感じられ、マスターで登るとかなり緊張する。コウモリ岩のこの面で一番魅力的かつ長大なラインであり、同じような強度のムーブが最初から最後まで続くのは素晴らしい。

追記:初心者クライマーによると、やはりいきのいい奴よりは確かに難易度に差があるようだ。

⑱サファイヤ(5.10d→5.10c)☆

2019/06/19  1便MOS

核心のハング越えが醍醐味。核心周辺はきちんとボルトが打ってあり安心感があるが、その後はランナウトする。不思議とランナウトしている感覚は薄かったが、限界グレードだと緊張したのかも。最終クリップからは⑲に合流したが、直上するラインも引けそうなので、その場合はやはり5.10dなのかもしれない。

⑲ターミナル・ドライブ(5.10b)

2019/04/20  1便MOS

左から右に直上していく高度感のあるルート。アップに最適だと思うが、取りついている人は少ない。出だしは少し汚いが、要所要所にムーブがあり、最後に一番難しいムーブが配置されており十分楽しめると思う。いきのいい奴の進化バージョン。いきのいい奴と同様に星1つのルートだと思うが、出だしと最後が脆く、特に終了点近くはランナウトしていることもあり注意を要するので、星はつけないままにする。

備考:出だしで左に行き過ぎるとルンゼの棚みたいなところから引き返せなくなるようだ。下から見る限りはいたって簡単そうだが…。

⑳デンジャ・デンジャ(5.11b→5.11c)☆☆

2019/08/04  3日5便RP

デンジャラスよりもよっぽどデンジャラスな課題。デンジャラス自体、普通のリードクライマーには厳しいボルダー課題なので、これが登れずにデンジャ・デンジャに回避してしまうと、圧倒的ランナウトにハマってしまうことになる。核心はデンジャラスよりハードではないが手数が多いのでこちらも3級だろう。

以下ムーブメモ

3ピン目は長ヌンがよい。3ピン目をクリップ後、ステミングでトラバースして、穴の中のガバを右手で保持し、リップのミニガバを左手で保持。左上のごちゃごちゃしたスタンスに左足を移し、左足キョンで上部のガバに左手を飛ばす。右足のニーバーで足が切れないようにして縦ホールドを右手で保持。右足を黒いスタンス跡のある箇所に移し、左足を㉑デンジャラスで使用する凹角右下のカチ帯に移し、左足キョンでさらに上部のガバにデッド。後は道なりに進むだけだが、一応真っ直ぐ登ることができ、そうするとリップへの最後の一手が最後の核心となる。終了点手前のボルトを長ヌン連結にすれば乗越しの前にクリップができる。乗越しは難しくないが、限界グレードの場合はクリップした方が安全だろう。デンジャラスは3手の3級、デンジャ・デンジャは6手の3級だと思う。デンジャ・デンジャの方がリーチが必要な印象。多彩なムーブと痺れるランナウトを考慮して星2つとする。

備考:初登者はお金が無いためトラロープで初登したらしい。

㉑デンジャラス(5.11c→5.11d)☆☆

2019/06/19  3日13便RP

ルート名のせいで取りつく人が少ないように思うが、実際はデンジャラスではない。核心部でも大してフォールしないだろう。ただし内容はボルダーチックでリードクライマーにとってはグレードが辛く、これもまた取りつく人が少ない理由となっている。

以下ムーブメモ

核心(3手、3級)は、右手コルネ(手前のかかりが浅いコルネの方が次のムーブを起こしやすい。)から左手を凹角真下のカチ(横カチ以外によく見ると縦カチがあるので利用するとよい。)、右手を凹角右下のカチ帯に送り、左足キョンで左手ピンチ、送って左手カチ、右足を上げてステミングでガバに左手デッドするところ。コルネ、ピンチ、カチ、ガバとホールドのスーパーマーケットのように変化に富み(追記:おもらいの方がすごかった)、キョン、ステミングでどっ被りの傾斜を殺しながら“パンッ”と音の鳴る気持ちのよいデッドをきめる。ルートということで総合的に考えて星2つとしたが、核心の内容は石灰岩の中でもかなり質が高く、ボルダリング課題として考えれば星3つだろう。その後は単調に見えるが5.10cくらいあり、デザート・ソングの上部と同グレードくらいだが1つ1つのホールドの距離が遠く、かなり難しく感じる。さらに、終了点直下は素直な手順で登ると最後がボルダームーブとなってしまいこれではとてもではないが5.11cではない。左手、右手、左手ではなく、左手、右手、カチを左手で耐えながら右手で手を伸ばせばどうにか5.11dか。なお、上部と下部の間では巨大コルネでレストができる。完全にレストできるわけではないので、そのまままっすぐ登ればかなり充実するだろう。右に逃げて大レストできなければルートとしても星3つだったかもしれない。

参考:核心はカンテのしわを右手で引いて登るクライマーがいた。

㉒一期一会(5.12d)★★

2021/11/17  8日18便RP

大五郎がオリジナルルートでドラゴン・ストリートがバリエーションだとすると、デザート・ソングがオリジナルルートで一期一会がバリエーションかつ河又の岩場の卒業課題だといえる。卒業課題ということで星4つを期待したが、ラインが右→左→右にずれて他のルートと干渉してしまい、ムーブがわかりづらい。また、核心はリーチによってムーブが変わり、左右のホールド、スタンスを使ってしまうためルートの感想を共有しにくい。星2つで順当な課題であり、典型的なバリエーションルートだといえる。これが客観的に見た一期一会の感想だが、個人的には4つ星をつけたいくらい思い出深い課題だった。

一期一会を初めて触ったのは2年半も前のことになる。当時、クライミングを初めてから2年間の間ずっと、数か月単位で順調にグレードが上がっており、二子山のノースマウンテン、モダンラブ、ペトルーシュカの完登によりいよいよ調子づいていた。その後、火の鳥を触ったあたりから、グレード停滞の時代が訪れることになる。クライミングの師匠と2年間ともにしていたが、二子山のペトルーシュカを最後に、一緒にクライミングに行くことはなくなり、二子に行くこともなくなってしまった。その後は、スパイダーマン、ウェーブなど充実した5.12aを各地で落としていったが、5.12cを手につけるには、通ってくれるパートナーも乏しく、なかなか難しかった。とはいえ、北川で秋葉大権現やUVを完登でき、自信の成長は確かに感じることができた。それでも、グレードは5.12aだったり5.12bだったりで、課題そのものには十分な魅力を感じるものの、最高グレードは5.12bのままだった。その折りに触った一期一会は、関東周辺の岩場では5.12cとなっており、有名さも相まってグレード更新の候補として上位にあがっていた課題であり、意気揚々と取りついた。そして絶望した。なんだ?このポッケは?ホールドなのか?というかそこまでたどり着かないのですが、、、。手が出ないどころか足も出ない、圧倒的な敗北だった。原因は、ボルダー力不足だった。そのため、河又で5.11台からボルダー課題を攻略していった。一期一会は、半年に一回程度、機会があれば触り続けていた。その度に不可能に感じ、気付けば河又で取り組める課題が15課題ほどになっていた。だが、一期一会はまだ手が届かない。行き詰っていたところ、パートナーの好意によりシュテファンフェイスまで遠出してもらい、リクルートドラゴンに打ち込むことができた。その後もおもらいやさっちゃん、かぶってるぜなど、全ては一期一会の挫折を起点として、完登に繋げていった。最後には残り5課題になった。そして挫折から2年半後、ついに完登することができた。できないことができるようになるという、クライミングの醍醐味を十分に味わうことができた。今では、ボルダー力が身に付き、マンモスケイブにも手が届きそうだ。クライミングは、諦めずに継続することが全てのスポーツだ。

