19 中之条有笠山
ARIKASA-YAMA
※注意:以下の但し書きをご理解の上、お読みください。
(1)グレードについて、個人的感覚により調整しています。性別、身長、リーチによって体感グレードは変わりますが、個人的なブログとしてご容赦いただいた上でご覧ください。なお、グレーディングの基準について、コラム11「グレード解析工房」で説明しています。
(2)星について、100岩では4つ星までついてますが、これもまた個人的感覚により、5つ星までつけています。星の基準については、「00 表記の読み方」で説明しています。グレードに対してこちらは、そこまでの批判は生じないでしょうが、やはり苦労して登った課題の星が下がっている場合があるかと思いますので、よくご理解の上、ご覧ください。
フェアリーロック
④予感(5.12b/c→5.12c/d)★★★☆
2024/10/27 2日9便RP
(初日感想)
エンクラのつもりが、最後まで完登できなかった。なんでだろう…悲しい。数か所濡れてたけど、それ以外は焼き石が必要なくらいバチバチだったし、プラスマイナスゼロくらいのコンディションだったと思う。これを5.12b/cと認めてしまうと、過去3年間くらいで勝手にグレードアップさせた課題たちが、軒並み甘いグレーディングだったということになる。まずい。言い訳としては、体感ワングレードアップで5.12c/d、キーホールドが2箇所濡れていて、1箇所は悪いホールドで回避、もう1箇所は不可避なガバで、乾かすために悪いホールドでチョークアップする必要があったので0.5グレードアップで5.12dに格上げ。5.12dならワンデイできなくても不思議はない。ただ、こんなに自分に都合の良い解釈ばかりしていると、のちのち悲惨な目に合いそうだ。辛めのグレードが好きで、ノボロックとか会津田嶋に行かない自分カッコイイと思っていたが、人間は低きに流れるというか、いろいろ勝手にグレードアップしていたが自分が成長していると思い込みたいだけで、結局5.13aが自分の限界なのかもしれない。
課題のクオリティ自体は、噂通り最高に良質だった。ビックプレゼントと同等とはいかないまでも、四つ星に値すると思う。明確な核心は3個であり、それだけなら三つ星クラスだが、その合間に小核心が挟まれており非常にストレニュアスな課題構成となっている。繰り出されるムーブは多種多様で、飽きさせることがない。核心は終盤に近づくにつれ手数が多くなり、レストもそれに呼応して悪くなっていく。これだけムーブの連続性を感じられる課題は滅多になく、リードクライミングとして非常に完成度の高い課題だと思う。派生ルートであること、終盤でリーチーなセクションがあること、タルいホールドが終了点クリップまで続いてしまい、イマイチ終わった感じがしないこと(余裕のあるクライマーならドガバだが、限界中の限界なら必死になると思う)がマイナスで四つ星とするが、課題の見た目やロケーション、景色の良さで四つ星とするのではなく、純然たるムーブの濃さで四つ星とするので大変な事態である。最近触った課題と比較すると、プラズマ火球とは同じ4つ星だが、課題の面白さは予感が数段格上だと思う。そして共に登れていない。
(2日目感想)
マスターでRPするつもりが、最終5便目で必死になって完登した。いつぶりか思い出せないが久々のワンテン地獄で、同じところで5回連続でフォールしてしまい、完登時の脳汁の噴出具合が凄まじかった(気持ち良かった)。先週より状態は悪くなっており、第一核心の右手、第一核心後のガバ(右手)、第三核心スタートのガバ(左手)、第三核心の最終ピン上の外傾ガバカチ、の4箇所が顕著だった。最後のガバカチは濡れていると登れないクライマーも多いと思う。左端の少し外傾が抑えられているガバカチにホールドを変更したが、自分の鬼リーチでも遠く、初手の濡れも含めて最終核心は2級くらいの難易度になっていたと思う。乾いていて5.12c、濡れていると5.12dあってもおかしくない。いずれにせよ10月下旬というベストシーズンでこの濡れ具合は驚きで、地球温暖化を感じた。
以下ムーブメモ
3手5級+4手7級+2手4級+1手6級+5手3級=5.12c/d
⑧夢を見る頃(5.11a/b)★★
1日1便×
右手縦ホールド、側対で上部のガバ。マントル。
⑩入梅(5.11a)☆
2024/10/20 2日2便RP
手が悴んでしまい、テンションしようか悩んだ。意地とプライドで完登したけど、そもそも5.11aは普通に落ちれるグレードなんだと思い出した。ボルダー課題なら尚更だ。核心を超えた先の乗越しも手順に気をつける必要があり、緊張感があった。少なくとも星がつかないことはないのではなかろうか。
以下ムーブメモ
4級+7級=5.11a
右側のボルトからスタート。
⑪緋牡丹博徒(5.12a→5.11c)☆
2020/05/24 3便RP
3級のボルダー課題。乗越しは右寄りに登るとすぐにガバだが、手順を間違えて左寄りに登ってしまい、終了点間際でドカ落ちしてしまった。止めてくれたビレイヤーに感謝。
以下ムーブメモ
左手ガバ、右手リップ間際のカチ、左手適当にスローパー、右手(左手だっけ?)ガバ、ドガバを右手。5手3級。
⑭パスファインダー(5.11b/c→5.11a/b)★★★☆
2019/05/25 2便RP