以下ムーブの解説

斜めガバから頂点ガバを右手、左足を左側に張って右足を棚に大きくあげる、斜めカチに左手ガストン、右足を斜めガバにあげる、右手マッチ、クリップ、左手斜めカチの上部、右手斜めカチ中央の深い部分にマッチ、右足を少し上の薄汚れたスタンスに移す(これで体がパツパツにならない)、左足デザソン側、左手デザソン側の縦カチ、右足よくわからないふくらみ(明瞭な凹みスタンスの左上側、次のポッケにちょうどパツパツになるように)、左足デザソン側(足ジャムを上から極めれば、次のポッケをスタティックに取れる)、左手薄ポッケ(親指でつまめる)、右足明瞭なスタンス、右手ガストンカチへデッド、左足デザソン(最上部)、左手シェイク、右足上げる(明瞭な逆V字の左側)、左手デッド(ミニ丸ガバ左上の斜めガバ、上部だと親指が引っかかる)、右手ミニ丸ガバ(こちらの方が持ち感が良さそうだが、デッドするには命中率が低すぎる)、左足をあげる、右手リップ上の縦カンテをガストン、右足をあげる、クリップ、左手縦カンテにマッチ、右手棚サイドガバ、右足を破片カチにあげる、左足を棚左側にあげる、左手アンダー気味の穴ガバ、右奥の縦ホールドを右手、終了点はるか上の縦ガバで安定。

下部が2級、上部が1級で5.12d。

㉓デザート・ソング(5.12a)★★★

2019/03/23  3日6便RP

大人気ルート。イレブンは大五郎、トゥエルブはデザソンの二枚看板である。また、ドラゴンストリートが持久系課題なのに対し、デザート・ソングは瞬発系課題となる。グレードも近いため両者がよく比較されるが、これら2つの課題の共通点を挙げるとすれば、それはリーチの必要なムーブが無く、全てスタティックにこなすことができる点である。デザート・ソングについては核心部に至るまでホールド、スタンスが豊富で、身長や能力に合わせて多彩なムーブを組み立てることができる。そのためこの課題が登れるということが、万人に5.12クライマーであることを証明できる一つの登竜門となっている。その意味でいうと、ドラゴンストリートは5.11クライマーを卒業し5.12クライマーへ入門する資格を得ることができる課題だといえる。

以下ムーブメモ

まず顕著なスタンスに右足(何もない外傾平面スタンスの真ん中手前に、まあまあ安定して踏めるふくらみがある)、左足ステミングで側対を作り、餃子ホールド右を右手で保持する。左足を顕著なスタンス、右足を明確な四角スタンス(突出して明確なスタンスなので左足をフラッキングしたくなるが、フラッキングはしない。)に置いて、餃子ホールド左を左手で保持する。左足をキョンにして左手を三角ミニカチに飛ばす。左足を1つ下のスタンスにさげて3ピン目にクリップ。ミニ穴ガバを右手で掴んだら、左足を顕著なスタンスの左上のスタンス、右足を右側の黄色い面の顕著なスタンス(下側の広い方)、左手を中指、薬指程度が入るポケット(穴の向きをあまり気にせず、縦引き気味に保持する)、右手を縦ピンチホールド(アンダーのような効きが徐々に実感できる。)へ。踏ん張りながら左足のスタンスをあげてキョンにして、レストポイントのコルネを保持する。核心部のボルダーグレードは2ピン目から4ピン目まで、7手の2級だと思う。常に5級核心くらいムーブが続く印象。3ピン目の消耗するクリップを間に挟むため、単なるボルダー課題として収まらないところが面白く、それがデザートソングを5.12aたらしめる所以だろう。レストポイントから先は5.10dくらいで易しいが、これもまたムーブが面白いのでこれだけでも取り組む価値がある。また、レストポイント自体が被っており完全にレストできるわけではなく、核心後のパンピングフェースを存分に味わうことができる。実際、ボルダラーは下部をこなした後に上部で落ちることが多い。ただし自分の場合は、5.12aの下部セクションに対し5.10dの上部セクションなので若干退屈気味に感じた。だからこそなおのこと、直上ラインの一期一会が魅力的なラインに見えてしまった(追記:一期一会は完全にまっすぐ登れるわけではなく、やはりデザートソングが自然なオリジナルラインだと思う。)

主張:限定について。私は、ルートのラインがボルトで限定されている以上、それ以外に何か限定するべきでないと考える。岩の弱点を突くことが、クライミングの面白さだと思う。ボルダーならその先に限定やバリエーションを追加して仲間内で楽しむことができるが、ルートは何が限定されているのかわかりにくいうえに気軽に何度もトライすることができない。そもそもボルダーと違って滅多に限定と叫ばれることがないルートの課題について、なぜこのような事態に陥っているのかというと、それは冒頭の説明に原因がある。つまり、これが5.12aの登竜門となっているがゆえに、これでトゥエルブクライマーになりました、といいたいクライマーが多く、そうなると水を差される可能性のある限定ホールドが使えないのだ。実際にそうやって完登したクライマーは限定について意見を述べることで、負の連鎖が続いていくのだと思う。

㉔マンモス・ケイヴ(5.13c→5.13b)★★★

2023/02/19  9日31便RP

マンモスケイヴを初めて見たのは、河又で大五郎が登れた時だったと思う。勝井さんがデモンストレーションで登っており、ハチャメチャなムーブで登っていたのが印象的だった。あれから何年たったのだろう。5年弱だ。マンモスは一生登れないかもしれないな、とどこかで思っていたような気がする。それが完登できるようになり、その時居合わせたクライマーは私のクライミングに衝撃を受け、「5.13だとあんな動きをやらなければならないんですか!?」と思ったそうだ。帰り際にねぎらいの言葉をいただいたのが印象的だった。先の発言は仲間からまた聞きで伺ったのだが、私はこれに対して「あなたにもきっとできます!」と言いたい。勝井さんのデモから5年、5.11aが限界だった私が、私なりのムーブを組み立てて登れたように。できないことができるようになるというのが、クライミングのおける最大の喜びなのだから、うまくいかないことばかりの人生だけど、せめてクライミングくらいは夢を持っていいんじゃないと思う。そして、この課題、マンモスケイブには、その魅力が最大限に詰まっており、訪れるクライマーに無限のムーブを授けてくれる。

以下インスタから引用

「出来なかったことが出来るようになる」というのが、クライミングの面白さだと思うが、経験を積むにつれ、この課題ができるのか、できないのか、なんとなくわかってしまい、できそうな課題を5日くらい打ち込んで登る、というのが定石になっていた。

マンモスケイブは、登れるのか登れないのか、最終日まで本当に分からなかった。5日くらいで登るというのは、自分のポテンシャルを最大限発揮するのにその日数がかかるというだけで、それって最初から登れたんじゃないか?、と思うこともある。

できそうにない課題を、ムーブを一生懸命考えて、解決していく。初心者の頃に、師匠から課題特有のムーブを教えてもらって、それで不思議と登れた!というような経験が昔はたくさんあった。それが年数を重ねるにつれ、ムーブの引き出しが詰まってしまい、「やっぱりできないじゃん」って思うようになった。できなかった課題は数年後に保持力が向上して登れるようになり、「クライミングはパワーじゃん!」って思った。

難しい課題を完登するたびに、諦めないで頑張ることが大事なんだと再確認するけど、あまりにもレベルが高い課題だと、つい諦めて他の課題を触りたくなってしまう。

今回は、いつも明るくポジティブにクライミングする仲間に触発されて、諦めずに頑張ることができた。その結果、簡単なムーブを発見でき、完登することができた。

この辺のグレードが自分の個体値的な限界かな、と思ってたけど、これからもグレード更新を目指してもう少し頑張っていきたい。

以下ムーブメモ

出だし

左手ガバ(足切れそう)、右手ガバ(もっと足切れそう、左手優先で保持)、右足デザソン側に張る、左足踏み変えで右足デザソン側外傾棚にトゥ(ヒールも良いらしいができない)、右手面ガバを中継してガバにデッド、左手コルネガバアンダー持ち、右手チョークアップ、右手コルネマッチ(上側)、左手チョークアップ、左手マンモスの脚の右側カチ(浅い。フロント3と親指を平行にしてカチる、親指は人差し指に重ねない、小指は少し離れるが突起でクリンプする)、右足を上の段、左足を左奥の顕著な突起、右手をコルネの下側に飛ばす(アンダー持ち)、右足を下の段、左足を上の段、右足コルネに膝&ガバに足の甲でS字ロック、右手縦ガチャホールド(シッカー)、左手スローパーガバにランジ、両手ガバ

3手初段

中間

左手を両手ガバ(左側)を縦ホールドとして効かせる、左足あげる、右足あげる、右手ミニガバカチを中継してガバコルネ、左足を手に足で左手ガバにデッド

3手3級

最後

左足を両手ガバ(右側)、右足を右上のスタンス、左手をスロットカチ(いきなり当てるのではなく、まず穴に入れて右側に寄せ、ジャムを効かせてからクリンプする、油断するといつの間にかオープンになるので注意)、右足踏み変えで右手ガバカチ(パツパツ、アンダーポッケカチのさらに右側)、足を切って左足顕著なやや外傾スタンス、右足トゥ(キョンで使うことのある崩壊しかけの丸いスタンス)で右手スローパー、右足をガバスタンスにノセ、右手スローパーの親指を引っ掛ける、右足フラッキングで左手ミニガストン、そのまま左手コルネにデッド、右手コルネ

5手1級

初段+3級+1級=5.13b(レストあり)

㉕大五郎(5.11a)★★★

2018/06/02  2日4便RP

大人気ルート。下部はガバホールドを掴みながら無数のスタンスの中から良さそうなのを選んでいく。迷っているとあっという間に消耗してしまう。上部は顕著なコルネを掴んで登るが、下部より持ち手が悪く、ホールドの距離も遠くなる。上部のコルネの途中、右側にレストポイントがあり、最終クリップもできるため最後の核心に向けて息を整えることができる。核心は右手が順手で掴むホールドが無く、逆手で引きつけるため最後の最後まで消耗させられる。コルネの間にフットジャムをきめるのがコツ。核心を越えた先の終了点がガバホールドなのが気持ちよい。ルートは直上ラインと右→左にトラバースするラインの2つがある。トラバースラインの方が簡単でクリップもしやすいが、左へのトラバースに若干のバランスを要する。直上ラインの場合は2段目からのホールドが悪く、5.11bはあると思う。

㉖ドラゴンストリート(5.11d)★★★→☆☆

2019/02/27  3日8便RP

河又に初めて来た1年半前、高校生が登っていて自分が登るのは不可能に見えたライン。あの頃はまだ、5.9以上はトップロープでしかトライできなかった。先輩クライマーが「いつかこのルートを登れるといいね。」と言っていたのが懐かしく、また感慨深い。それだけ見映えのするルートだが、内容は予想に反して地味なスタティックムーブばかりだった。大五郎の分岐点のトラバースからさらに左側の縦ホールドに手を伸ばしたが、これはリーチがないと不可能といっていいムーブだった。適度にホールドはあるので繋げることは無理なく可能だと思うが、この場合手数が増え持久系ルートとしてさらに磨きがかかってしまう。ここからガバを掴んで核心へと向かうが、スタンスがかなり細かく、繊細な足さばきが必要となる。核心の梅干しホールド掴みから右手を縦ホールドへと飛ばすのが難しい(3手、4級)。ここは浅いヒールフックをどうにか効かせて体が振られないようにする。後は依然としてスリップしそうなスタンスはあるものの、手順足順を覚えれば難ししくなかった。ただし、最後のホールドもちゃんとしたガバではなく、どこで終了するのかよくわからずすっきりしない。下から上まで一貫してスタティックなムーブしか起こせないという意味では価値のある課題かもしれないが、石灰岩=スポーツクライミングだと思っていたので、これだけ繊細なクライミングを強いられるのは苦痛だった。ムーブは変化に富んでいるものの核心が突出して難しく、核心までのアプローチ感があってあまり面白く感じなかったので星1つにしようと思ったが、日本においてこれだけ見映えがして持久系のルートは希少なので、星2つとする。

追記:2年ぶりに登ってみると、デカいガバのクリップでひたすら消耗させられ、最後の核心を越えるのがとても楽しかった。城山のオーバードライブ然り、時が経つとルートの印象が変わるものだと思った。