文句のつけようがない名作。レストポイントがあり、核心が最上部にあり、終了点で両手を離せ、かつ見晴らしがよい。トポでは右上、直上のラインのように説明されているが、現在は左上が主流でありチョーク跡もそのラインしかついていない。直上の場合はたぶん5.11cくらいだと思う。
追記:直登してみた。最後のクリップに使うガバより左側は限定とした。真上の縦ガバを右手ではなく左手で取りに行くのが厳しい。そこから上はパツパツで、ランナウトもあって緊張感がある。直登の場合は5.10b+6級+5級=5.11b/cでグレーディングは妥当だと思う。上部に行くにつれ難しくなり、単なるバリエーション、オリジナルとしての価値以上のものを感じた。
以下ムーブメモ
核心部(6級)はややレイバック気味に体を起こし、右足を上のスタンスにあげる。起点となる左足は顕著なスタンスがある。
⑮ルート名不明(5.12c/d→5.12b/c)☆☆☆
2020/05/29 2日8便RP
名前と星がついていないことが不遇の隠れ名作。ルート名は「名無し」だとか「打ちっぱなし」だとか言われている。超有名ルートの隣にあることもあって、取りついている人は多いように思う。内容も非常に濃く、3級ボルダーからレストを挟んで2級のボルダーへという構成。レストがあるのがよく、核心の手数が多いのもよく、下部核心より上部核心の方が強度が高く手数が多いのもよい。一番最後のゴール取りがほぼ確実にこなせてしまうのが残念だが(ハードなら4つ星)、それでも3つ星と胸張っていえるルートだと思う。今回、1便出すごとに1手ずつ進み、最終便で登ることができた。5便目で4手進み、それがちょうど最後の核心の1手だった。こんなクライミングはなかなかなく、喜びもひとしおだった。2日程度なので5日かかる課題の嬉しさには及ばないが、ムーブを都度調整し、その日の最大の力で登ることができる課題が充実する課題であり、グレードはあまり関係ないことを改めて認識した。なお、クライミング史上最大に指先の痛みを感じるルートだった。
以下ムーブメモ
出だしは左上にガバアンダーがある。縦カチに左手デッド、右手横カチ、カチに左手デッド(右足をあげすぎない)、右足をあげる、左上のガバに右手デッド、左手マッチ。5手3級。レスト(右側の棚ガバは直下のスタンスが乏しくレストには使えない。)。縦カチを右手、アンダーに左手飛ばし(体がぶれる)、左上の斜めガバカチに左手デッド、すぐ上の平行カチに左手デッド、棚左側の三角ガバに右手デッド、足をあげて、縦ピンチガバに左手デッド(足を正対でなく側対(左足キョン)にするのがコツ)。足をあげて右手ガバアンダーで終了点へ右手デッド。8手2級。3級+2級=5.12b/c
東の石門
②大いなる山の日々(5.11a→5.10d)★★★
2023/11/05 1便OS
どっかぶりの爽快ルート。ライン取りがイマイチで前後に比べて強度高めの核心があり、2つ星クラスだと思うが、5.10台と考えると有り得ないくらいの傾斜を楽しめるので3つ星で据え置きとする。ハマり始めたフリークライミングが益々楽しくなってしまう課題。
④祝30万km(5.11d→5.11c)☆
2024/05/06 1便MOS
気合を入れてオンサイトした。直近でオンサイトできた障子岩のラップと比較して、ワングレード落としておく。自分の体感だと、出だしの強傾斜を超えて2ピン目クリップするまでが一番強度を感じた。オンサイトなので最適ムーブは他にあると思うし、打ち込んだ課題しか正確なグレーディングはできないと思うが、オンサイトの体感グレードだったり、レッドポイントの体感グレードだったり、ホールドが欠けた後の体感グレードだったり、あるクライマーがある時点において所定の便数で完登した時に思うグレード感というのは、一応記録する価値があると思う。
ルートは傾斜があるもののステミングが可能な箇所が多く、完全な真っ向勝負から逃げら
れてしまうのが残念だった。最後も完璧なゴールガバがなかった。
以下ムーブメモ
4級+4級=5.11c(自信なし)
南国エリア
②いろはにほへと(5.11c/d)
1日1便×
のっぺらぼう4トライの後、エリア移動をして4時間くらい休んでトライしたが、核心はどうにもならなかった。
⑨とうりゃんせ(5.10c)★→星なし
2024/05/05 1便MOS
1箇所が難しい。5級で直ちに5.10cのグレードがつくというほどではないが、ランナウトやクリップの難しさも相まって、限界グレードのクライマーにオススメできる課題ではない。打ち込んで通いこめば5.10cの範囲内に収まると思うが、オンサイトグレードというよりは、レッドポイントグレードという表現がしっくりくると思う。核心において星1つだと思うが、危険性やルートスケールに対する密度の薄さから星はなしとする。城山のファンタジーランド(5.10b)を彷彿とさせる課題。
ヘルケイブ
④ラ・ロール・エ・ル・もどき(5.12d→5.12c?)★★★
1日2便×
ケイブから抜け口にトラベースする際の景色が最高で、城ケ崎のサーカスを彷彿とさせる。クライミングは基本的に上に登っていくので、景色を楽しむのは終了点に立ってからがほとんどだ。なのでトラバースと絶景が組み合わされた課題なら、それはもう三つ星確定だろう。核心ムーブも特別に面白く、下部から強度があってレストポイントも設置されている。ストレニュアスさ全開だ。欠点を挙げるとするならばホールディングに工夫の余地があまりなく、単純に横リーチで難易度が激変してしまう課題かもしれない。自分にとっては5.12cか?