㉗いきのいい奴(5.10a)★

2018/04/21 2日2便RP

出だしはボルトの間隔が遠く、やや右周りになるので緊張する。上部にいくにつれ難しくなり、最後の核心の前にレストポイントがある。RPGのラスボス前のセーブポイントみたいで面白い。なお、核心は右側のクラックでフィンガーがきまる。左側から登ることも可能だが、グレードは変わらないと思うがかなり辛くなる。余談だが、⑰ミヤザキミドリと、どうしても混同してしまう。理由を考えてみたが、課題名が逆の方がしっくりくる、グレードが同じこと、ドラゴンストリートとミヤザキミドリが同じカタカナで同系列なため近くの課題だと思い込んでしまうなど。課題を混同することはこれら以外にはなく戸惑っている。覚え方があれば教えてほしい。天王岩下の岩場のサンコウチョウと同じような課題。

㉘ビッグトゥモロウ(5.11c)★

2019/12/18  3便RP

指パキリ注意の課題。三段クライマーによると、第一関節~第二関節まで指が入ればパキらないらしい(?)。課題にある3つのポケットはいずれも第一関節以上指が入るので、限界グレードでなければ問題なしか?出だしは㉙の緊張感のあるスタートから、さらに右にトラバースする。そこからさらに右回りに、㉗で使うスタンスの根っこが実はガバになっており、楽に登ることができるが、その先もガバだらけというわけでもなく、ランナウトもあって緊張する。完登後に直登ラインをチェックすると、どうやら登れそうだったが、どちらにせよ中間部で完全に休めるのでグレードには影響ないだろう。中間部でいよいよ懸案のポケットホールドが現れる。右手中指でポケットを保持(親指で抑え込める)して、右足を顕著なスタンスに突っ込み、左手カチ(実はアンダーカチとしても利用できる)から、さらに上部の薄いカチへ飛ばす。左足をハイステップで頑張って持ち上げたら、いったん左手をアンダーカチに戻し、右足を頑張ってずりあげて、上部のカチを右手で保持する(3手3足、3級)。そこから上もポケットホールドがあるが、2本指まで入るので難しくなかった。㉙合流後も落ち着いて登れた。核心の前後がアプローチと化してしまっているが、そうはいってもやや難しく退屈はさせない内容で、何よりポケットホールドを利用した核心ムーブの難解さ、面白さから星1つの価値は十分にあるといえる。

㉙泣かないで愛ちゃん(5.10c)★★

2019/02/17  1便OS

出だしからバランスを要する。ツルツルのスタンスとかかりの悪いホールドで右へトラバースしたら、1つ目の核心へ。手以上に足がかなり悪いが、踏み跡があるので信じてガバに手を伸ばす。そこから中間部のレストポイントへ。ここはかなり休める。レストポイントからいったん左上し、右へトラバースするところが2つ目の核心。今度はスタンスが存在しないといっていいくらいなので、スメアリングで処理する。ホールドはガバなのでこちらの核心の方が簡単。後は手頃なホールドを掴んで終了点へ。パワーとバランスがうまく融合した課題で面白いのだが、ボルトの位置が悪いので注意が必要。ちなみに地上左側のボルトに1ピン目をかけておけば、大五郎方面への転落を防ぐことができる。セルフビレイ兼用だと思う。

㉚タミちゃんがハイ(5.8)

2017/07/29  1便OS

河又で最も易しい課題。凹角を直上するのが本来のラインのようだが、現在は出だしだけ凹角を登り、そこからトラバースして㉛に合流するのが一般的。

㉛ディスコバージョン(5.10b→5.10a)

2019/08/25  1便MOS

出だし(だけ)要保持力。㊱ムーンビームと同じようなノリ。そのまま直上したかったが、結局右に逃げてしまった。

㉜ダンスリミックス(5.11c→5.11d)☆☆

2019/12/27  2日7便RP

一見限定課題のように見えるが、いたって自然に登ることのできる好課題。というのもカンテには良いホールドがあるが、そのさらに右側に良いホールドが無く右に逃げることができない。さらに、カンテ自体が傾斜しているため、カンテにガバが無い限り正面のホールドを使った方がよい。そして、最大の核心はカンテでごまかすことができない。

以下ムーブメモ

右手ガバ、左手ガバ(一見カチに見えるがしっかり握りこむことができる。)、足を切り気味にあげ、右足をカンテ右側の大きなスタンスに。カンテのガバカチを右手で保持して、クラックカチピンチにデッド(小核心)。カンテのガバに右手を飛ばし、2本指ポッケ(人差し指、中指でジャミングをきめられるが難しい。)を続けて右手で保持する。穴カチへ左手デッド(このデッドが曲者で、右手でカンテを保持している限り体が壁から剥がされてしまうため、かなり正確なデッド力と保持力が必要となる。ここは悪い2本指ポッケにわざと切り替え、右足をカンテ右側で抑え込んでコンプレッション気味に体を固め、スタティックムーブに徹するとよい。)。左足を薄い丸スタンスにあげて、2ピン目右上のカチを右手で保持、右足をエッジの効いた極薄スタンスにあげて、右隣のガバカチに右手デッド。厳しいスタンスで2ピン目へクリップ。これで実質終了だが、9手の3級となるため、クリップした後あたりから猛烈なパンプが腕を襲ってくる。7手のデザートソングでさえ核心を越えた後にドパンプが発生し、ボルダラーが上部で落ちてしまうくらいだが、この課題はそれを越えてくる。上部の非常に易しいパートでもかなり緊張してしまった。これだけ同じ強度のムーブが続く課題はかなり珍しく、デザートソングを越える手数という希少性、カンテガバからムーブを起こすことができず、わざわざ穴ポケットを使わざるを得ない、さらにそのホールディングにコツがいるという奥深さから、自信を持って星2つをつけたい。

㉝そういちろう(5.11c→5.11d)★

2019/10/06  2日7便RP

1便目は思わずまっすぐ登りたいと思ってしまったが、直上ラインを回避する過程での、ムーブを組み立てる面白さの詰まった課題。

以下ムーブメモ

1ピン目は左側を登ってプリクリップできる。一度下りて、明瞭なかかりのよいカチを右手で保持して、棚を左足で踏み込んだら、課題がスタートする。左手縦ガバで右足を高めのスタンスにあげて側体で体を起こす。右手縦カチ(親指で抑え込める)で左足を支点にして側体で体を起こす。左手を縦カチ、右足で軽くヒールしながら右手を縦カチ、上部のカチを左手で保持、クリップ。カチは少し外傾しており、クリップがかなり厳しい。クリップに成功したら、右側のごちゃごちゃした突起をつまむようにして右手ガストン。足を調整して、顕著な四角形の縦カチを左手で保持(厳しい!)。足を調整して、右上のミニガバを右手で保持、さらに足を調整して、右上のリップガバにデッド。パツパツすぎてリップガバ下側のスタンスが全く見えなかったが、スタンスは豊富なのでどうにかして足を移動する。後は道なりに進めば完登。2ピン目のクリップからリップガバをデッドするまで(3級)のスタンスが細かすぎるうえに大量にあるため、足位置の調整が難しいが、それがこの課題の醍醐味だと思う(4手8足、1手ごとに両足を調整した。)。リーチがない場合は手数が1つ増えるので、もしかしたら5.12に感じるクライマーもいるかもしれない。