上部は難しめの2級くらいで、死ぬほどレストできるのでグレードには影響しないと思う。最初は面食らって2段くらいかと思ったけど、youtube見たら一発でできた。私より強いクライマーが敗退している姿を見たこともあり、初便で回収しようか迷ったけど、諦めなくてよかった。まだまだムーブの引き出しが少ない。
上部核心の詳細はキープメモ参照。
⑤正対引きつけ師(5.12c→5.12b)★★★→☆
2023/11/23 2便RP
三つ星かつ辛いエリアということで覚悟して取り付いたが、拍子抜けというか残念に感じた。まず、4ピン目から核心部なわけだが、そこまでが簡単すぎる。5.10dくらい。等しい強度が続くルンルンしんすけと比べるとどうしても見劣りしてしまう。核心部は2級くらいで、核心の導入部分までアプローチと考えると5.11bからの3級といった印象。そう書くと良い課題に見えるが、核心部が突出して難しいので、2級のボルダリングとした方が個人的にはしっくりする。そうするとやはり5.10d+2級となってしまい、下部がアプローチにしかならない。核心の先はルンルンしんすけと合流してしまった。本来は限定して直上するべきなのだろうが、あまりにも右ルートと近いのでインチキしてしまった。蜘蛛の糸でもインチキしたのでクライマーとしての精神性が低いと思われそうだが、私に言わせれば課題の方に問題がある。正確には課題ではなく岩の形状に問題がある。なので、初登者に敬意を払っていないとか言われそうだが、自分の登りたいラインで登らせてもらった。それだと「お前が登ったのは「正対引きつけ師」ではない」とか言われそうだが、課題名は、ただのアイコンでしかないと思う。本当は「No.129」とか「右ルート」とかでもいいと思うが、便宜的に特徴的な名称をつけているだけという認識だ。そこで新たに課題名とかつけてしまって、それが広まったりしてしまうと、もう収集つかなくなると思う。クライミングの情報なんて伝言ゲームがほとんどだと思うので、間違った風に伝わる可能性もあるし、限定ルートなんて間違って伝わった情報の方が多いとも思う。つまり、岩があって、ボルトがあるならば、それを改変することはもはや不可能(してはいけない)なので、せめて登り方くらいは自由に決めていいのではないだろうか。それも強制されてしまうのはフリーじゃないと思うし、所詮それまでの岩だった、ということだと思う。本当の名課題とは、限定だとかの文句を言われる余地もなく、誰もが自由に登れ、かつライン取りに大きな差異がなく、さらにムーブが人それぞれ多様であるものだ。
これに加えて、直登ラインにはラ・ローズがある。正対引きつけ師はルンルンに合流して終了、ラ・ローズはちゃんとトラバースして、ちゃんと上部も登る。それでも大レストできてしまうので上部の存在意義が疑われるが、ラ・ローズならトラバースして自然な形で大レストに入れるし、クライムダウンしない限りは両手を離せないので、まあ上もちゃんと登るか、と思った。逆に、引きつけ師はルンルンに行ってしまうと両手を離せてしまい、もうこれ以上登る気は起きなかった。一応、ルート整理の一つの方法として整合性があると思うのだが、どうだろうか。
以下ムーブメモ
4ピン目からトラバーススタート。両手甘めのガバから右手をスロットカチ(左下と右上があるが右上が良い)で、左足を顕著な突起に残して(要リーチ)そのまま左足を伸ばしきったような状態で棚に左手デッド、マッチした後右面の限定ホールドを右手で保持して、しんすけの終了点にエスケープ。9手2級。(実質7手?)
5.10d+2級=5.12b
核心はリーチで大きく難易度が変わると思う。
⑥ルンルンしんすけ(5.12b)★☆☆☆
2023/11/23 3日8便RP
有笠シーズンも終盤、当初はちっぽけ岩でエンクラする予定だったが、パートナーの意見も考慮してヘルケイブに赴いた。ヘルケイブは3年半ぶりで、嫌なイメージがあった。当時5.12cが限界グレードの自分は、有笠合宿で5.12を持ち帰ることが目標だった。その前年の青巌峡ツアーでは目標としていた天国列車を持ち帰ることができ、いろいろ辛い思いはしたけれど、目標を達成するというのはそれだけでネガティブなイメージや記憶を払拭するだけのパワーがあると思った。しかし、有笠合宿では狙いの課題を落とすことができなかった。それがルンルンしんすけである。ブラストオフを狙っていれば可能性はあったと思うので、目標設定を誤ってしまった。さらにその当時、シーズン内に登れそうな課題が登れないという経験をしたことがなかった。頑張れば報われたし、通って落として、グレード更新して、という流れが続いていたのがとても楽しかった。それが、通って何とか落とせてもグレードは変わらず、パートナーを次週も確保できるか不安を抱えながらRPというのが増えてきた。そしてついに、シーズン内では手の届かない課題に直面し、短期間では実力が伸びなくなり、パートナーを確保できず登れそうなのにエリアに行けない、というパターンが増えてきた。歴の長いクライマーならあるあるというか、むしろこれが通常営業だと思うが、当時の自分には経験がなく辛かった。
そんなこんなで3年半、行こうと思えば行けたのかもしれないが、たぶん行きたくなかったのだと思う。久々に再開したルンルンしんすけは、2便で登ることができた。それも結構ギリギリのクライミングでの完登である。日数便数に関わらず、限界ギリギリのクライミングができるのはとても充実感がある。そして、終了点に立った時、自分が想像もしていなかった嬉しい感情が込み上げた。やっぱり、宿題というのは心のどこかに残っていて、苦労した記憶があって、それでも目標を達成できなかった悔しさがあって、それが完登を機にタイムカプセルのように思い起こされるのだ。うまくいかない出来事は世の中にたくさんあると思うが、岩という不変な物体を、岩を登ることを通して過去の自分と対面できる物事はロッククライミング以外には少ないように思う。クライミングを続けていてよかった。
ルンルンしんすけは、全体を通して均一に難しく、終了点直下で落とされるという、私が理想とする課題である。これぞリードクライミングといった趣きで、ボルダラーあがりのクライマーは苦戦するのではないだろうか。5つ星にしなかったのは、ルートの格というか、自分でも言語化できないが課題名の華々しさや岩自体の美しさ、景色の画角(振り返ると絶景なのか、ムーブ中に自然と景色が目に入ってくるのか)など最後のひと押しが足りていないように感じた。でも、人によっては十分5つ星に感じる要素があると思うし、ヘルケイブ最高傑作であることは間違いない。
5級+5級+5級+4級=5.12b
⑧Blast-off(5.12a)★★★
1日2便×
出だしは左手アンダーで右手を飛ばすと解決できる。4級?中間部は右手をガストンで取りにいく。
⑨寝ぼすけクラック(5.10c)☆☆
2020/05/04 1便MOS
出だしのクラックから縦ホールドを利用しながら登る課題。最後まで縦ホールドが多く、腕がパンプする。終了点は気持ちの良いガバだが、終了点ロープが長いせいで事前にクリップが出来てしまう。終了点ガバを持たなければクリップできない仕様だったならば、星3つかもしれない。最後が難しいのがgood!
アドベンチャーランド
①力王(5.11b→5.10d)☆☆
2020/05/05 1便MOS
出だしはチムニー登り。上部は悪いホールドが続くが、中間部から上部がライン取り不明な感がある。中間で完全レストが出来てしまうこともあり、星はつけにくい。
再登:出だしのクラックで落ちそうになった。4級くらいに感じたので、ムーブを最適化して5級くらいの難易度があるかもしれない。中間部から上部は、左上の棚に乗り上げることができるし、ステミングで直登することもできる。最後は、ホールドが悪く、向きも悪く、こちらも5級くらいに感じた。
再々登:核心で落ちてしまった。核心は5級くらいか。5.11aにするには甘い気もするが、やもめの日々よりは難しいと思う。ハンドジャム、ガストン、ワイド登りのスキルが求められ、星2つくらいの面白さ。上部は6級に感じた。やもめの日々は3つ星。
以下ムーブメモ
出だしは右手ハンドジャム、左手カンテ左のカチでガストン、後は体をもじもじさせればリップのガバを掴める。
②冒険大賞(5.12d→5.12b?)☆
1日1便×
右手アンダー、左手縦ガバ(わかりにくい、縦に効かすのが大事)、右足トゥ、右手薄縦カチ、左手ガバへデッド、右手縦ミニカンテミニガバ、左足リップで左手終了点右奥にデッド(そこまでクリップ不能)
上部は2級くらい?
③探検隊(5.12a→5.11d)★☆
2022/05/15 2便RP
トポだと左の壁は使わない、と書いてあるが正確には右の壁は使わないの意。何が右の壁かは、それぞれの判断で良いと思う。最上部が核心だが、クラック沿いに直登しようとすると、全くの不可能で、初段~二段くらいあるかもしれない。右はボルトより右側で、オンサイトだと情報がないとそちらに行こうとは思わないだろう。内容は、5.10dの下部から、右の岩を全て限定すると、5級のボルダー、続いて4級のボルダーとなる。城山のフェイトっぽくて面白い課題だが、限定があるので星2つとする。
以下ムーブメモ
右手アンダー、左手外傾ガバ、右手マッチ、左足を左側のスタンスに踏んで、立ちこむようにして左手ミニ穴ガバ(じわじわ進む、つらい)。3手4級。
追記:
直登ラインのムーブが完成し、3級くらいに感じた。不可能に感じた時は、クラック左下のガバカチを発見できなかったのだと思う。繋げてみると、内引きの縦ホールドが4連続くらい続いて、コンプレッション気味にせり上がるのが面白かった。最後の1手がガバ取りというのもスポーティーで、ガバまでの距離感と足位置によるデッドの不安定感が絶妙だった。ボルダーとして考えると3つ星あると思う。以前登った右回りのラインは自分の体感だと4級だが、中間のボテ取りが要リーチで、小柄なクライマーは直登した方が楽かもしれない。さらに、直登と異なりクリップができないので、ランナウト&振られの恐怖と戦うことになる。直登は5.12-、右回りは5.11dに感じた。直登は完登していないので、機会があればグレーディングしてみたい。
以下ムーブメモ
直登:5.10d+5級+3級=5.12a~b?