思い出:RPトライ時、プロクライマーの倉上慶大さんが河又に夫婦で来ており、ちょうど取りつきに荷物を置いていたため、私のトライを見る格好となった。トライする前から自意識過剰ながら確かに視線を感じており、これは絶対に落ちられないなと思った。初便は手順足順を間違って一度下りてしまったのだが、少し休んでトライを再開した。細かいスタンスに翻弄され足がうまくきまらず、前腕が消耗してしまったが、今にも落ちそうなタイミングで倉上さんの「ガンバ!」の声がかかり、それで持ち直すことができ、無事完登できた。ビレイヤーも倉上さんの「ガンバ!」の声で動きが変わったと言っており、こんなこともあるんだな、と思った。コラムにもガンバについて書いているが、この日は周りからのガンバがクライマーの登りによい影響を与えたトライが多く見られた。私も、何の思い入れもない課題で、とても充実したトライができて思い出深く、嬉しかった(倉上さんはハードボイルドなイメージが先行してしまっていたが、とても気さくで優しい方でした。)。

㉞おもらいでがんす(5.12b/c→5.12c)★☆☆

2020/12/13  7日34便RP

おもらい壁の中で最も自然でオリジナルなライン。それがおもらい壁の最難課題であることが素晴らしい。便数は過去最高20便を大きく超えて34便。RPできた時は嬉しさより解放感の方が大きかった。でも嬉しい。コロナや結婚でクライミングを半年ほど休んでいたので、おもらいしかやる課題のない河又には来たくなかったが、完登でき、復帰前より強くなれた自分が嬉しかった。完登の要因について、スローパー取りの右手が強くなったというより、その1手前のアンダーの左手が持てるようになったこと、スローパー取りの振られが体幹の強化で少なくなったことで完登できたのが面白かった。核心の内容は、ガバ→ミニピンチ→ポケット→ミニアンダー→スローパーと変化に富んで面白い。大五郎は三ツ星課題なものの、世界中で探せば似たような課題がありそうだが、おもらいでがんすは、地球上にここしか存在しない!!

以下ムーブメモ

1ピン目長ヌン連結(長ヌン+長々ヌン)、2ピン目長ヌン、3ピン目ヌン、4ピン目長ヌン(下からA0ができる…慣れれば普通のヌンでOK)

左手縦ガバ、右足をスメア気味に踏み込んで右手縦カチ、左足を顕著なスタンスにあげて、右足ステミングで左手縦カチ、右足ヒールで右手縦カチ、右足円形スタンス、左足ガバスンタンス(左側につま先を立てて立ちこむ)で左手外傾ミニホールドを無理やりカチ持ち(親指で抑えられる)、クリップ。ガストンカチを右手、左手をレスト。右足を円形スタンスの右上に走る斜上クラックの端(ダンスリミックスの1ピン目のすぐ左)にステミング、右手を元の縦カチに戻す、左手縦ガバカチ(パツパツ)、右足を左側の斜上クラック(見えにくいが踏める箇所がある。)に移し、左足を少し左上の顕著なスタンスにあげ、右手ミニピンチ(腰を落とす。前段で足をあげすぎないよう注意。)、左足を大胆にあげて(縦長ミニカンテに左足キョンは安定感があり、足上げも容易だが、次の左手ガバ取りと右足上げが非常に苦しいので却下。場所の説明は難しいが右よりのやつ)、右足を顕著なスタンスにステミング(場所の説明は難しいが左よりのやつ)、左手ガバへデッド。右足クリップしたホールドで正対、左足ステミングでクリップ(左手ガバは横引きが効くが、体が剥がされるので親指で抑え込む。腕はできるだけ完全に伸ばす。縦引き気味にすると保持感が良く安心してクリップできるが、肘を曲げるので腕がパンプする。横引きするように注意する。)。右手コルネカチピンチ、ステミングで右手ポケット、右足をあげ、左足トゥで左手ミニアンダー(トゥをバチ効きさせれば、ほぼスタティックにとれる。左手取りなので体が左に行きがちだが、重心を右に寄せて固めることが重要。トゥを何か所かあるが、バチ効きさせるより軽くかかるやつの方が重心が下がり消耗しない。軽くかかるやつは下側、深くかかるやつは上側←結局上側を使いました)、左足をあげ、右足フラッキング(右足を踏み込むとかえって振られが大きくなる)で右手スローパー、右足を斜め黒い線にステミングで薄カチを左手で保持しながら左足をあげる(左側のやや右寄りが一番幅がある。)、右足をポケットにあげて左手ガバガストンアンダーでクリップ(6手、2級)。アンダーを右手で持ち直し、上部の深いカチを左手(遠いが最後なので頑張ろう)、右手縦ガバカチを保持し、左手の深いカチを持ち直す。左足を黒い平行スタンス、右足を顕著な外傾スタンスに巻き気味に踏み込み、左手をごちゃごちゃしたスタンスのどこかでガストン(慣れたら飛ばしてOK)、右手ガバで終了点。

㉟H・E(限定解除5.11a、限定5.11b)

2019/08/25  2便RP(限定解除)

2021/06/23  2日4便RP(限定)

あまりパッとしないフェースを登る。フェースのホールドはほぼ全部悪いので、左のカンテのガバをいかに利用するかが鍵となる。出だしでカンテガバを保持して1ピン目にクリップしたら、2ピン目の右にあるカチを右手で保持して2ピン目にクリップ(厳しい。)。2ピン目の左にあるカチを左手で保持したら、上部の甘いコルネを右手クロスで保持して、カンテ上部のガバを頑張ってとる(5級)。カンテ左側の面でステミングしながらレストしたら、上部核心へ突入する。左手カンテガバ、右手を顕著なカチで保持したら最上部のコルネへデッド(6級)。後は頑張って足を上げれば終了点へ到着する。最後まで気が抜けない好課題で星1つ分の価値は感じたが、カンテを使うか、使わないか、ムーブの組み立てが悩ましく解析が無駄に面倒なため、星はつけないままにする。また、カンテより左側が限定らしいが、相当無理な登り方をしない限り手は使わないし、足を限定してしまうと5.11aでは済まされないだろう。2ピン目のクリップがこのグレードにしてはかなり厳しいのもあり、あまりオススメしない。