右回り:5.10d+5級+4級=5.11d
※5級は右の岩を完全に限定した時のグレーディング(たぶん)。
④感謝の心(5.12a→5.11d)★☆☆
2020/05/05 3便RP
遠征で5.12台の成果が一つも無いなか最終日を迎え、失意の中偶然発見してRP出来た課題。個人的には1グレードダウンが適正だが、難しいとの評判もあり、成果が出たことが嬉しかった。
最初のランジは人によっては2級あると思うし、逆に地ジャンできる人もいるらしい。私は真ん中の核心が一番難しく感じたが、リーチの短い人の場合は最後をガバポケットから取りに行くと命中率が低くなり難易度が上がる。そうするとさらにグレードがあがり5.12aで適正となるだろう。私の場合は最後が簡単だったわけだが、最後が一番難しく感じたら星4つクラスの課題に感じたかもしれない。だがそれを差し引いても、どの動きも私にとってはパツパツで、ダイナミックなデッドが連発してとても楽しかった。
以下ムーブメモ
出だしは右足をポケット気味の窪んだホールドに踏み込み、右手デッド(1手、3級。足は切れなかった。)ガバから左足ヒールで左手ガバ、左側の大ガバは経由せず、右側の斜めガバを右手、左手でマッチ、右側の大ガバに右手デッド(4手、5級)。足を踏み込んで一番上のカチに左手デッド、右手マッチ、左手縦ガバ、上部のガバ地帯に右手デッド(4手、5級)。レストして、左上ガバポケットは無視して右上ガバカチに右手デッド、ガバポケットを左手、上部のガバを右手(3手、5級)。体感グレードは5級+5級+5級=5.11c、下部からで3級+5.11c=5.11dとしたい。
⑤海賊船(5.13a→5.12c)★★★→☆☆
2023/11/11 2日4便RP
のっぺらぼうに完全敗北し、1便でヌンチャクを回収してしまったのでアドベンチャーに移動してトライしてみると、3便で登れてしまった。仕事や家庭がうまくいかず、これに加えクライミング(のっぺらぼう)もうまくいかず、前日にキレ食いを初体験。そこからの5.13aRPは意外過ぎる結果で、生きていれば、たまには良いこともあるな、と思った。グレードについて、実際5.12bがいい線だと思うが、仕事で傷ついた自尊心を保つためにも5.12cで留めておく。星について、見た目、ロケーション、高度感の三拍子が揃った神課題だと思うが、下部の感謝の心を登るのが面倒くさすぎる(めんどくさすぎて、再登した次の便はフィックスでA0登高してしまった。)。感謝の心の方が課題構成は良質だと思うので、対比の意味も込めて2つ星にする。
以下ムーブメモ
ガバからの足ブラ左ヒールフックで左手縦ガバ、右手中継してポッケで左手中継してポッケ、右手ガバにデッド(6手2級)。クリップを頑張る。
左足をハング面のスタンスに踏んで左手ガバクロス、持ち感を調整して右足顕著なスタンスで右手ガバにデッド(2手5級)。5級だが手数が少ないので3~4級ボルダー程度の強度があり、十分落ちれる、というか落ちた。そこからはガバの連続だが、とにかく傾斜がキツイ。全体的に距離出しも必要で、リーチがないと2級核心後のクリップが厳しくなると思うので、5.13aに感じるクライマーも少なくないと思う。自分の体感として、5級核心後のガバガバリーチセクションが6級、最後のトラバースマントリングが7級としておく。
2級+5級+6級+7級=5.12c
⑥疾風(5.11b)★☆
2019/05/26 1便OS
一手モノのランジ課題だが、これだけ低グレードでランジを楽しめるのは希少性が高いため、星を2つつけた。ランジは4級くらい。そのほか、縦に走るクラックに左手を差し込んで右上気味にスタティックに登るやり方もあるようだが、ボルトの位置から考えても、ランジが正統ムーブだと思う。今まで、外岩は特にオブザベなど何の意味もないというか触ってみないとわからんわ、と思っていたが、この課題については完璧に自分の予想したムーブがハマり、オンサイトって面白いな、と思った。外岩の経験値がだいぶ溜まっていたのだと思う。平山ユージのホワイトゾンビの記事を読んだ後だったので、オブザベしてオンサイトトライという妄想が少し現実に近づいたのを感じた。なお、上部は凹角を直上と右回りの2通りがある。直上より右回りの方が難しいが、一度完全に休めるのでグレードはどちらでも変わらないだろう。一応右回りの方が設定だと思うが、途中で休まず右回りを選択すると最後まで充実する。
⑦野人(5.13a→5.12d)☆☆
2023/11/18 1日4便RP
出だしが悪すぎて絶望した課題。2便目に強引すぎるムーブで解決し、それが馴染んできてワンデイできてしまった。のっぺらぼうは2日で登れると勘違いして7日かけて登れなかったが、スタートで敗退すると思った課題がワンデイできたり、クライミングはわからないものだ。何はともあれ、野人は自分にできる限界ギリギリのクライミングで完登することができた。デイツーだと余裕も持って完登できたと思うので、自分の求めるクライミングを実現できて嬉しかった。もちろん、5.13の数字がついた課題ということもある。人生、うまくいったり、うまくいかなかったり。でも、結果が良くても悪くても、結局頑張り続けるしかないのかもしれない。
課題構成としては、リーチ―な出だし核心から手数の多い立体的な核心、レストを挟んで小ハング越えといった内容である。最後の最後も6級くらいあり、ヨレているとレストに余念がなく、気が抜けない。フレッシュな状態なら、実質、出だしと序盤の2つの核心をこなせるかどうかが完登の成否を分けると思う。中間部の小ハング越えは、当初2本指ポッケを使った3級くらいのムーブでバラしていたが、左に迂回して登ることで5級くらいになってしまった。序盤の核心でもこの傾向があり、右に迂回しながら解決することで易しくなった。左右のルートのグレードが低いと、どうしてもそちらの方がオリジナルというか、弱点を突いたラインに見えるので、左右のホールドを使ってしまうと登っていて限定を感じてしまう。ライン取り次第で無限に難しくなりそうで、実際5.13クラスの極悪ポッケがあるのに使わないで登ったのが心残りだった。こういう課題は星がつきにくいのかもしれない。