(追記)限定解除で登ってみると、下部核心が4級くらいに感じた。

【ムーンビームの右】【5.10a】

2020/01/05  1便MOS

月光またはムーンライトが正式名称らしい。1ピン目から先はどれもホールドが悪く、耐えながら登る。ガバを掴んで2ピン目にクリップするが、次のスタンスが見当たらず、最後のワンムーブを起こすのにやや苦戦する。ボルトは独立しておりオリジナリティがあるが、正対ムーブばかりで面白い課題とはいえない。1ピン目付近は丸ごと崩壊しそう。

㊱ムーンビーム(5.9)

2019/04/08  1便MOS

出だしが核心。クロスムーブを起こす保持力があるか。2ピン目以降はガバガバ。特に取り組む価値はないと思う。

㊲なぐり愛(5.12d)★

2日6便×

1級

㊳モスグレイハンド(5.11d→5.11c)★★

2019/03/23  3便RP

瞬発系課題。浅い凹角沿いに登っていくが、キーとなるホールドが凹角の両端に設置されており発見しづらいというかムーブを起こせる可能性を感じにくい。オンサイトはかなり難しいだろう。核心と核心の間にレストポイントがあり、終了点で安定でき、河又にしては珍しく見晴らしもよい。短いのと最上部が簡単すぎるのが残念だが、十分におすすめできる課題である

以下ムーブメモ

1つ目の核心(4級)は凹角左端にあるガバを掴んで、側対で凹角中央のガバにデッドするところ。ガバといっても指が入りにくく、ホールドをよく理解していないとデッドで保持するのは難しい。2つ目の核心(4級)は縦ホールド2つをそれぞれ右手、左手の順で保持し、ステミングで足をあげていくところ。ホールドが薄く、足をあげるのがかなり厳しいが、1つ目の核心と違ってリーチはさほど必要でない。足をうまくあげられたなら凹角右端のガバまではすぐそこだ。。

備考:1つ目の核心は、何かのホールドを右手ガストンで保持すれば、リーチは必要ないと思われる。

㊴さっちゃん(5.12d→5.12c)★☆☆

2021/05/12  4日14便RP

モスグレイ壁の中で最も面白い課題。モスグレイは自然なラインだが、最上部が簡単になってしまう。さっちゃんは核心の数はモスグレイと同じだが、最後の最後まで厳しいムーブが続き、落とされてしまう。また、慣れれば限定を感じることなく登ることができる。4ピン課題という短さで十分に持久系課題として楽しむことができ、ムーブも多彩で飽きることがない。特に最初の核心はかなり変態ムーブで登ったので、人それぞれ個性が出て面白いと思う。

以下ムーブメモ

出だし顕著なコブを右手で保持、クリップ。左手ガバ、右手ガバへ飛ばす、棚ガバへ左手デッド。クリップ(左手の下から右手でクリップすると次の左手出しでロープが邪魔にならない。)。棚スローパーへ右手デッド、両足をあげて薄縦カチへ右手を飛ばしてガストン、エッジの効いた逆L字へ左手デッド、棚ガバへ左足ヒールで右手ガストンを効かせながら右肘をジ徐々に開き、重心を右にずらす(左足ヒールでバランスをとる)、穴カチへ左手デッド(余裕があれば飛ばせる)、穴ガバへ左手追加デッド、右肘を曲げて右手ガストンを最大限に効かせて体を固め、左足ヒールを棚スローパーへ移す。穴カチと穴ガバの間のごちゃごちゃしたエリアに右手デッド(2本指カチ)、上部の棚ガバカチへ左手デッド(7手、2級)。縦ガバホールドへ右手、モスグレイのガバへ右足を置き、重心を右に移してレスト。1つ上の縦ガバホールドに左手、側対で穴薄カチ2つをまとめて右手で保持、左足をあげ、右足適当、縦ガバホールドをアンダーにかえす、右足、左足を頑張ってあげる、ガバカチ(うまくデッドできれば4本指で保持できるが、失敗すると2本指で保持することになる)へ右手デッド(4手、3級)。クリップ。左手激薄カチ、左足を縦ホールドでヒール、左手スローパーへデッド、右手スローパーへデッド、左足をあげ、右足をモスグレイ側の斜め棚へ張る、右手縦ガバ、足をあげて(足クロス気味に大きく)左手縦ガバ(終了点左下緑色の汚いリップ、5手、5級、2級核心と3級核心を越えた後のこの辺りで落とされるのが悔しく、面白い。)、右手終了点右下ガバ。

㊵所謂一つの(5.13a)★

㊶小春日和(5.11d→5.12a)☆☆

2021/06/02  2日8便TR

前半3級、後半3級。中間でやや強度が下がるが、あまり休めない。左手カチ、右手カチ、右足をハング下に上げて左手ピンチ、左足に踏みかえ(右足はあえて上にあげず、重心を下げる)、右手縦ホールド、左上の縦ホールド群を左手、顕著な縦カチ&アンダーに右手(6手、3級)。右上の顕著な縦ピンチを右手、左手を右側の縦カチに飛ばす、左足をややあげ、リップ奥のガバにランジ(手前左側のリップは外傾しておりかなり悪い)。3手3級。腐ったボルトでランジはさすがにできなかったのでTRで完登とした。短い中に核心が2つありなかなか面白かったので、今後のリボルトに期待。

 

シュテファン・フェイス

すっぱりとしたフェース。中々に長さがあり、垂壁~薄々被りの傾斜のため、コウモリ岩の被りと対比され面白い。コウモリ岩から2~3分ほど。右側の谷からトップに周りこむことができる。岩質は脆く、数十年登られているためキーホールドが剥離することはないが、誰も使っていないような細かいスタンスは削れてしまう。壁の中央のラインが一番固く、左右から崩壊が始まっているように感じた。

①藤娘(5.10c)★

2019/01/13  1便MOS

トポではボルト3本となっているが、ケミカルにリボルトされ、下からは見えないがボルトが4本となった。核心はリーチがあればステミングで解決することができるが、身長がないと1グレードあがってしまうと思う。

以下ムーブメモ

1ピン目から2ピン目の間が核心(5手、5級)。縦ガバカチの左側のミニアンダーを左手親指、右手で縦ガバカチ、足をあげて左上のホールド(深くねじこむ)を左手、右側のホールドを右手で足をあげてリップへ左手デッド。中間部のガバで実質終了だが、上部にも豪快なムーブがあり最後まで楽しませてくれる。

②リクルートドラゴン(5.12a→5.12c)★★☆

2020/02/01  5日19便RP

上部にある核心の内容が大変に素晴らしく、それだけで星3つの価値がある課題。下部もアプローチに感じさせないレベルに難しく、かつその内容も面白い。上部核心はほとんど同じような持ち感のホールドが実に7手に渡って続き、息つく暇もない。ホールドもアンダー、ポケット、カチと多彩で、持ち方をかなり考えさせる形状だ。さらにはスタンスも非常に細かく、ムーブ作りにかなりの時間を要する。ボルトの数も最小限で、クリップ用のホールドが各所に配置されており、ミニマムボルトのエッセンスを感じさせてくれる。核心部のムーブは、パートで解決するのに丸4日もかかってしまった。解決しても下から通しで登れる自信が全くない。結局は5日で完登することができたが、10日以上かかると思っていた。クライミングの成長曲線も徐々に緩やかになり、グレード更新に1年もかかり、モチベーションも低下していた。けれど、できない課題に明るく取り組むパートナーに触発され、諦めずに頑張って取り組むと、「できない」ことが「できる」ことになった。これだから、クライミングは辞められないんだよなあ。

以下ムーブメモ

右手縦カチポッケ、左手超ミニカチ、左手をしっかり保持して左足を踏み込む。左手でクリップ。大きなスタンスを右足で踏み込む。右手で薄カチを保持する。上からは見えないスタンスを左足でしっかり踏んでから、縦ポケットカチを左手親指で保持。右足を少し上の適当なスタンスにあげて左手ガバカチ(右足をあげすぎるとデッドになるので、パツパツで取れるよう足位置を調整する。)。右上の縦ガバカチを右手で保持。クリップ。左上のカチを左手、足を踏みかえて右側のカチを右手、足の踏みかえに使った大きなスタンスの左側のスタンスを左足で拾う。右足(上下あるが上の方)をあげてエッジスタンスを左足、正対でミニピンチに左手デッド。ガバへ飛ばす。3手4級。5.11b。そこから直登はできないので、レストしたら左回りに登り、核心部へ。

右手ポケットカチ、左手アンダー(ブラッシングしてたら欠けて悪くなった…)で右手ポケットカチ(指2本が入るが、人差し指より薬指の方が長いので、中指、薬指で保持した方が強力。また、次の一手のために人差し指を温存できる。小指も頑張れば入るが中指の効きが悪くなるので入れない。)へデッド。両足をあげて右手L字カチ(右下横カチ部分でカチ持ちできる。親指で抑えこめるので人差し指、中指で保持。)へデッド。左足を斜め棚の明確なスタンスに乗せ(スタンスの向き的には右足の方が乗せやすいが、頑張る。)、指3本が入るカチに左手デッド(左足をあげることでスタティックで取れるが、次の一手も左手のデッドのため、右手のロックオフが続き、消耗が相当に激しい。左足をあげずにデッドをうまくきめれば、右手は伸ばしたままで消耗が少なく、次の一手を出しやすい。←成功率があまりにも低く、体が振られて足が切れてしまいがちなので却下。)。右足ステミング、左足キョン(狭いので深くはできない)でごちゃごちゃしたカチ(beast maker 2000のスローパーの左下、ホールド全体の右下、親指、人差し指、中指でカチ持ちできる)を左手で保持。右足を指1本が入るポケットスタンスにあげて縦長カチホールドへ右手デッド。左足あげ、右足は開いて壁に押し付け、左手ガバ(縦ホールドっぽいが上側がガバ)を保持。右足を棚にあげてニーバーしながらカンテ沿いのガバを右手で保持。左足キョンでリップガバを左手で保持。8手2級。5.11b+2級→5.12c(レストあり)。

③ディレッティシマ・ドラゴン(右回り5.11d、直登5.12b)★★★☆

2019/06/01  2日6便RP(右回り)

2020/02/07  3日10便RP(直登)

アレックスメゴス初登の「FightClub(5.15b)」の完登動画で、アレックスの理想とするルートについて語られている。それは、ルートの長さが20~25mで、出だしにボルダームーブがあり、そこから先はずっとハードなホールドが続く、というものだ。この課題も同様で、特に上部のガバカチが永遠に続くセクションで思わずFightClubを登るアレックスの姿を想起してしまった。

以下ムーブメモ

このルートは、下部のボルダーセクションと上部のルートセクションの2つに分かれている。まず下部の1つ目の核心(5級)は、クラックを右手で保持し、左足を乗り込み左手のデッドをきめるところ。身長がないとよりハードに感じると思う。アンダーカチや右手の親指でレストしたら、2つ目の核心(4級)へ突入する。チョークのついたホールドが多いが使えないものが多く、ムーブの組み立てがかなり難しい。棚ガバ(右)の左上にある縦カチ(下側の方がかかりがよい)を右手で保持したら、突起を左手親指(もしくはサムロックのように親指、人差し指でつまむ)で引っかけて、棚ガバ(右)のすぐ下のスタンスに右足を踏み込む。薄いアンダーを右手で保持したら気合で体を起こし、棚ガバ(左)の右側部分を左足で踏み込んで、上部のガバカチを左手で保持する。この核心もリーチが必要となる。後は永遠に悪いホールドが続くだけだが、これもまたリーチの必要なムーブが多い。ボルダーを感じさせる動きはほとんどないが、奇跡ともいえるほど似たような持ち感のホールドが続き、最後にさらに奇跡的なドガバが待っているというストーリー性に星4つをつけたい。また、そのまま終了点の先まで行ってしまえばかなり安定した状態で見下ろすことができ、高度感がまた素晴らしい。なお今回上部は右回りに登ったが、直上する場合は推定3級くらいありそうで、そうすると5級→4級→3級の素晴らしい課題構成となる。機会があればまた取り組んでみたい。なお、グレーディングについて、1年前にトップロープで登ったときは全く歯が立たず、先輩クライマーも「少なくとも北落師門よりは難しい」と言っていたが、この1年でスパイダーマンなどの垂壁系を取り組んだことで、グレードは適正ではないかと思うようになった。

(追記)

今回直登ラインを登るにあたり、そのきっかけとなった出来事がある。それは、リクルートドラゴンを登ったときのことだった。そもそも、ディレッティシマを登るにあたり右ッティシマのラインで登るのが最も合理的かつムーブも特別に面白い。さらに、グレードもバッチリ5.11dに感じる。だからもうあえて登ることもないと思っていた。だが、リクルートドラゴンを登ったとき、右ッティシマのホールドを完全に使っているではないか。そうか、だからディレッティシマという課題名になったのか。それぞれのラインに独立性を持たせ、ルートの個性、価値を高めるために…。そうしてリクルートの完登後、直登ラインのムーブを作り始めたが、どうしても右側のガバカチを使いたくなってしまう。ここからは意地だったが、こだわったおかげで納得のいくラインで完登できた。ポイントは、普通になるべくまっすぐ登るだけなら使うホールドが不明瞭だが、「リクルートドラゴンで使ったホールドを使わない」という限定なので、誰に対しても明瞭に説明することができる点だ。さらに、右ッティシマともほぼ完全に独立したラインを設定できる。ただ、覚えれば気にならないが、右のホールドを使いたくなってしまうのは事実なので、右ッティシマは星4つ、ディレッティシマは星3つだと思う。