グレードは出だしが2級で核心が1級として5.12dを自分の体感としたい。上部核心は自分のライン取りだと5級くらいで、課題の難しさには影響しないと思う。日数便数的には海賊船が5.12bで野人が5.12cのような気もするが、今後お化け屋敷や冒険大賞、用心棒とグレードのつじつまが合わなくなりそうなのと、自分が強くなっていると信じたいので、甘いエリアということも加味して上記のグレーディングとしておく。
以下ムーブメモ
1ピン目から素直に登ると無事死亡するので、2ピン目左側にあるガバを目指して、真下から直登する。左手アンダー、右手アンダー(1ピン目から登ろうとすると下引きで使う偽ホールド)、左足、右足をあげて白いガバに右手デッド(最終的にスタになった)、足位置を調整して右手ガバを持ち直し、保持感を良くする。右足をあげて上体を起こし、左手マッチ、クリップ(2手2級←御前岩GYA-GYAの下部核心を2級とすると甘いが、疾風のデッドを4級、感謝の心のデッドを3級とすると、野人のデッドは2級くらいの体感だった。)。
右手縦カチにガストン(フロント3で上部に詰める)で左足を左面にあげて左手マッチ(ミドル2、城山スーパーチューズデーに似ており、ここだけで3級くらいの強度)、右手をカンテのガバで左手を4本指に持ち直す、右足をカンテ右側の面に踏んで右手をカンテ奥側のカチ、左足を白いガバにキョンで左手凹角上の縦ガバ、右足をカンテキワに張りあげて左手凹角最上部の縦ドガバ、右足をカンテ右側にヒールでクリップ、右手を遠くにあるやや斜上のガバカチ、左手を少しだけ上にあるガバカチ、右手を右側の縦ピンチで両足をあげて右側にある棚ガバに右手デッド(途中のクリップも含めて11手1級。実質クリップで終了かもしれず、その場合は7手1級)
小ハング越えはボルトの左側にある明瞭なカチと、その右側にある一見タルそうなオープンガバを両手で保持、ラインの左側にある縦ガバカチを左手でデッド、ライン上にある縦ポッケカチを右手デッド、足をあげてガバガバ地帯へ(5手5級。ボルトの右側にある極悪ポッケを使って3級、左側ルートのガバカチを限定すれば1級か?)。
最後はタルいガバを両手で持って終了点左側の棚ガバにデッド(3手6級)
⑩宝捜し(5.10c)★★★→☆☆
2019/05/26 1便MOS
下部のスラブから上部の垂壁まで変化がありつつも気が抜けない。上部の垂壁は2段構成で2段とも直上するのが設定だと思う。1段目は右から回り込んでしまったが、2段目も回り込むと1グレード下がってしまうだろう。同じような強度が続き核心は最上部という素晴らしい課題構成だが、上部のラインに限定を感じるので星を1つ減らした。
⑯やもめの日々(5.10d)★☆
2020/05/05 1便MOS
下部がスラビーで面白い。かつ核心となる。ルートファインディングが必要だが、力でゴリ押しした感が否めない。上部のハングが超簡単でちょっと残念だが、下部だけでも星1つの価値ありだと思う。
(追記)
3年ぶりに登ってみるとバランシーかつパワフルなムーブが面白く、ボルトの位置もスパイシーで2つ星に感じた。悪場も長く、最上部は確かに簡単だが連続性のある良課題だと思う。グレードは5.10cに感じてしまったが、とりあえず据え置きにしておく。
いっぷくエリア
③ぼたもち(5.11a→5.10c)
2022/05/15 1便OS
下部は易しめの5級くらいあって難しかった。上部は快適。
サンダンスエリア
①苔の庭(5.10b)☆☆☆
2023/04/02 1便OS
初登者のイメージもあって一見寝ているスラブに見えるが、登ってみるとしっかりフリーの傾斜を感じる。出だしから難しく、テラスに乗っ越してからも終了点手前まで易しくならない。縦ホールドが多い印象で、緊張感のあるバランシーな動きが連続し、後半はランナウトが良いスパイスとなっている。私の実力で面白く感じたので、おそらく3つ星あるのではないだろうか。
⑤若緑(5.11/d)★★
2023/04/02 1便MOS
2~3ピン目あたりが難しく感じた。かなりの覚悟を持って取り組んだが、最終セクションがあっけなく感じたので星2つ据え置きとする。マントルできそうだったが、終了点の雰囲気的にやめてしまった。あのチェーンが垂れ下がったタイプ、あんまり好きじゃないなあ。普通にハンガーボルトかケミカル2つを打ち込むのではダメなのだろうか。チェーンの必要性が今一つ謎である(懸垂するなら、わかる。)。
⑩ビッグプレゼント(5.12b)★★★☆☆
2023/11/26 2日5便RP
普段はルートにおけるボルダー要素を分解して整理するのが趣味な人生だが、この課題は分解できなかった。便数を重ねればできると思うが、そんな行為は無粋に感じてしまうほど、一つのルートとしての完成度が高すぎる。あえて整理すると5~6級くらいのムーブが一貫して続いている印象。それも等間隔に続くというよりは、手数の短い5級だったり、手数の長い6級だったりで、強度にムラがありつつも実現不可能ではないホールドの配置に驚嘆してしまう。レストポイントも期待していたほど休める箇所が一切なく、ルートクライミングここに極まれり、といった趣きだ。トドメは終了点を抜けた先にある景色。樹林帯が成長して若干森の中な感があるが、落ち着ける終了点に広がる景色のすばらしさは間違いなく5つ星のそれだと思う。日本を代表する5.12。
偏屈岩
[1F]
⑧掟破り(5.11a)★★★→☆☆
2019/11/03 1便MOS
下部核心の課題。核心部は5級くらいに感じた。核心を越えるとレストができる。レストは突き出た岩に足をうまく乗せればノーハンドで休めるようだ。そこから先は容易だが、ホールドを知っていないと厳しいと思う。かなりの点数の高い課題だが、上部がいまひとつなので星2つとする。
⑨低姿勢(5.11b)★★★→☆☆
2019/11/03 1便OS
こちらも下部核心で、中間部で休め、上部が簡単な課題。しかしながら、下部、上部ともに1ランク上の内容で、1グレードの差は確実にあるだろう。下部の左のカンテへトラバースして上方のガバを掴む箇所が核心(4級)。カンテのカチホールドが見えにくく、オンサイトが厳しい。そこから上のレストポイントに至るまでがやや3次元的で面白く、総合的に見ても⑧掟破りより面白い課題といえる。上部の内容もこちらの方が確かに面白いがムーブを感じさせるには至らず、同じく星2つとする。
⑩金庫破り(5.12a)☆☆?
1日1便×
ルーフまでが推定4級。ルーフ越えは容易。マントルが推定2級。
⑪八方美人(5.12a)★★★
2日2便×
星3つは確か。スラビーに見えるが傾斜がある。
(追記)
4年ぶりにトライ。ヨレのせいか、上部核心はどうにもならなかった。4年前はハングで落ちていた気がするので、ハングを超えて傾斜が変わるセクションで落ちたのが成果。
⑫棚からぼた餅(5.11b)★★→星なし
1日1便×
星なしをつけるのは相当珍しいが、たぶん妥当だと思う。下部は極悪のカチが出現して明確な核心らしさがあるが、ライン取り次第で左に逃げられるのでモヤっとする。そこから2Fに一度立ち上がってしまうのも残念だ。上部で落ちてしまったが、変にライン取りを意識してしまって、カンテをフル活用すれば登れたのかもしれない。この辺りのムーブは悔しいが面白いと言わざるを得ない。星1つクラスの課題だと思うが、下部、中間部のパートで減点して星はつけないことにする。グレードは5.11-相当の難しさはあり、持久力というよりはボルダー力を試される課題だと思う。
[2F]
⑰リスのえさ箱(5.10c→5.10b)★★
2019/11/03 1便MOS
下部核心。ホールドを知らないと危険。ゴミカチでヌン掛けしたが、限界グレードの場合は不可能なので、もう少し上に登る必要があり、リスクを伴う。上部は夢にまで見たガバでハング越えができる。星1つにしようかと思ったが、5.10bと考えれば貴重なハング越え体験課題だと思う。
⑲有笠2000(5.10d→5.10c)★★→☆
2019/11/03 1便MOS
掟破りや低姿勢を登ったときも思ったが、オンサイトでここまで限界グレードと開きがあると、正確な面白さやグレードを図ることはできないのかもしれない。縦ホールドが多く、側対を多用する自分好みの課題。最後は右に逃げてしまったが、直登すると5.10dかもしれない。やや単調なため星1つとする。
㉔有笠登頂888(5.8)
2019/11/03 1便OS
下部を直登すると面白いと思う。アルパインチックな課題。
奥壁
釣り師(5.10c→5.11a?)☆☆
1日1便×
のっぺらぼう(5.13a→5.13b)★★★★☆
2024/05/04 8日24便RP
3級くらいの核心が5連続する、四つ星課題。城山のポコチン大魔王が3級3連続で5.12d(体感5.12c)なので、3級5連続でワングレード差の5.13aというのは無理があると思う。3級3連続目まではノーレストで、そこまでで5.12dくらいに感じた。そこからレストを挟んで4つ目の核心が難しく、ポケット取りが運ゲーになってしまう。最終的には確率が高くなる良いムーブを組み立てることができたが、5分の4までで5.13a/b、大レストを挟んで最後の手数の長い核心でダメ出しの5.13bでどうだろうか。
のっぺらぼうは傾斜が切り替わる上部壁でカンテに隣接する。大抵どんな課題でもカンテを使うか使わないかでグレードが変わる傾向があり、あのエクセレントパワーでさえカンテが限定されていて、そのせいで無味乾燥な議論(カンテはダメだけどカンテの手前はOK、あるいはカンテ周辺は全部ダメでレストせずに突っ込め、など)が交わされてしまうのは大変嘆かわしいことである。これらの限定問題で一番の課題は、正確な情報がなく口伝で好き勝手に噂が広まっていることである。その点、のっぺらぼうはカンテを使って構わないというのがトポで明記されているので、余計な議論を生む余地がなく素晴らしい。さらに、カンテを使って登ろうとすると逆に難しくなってしまい、少なくとも簡単にはならないのも高得点だ。ただ、自分は左足をカンテにヒールしてレストしてしまい、おそらくカンテが限定云々は最上部の核心のことを指していると思うので、なんとなくインチキしてしまった気もしないではない。
それらを差し引いても、日本最高峰の課題であることに疑いはない。そう思わせるほどに自分の実力と完登に必要な実力が拮抗していた。心技体をフルに発揮して戦い、勝利した感覚、余韻がいつまでも体に残っている。天然記念物と比較すると、天然の方が難しいと思う。天然は何で登れたのかいまだによくわかっていない。シンデレラとのっぺらは、確かに登れるだろうという確信があった。天然は嬉しすぎて絶叫したり、何なら少し泣いた気もするけど、のっぺらはいつも通りの雄たけびだったと思う。それでも今までにない充実を感じたのは、4つ目の核心、ポケット取りのせいだと思う。昨シーズンはポケット取りに一回成功したものの、そこから鬼の7連続フォールをかましてしまい、精神が崩壊してしまった。ポケット取りに成功するとレストがあり、ゴールまであと2手まで迫っていたが、その後は何回狙っても外してしまい、ついにはポケットにエイムする前に足をスリップしまくるなど、まるでお化けに化かされたかのようだった(パートナー談)。半年後、そのトラウマを単なる実力向上だけでなく、ムーブの改良によって克服できたことで、天然記念物を超える充実感を味わえたのだと思う。“できなかったことができるようになる”というクライミングの本質を極限まで表現することができた。
天然とのっぺらを完登したことで、自分の中で大きな一区切りがついたと思っている。個人的には両者は5.13b(天然に至っては5.13b/cと主張したいくらい)だが、トポでは5.13aで、長いことグレードが停滞しているともいえる。加えて、ワングレードあげる大変さを嫌というほど経験しており、目の前に限界という名の壁が常に立ちはだかっていて、もがき苦しんでいるストレスがあるような気がする。それでも完登したら、また新たな課題を探し、ネットで情報収集してしまう。クライミングに限らず、計画している段階が一番楽しいのかもしれない。一方で、今後限界を超えていけるのか、不安というよりはやるせなさ、あきらめに近い感情もある。だが、どのように感じていても、自分はクライミングを続けていくと思う。怪我して、パキって、肉離れして、腱板断裂しても、たぶん続けるだろう。そして、遠い未来、ついに引退を決める時、天然記念物とのっぺらぼうを完登できたことを、生涯誇りに思い、懐かしむのだろう。