追記:リクルートを完全にまっすぐ登っている動画がユーチューブにあがっていた。そうなると上記の説明では不十分で、自分もリクルートの完登動画(ないけど)を見せなければならない。ただ、リクルートはまっすぐ登れるならそのように登った方がよい(当たり前だが)ので、この一連の課題からは、どのようにライン取りするか、クライマーとしてのセンスを問われたような気がした。

以下ムーブメモ

共通核心(4級)を越えた後、クリップホールドの辺りでなるべく右に寄らずにレストする。右足をあげて右手でガバを保持、左足をあげて4本指が入る浅いアンダーを左手で保持、とても薄いスタンスに右足を乗せ、がちゃがちゃしたカチホールドスタンスに左足を乗せて垂直方向につま先で踏み込み効かせる。右足を頑張ってあげて、ボルトの左右にある斜めカチを両手で保持、上部のガバカチを右手で保持(4手、3級)。長ヌン連結にしたヌンチャクにクリップ(5ピン目は飛ばす)。上部のガバカチのすぐ隣のガバカチを左手で保持、両足をあげてスローパーカチを左手で保持(足をあげすぎると疲れる)、台形右下側の窪みに足を入れて、膝を曲げ側対で縦ガバカチにデッド、甘い三角カチを左手で保持、足をあげてガバカチ(下からは効くように見えない)を右手で保持、真上のミニガバを左手で保持(5手、4級)、終了点ガバに右手。最後は右下に走るクラックより右側のホールドを限定にした。限定にしたところでグレードが変わるわけでもないが、こだわったおかげでダイレクトに終了点に向かって突き上げる爽快なムーブができた。5級→4級→3級→4級で5.12b(レストあり)。右ッティシマもルートとして面白いが、これは単純にボルダ-ムーブの数が2倍となり、高さ15mの中に4つの核心が詰め込まれ、最高に面白い。

④ダイノサウルス(5.12b→5.12b/c)★★

2021/05/30  3日6便RP

下部、中部、上部でそれぞれ核心があり、5級→4級→3級とだんだん難しくなり、さらに核心の間でそれぞれレストポイントもあって面白い。星3つでも良い気がするが、最後の核心は足を張って負荷を分散させることができるので、垂壁のカチを楽しむという意味ではリクルートドラゴンと比べてやや見劣りする。グレードについて、最後の消耗した前腕で3級(難しめ)をこなすのがとても辛く、そうするとディレッティシマとリクルートの間ということで、5.12b/cで妥当かもしれない。それにしても、キーホルドの2つのカチ、両方取れてしまいそうで、そうするともれなく5.13になりそうだが、、、。

以下ムーブメモ

(4級核心は、左足を一番上に上げておく。)

右足を上のスタンス(右側ではなく左側の)、左足を明瞭なスタンスに張る、ガチャガチャした4級核心で使うホールドを左手、持ち感の良いカチを右手、左側の持ち感の悪いカチを左手、右足を明瞭な色のついたスタンス、右手をミニ変形ガバ、左手をシェイクして薄ガバカチへ、左足、右足をあげクリップ、アンダー(真ん中の親指がかかるとこ)、左手シェイク、両足上げ(先に足をあげるのがコツ)、左手斜めカチ(人差し指がギリギリ引っかかる)、左足上げ(スタンスがデカイので上げれば勝手に止まるはず)、カチへ右手デッド(4手、3級)。後は道なりだが、手順を覚えないときつい。チョークアップする間があまりなく、RP時は滑って大変だった。

⑤ファイナルドラゴン(5.11c→5.11d)☆

2019/01/10  2日5便RP

全体的にランナウト気味。左右にアップで周りこめるルートがないため基本的にマスターでヌン掛けしていくが、ヌンチャクが掛かっているのと掛かっていないのとでは難易度にかなりの差を感じる。ただし、一度ムーブを覚えてしまえば、プリクリップせずに完登することができると思う。下部の5級セクションからレストを経て、核心の3級セクションへ突入する。下部はランナウトしていることもあり、かなり緊張する。ボルト2本分でルートグレードをつけるのは難しいが、1ピン目までのパワフルなレイバック、1ピン目~2ピン目の細かく向きの悪いホールド群、さらには足もはっきりしたスタンスが見つけづらく、5.10+相当はあると思われる。なお、パワフルムーブセクションから、細やかムーブセクションの間で、左足のニーバーをきめることにより多少楽に左手のホールドを取ることができた。

以下ムーブメモ

左寄りのホールドを保持することから始まる。左手カチ、右手カケラカチ(顕著なカチ棚のすぐ左)、両足をあげて正対で上部の典型的カチを左手で保持。右足をあげて、右上の縦カチに右手デッド。顕著なカチ棚に左足、右足の順番で踏み込み(右足が踏めたら左足は適当に流す)、縦ガバカチに右手デッド。指が2本入りそうで入らない深いポッケを左手で保持し、足を強引に引き上げ、正対でガバへ右手デッド。右足のスタンスを左足に踏みかえ、クリップ。7手の3級。内容が濃く面白いが、3ピン目にクリップしてクライムダウンができてしまい、中間部でかなり休めてしまうためルートが断続的になりがちである。終了点もガバではあるがあまりすっきりとせず、実質3級のボルダリングのため、星は1つつけるに留める。

⑥ホールド・デストロイヤー(5.10b)☆

2021/05/29  1日1便MOS

出だしが6級くらいで難しい。5級かもしれない。日和田山女岩の下部ハングくらいのグレード感(辛い)。上部は下部と比べてしまうと簡単に感じた。5.10クライマーは手を出さない方がよい。

⑦気分はダイレクト(5.10b)☆☆

2020/02/01  1便MOS

出だし核心と思いきや、下部、上部ともにホールドが悪く難しい。ラインの横幅が広く、どのラインで登るのか、頭を使うのが楽しい。御前岩のエレファントロック南面のような感じ。ボルトは1ピン目のみリボルトされている。2ピン目以降は丈夫そうに見えるが変色しているものもあり、また岩全体がボロそうで、ホールドの剥離の恐怖を感じた。また、下部と上部の間で完全にレストできてしまうが、このグレードで壁の連続性を求めてしまうと、5.10クラスの課題ではなくなってしまうため、減点しないことにする。天王岩下の岩場のノーリーの劣化版で1グレード低い課題。

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