以下ムーブメモ
3級+3級+3級+3級+3級=5.13b(レストあり)
ジ・アーチ
①右向け左(5.10d→5.10b)☆☆☆
2020/05/02 1便OS
ほどよい強度が等しく続き、最後がやや難しい。右寄りに進みがちだが、左寄りに登った方が楽なのがルート名の由来だと思う。てっぺんの景色はとてもよく、有笠の中では長いアプローチを苦労して登った甲斐があるといえる。ルートファインディング能力も必要。
追記:限界グレードのクライマーのトライを見る限り、途中で右に逃げてレスト、左に復帰して核心という構成のようだ。左寄りに登った方が楽に感じたのは、左側の岩をスタンスとして使ったからだと思う。
②大盛の男(5.10d→5.10c)☆
2020/05/30 1便MOS
左のルートに比べてホールドが細かく、ムーブを感じさせる動きがときたまある。全体的に断続的な印象だったため、星1つとした。
追記:3年ぶりに登ってみると、めちゃくちゃ楽しかった。豪快なガバトラバースから細かいフェースに切り替わるのがメリハリがあってよい。2つ星クラスだが、ルートが断続的なので総合的に考えると星1つが妥当か。パートナーのトップロープ作成便の際は面白さを感じなかったが、天然記念物を登った直後に連登してみると疲れのせいでギリギリのトライになり、パッとしないルートの印象がガラリと変化したのが面白かった。
③横綱(5.11d→5.11b)☆
2020/05/02 2便RP
豪快なルーフ越えがとても楽しい。下部はアプローチと見せかけて十二分に難しい。マントルを返すのが大変で、下部全体で4級はあるだろう。上部はルート全体のハイライトだがリップが自然に還っておりホールド探しが大変だった。核心はもはや下部の方が難しいと思う。中間部で座って大レストできるので星2つ-1で星1つ。
以下ムーブメモ
いったん左手縦ホールドでヌン掛け&クリップしてからクライムダウン、右手縦ホールドで頑張って足をあげ、リップ右奥のガバを掴む、リップ中央のガバへトラバースし、クリップしてマントルを返す。上部はガバから右手縦ガバ(足をあげれば効くようになる。)、クリップ、左手痛い縦ガバ、右手奥のやや痛い縦ガバ、左手ガバ、右手リップのガバ、左手リップのガバ(6手、4級)。
④へんてこりん(5.13a?)☆☆
1日3便×
天然記念物を超える傾斜を楽しめる。もはやクライムダウン。
出だしは足先行。Youtubeだと最後まで足先行だが、途中で切り替えた方がよいか?右手をカンテ(?)に効かせてくるり。
⑤腸捻転(5.11c→5.11a)☆
2020/05/30 1便RP
乗越しはジムのようなクライミングを堪能できる(6級)。核心は③と共通部分の下部。4級あると思うが、右から巻くことができる。もっと弱いときに取り組みたかった課題。
⑦あっぱれ(5.13c)
⑧天然記念物(5.13a/b→5.13b)★★★☆☆
2024/03/24 11日31便RP
思い出はインスタにいっぱい書いたが、この天然記念物を登る、というのが自分の人生の第3目標になっていたと思う。第1目標は大学受験で、第2目標は大学生活だった。学生当時、卒業後は人生のロスタイムだと思っていて、大学生活で人生終了というか、その後のことは何も考えていなかった。格言で、人生の最後に何か持っていけるのであれば、それは青春であるという言葉があるが、社会人という生き物、生き方を全く理解できておらず、また希望も持っていなかった自分は、とにかく大学生活を充実させるということに自分の全てを投じる所存で、そのために受験勉強を頑張っていた。夢と希望に溢れた大学生活は4年の満期を迎え、定年がいつかもわからない社会人生活が始まり、まだ終わる見込みもない。想定していたより人生は長くて、学生時代の自分の考えなんて全部間違っていたのだと思い知らされるわけだが、何の縁か、クライミングに出会えて、目標とする課題と出会えて、夢が叶って、良かった。この夢が叶うというのは、インスタのコメントでいただいた言葉なのだが、確かに自分にとっては夢だったのだと思う。目標を達成するというのは、短期的で種類を選ばなければ、容易に可能だと思う(〇〇検定の〇級など。)。ただ、それが単なる目標なのか、それとも、夢と形容できるほど熱量を込められるのかというと、前者がほとんどだと思う。社会人になっても、学生みたいに無心で熱中できる遊びに、天然記念物という課題に、出会えて本当に良かった。
そういうことで、面白さはもはや7つ星課題だが、岩の脆さでマイナス1、ラインの限定感(登っていて気になることはないが、途中で無理やりトップアウトできる箇所がたくさんあり、あっぱれとの分岐で右の壁に逃げると大レスト可能な点。自分は大レストした。)でマイナス1で5つ星。どうにか私の☆基準内に収まってくれた。
以下ムーブメモ
1級+5級+4級+1級+3級+5級=5.13b
⑨みかけだおし(5.11c)☆☆☆☆
2020/05/31 2便RP
かぶりを豪快に登る名作。スタートから見上げると⑧と双璧をなすように見えるが、⑨の方が易しい。だが内容は面白く、5級程度のダイナミックムーブから始まり、中間部をレストを挟みつつグイグイ登り、消耗した後に最後の乗越しで落とされてしまう。イレブン台でこの傾斜は類を見ないほどだ。
5級+5級+6級=5.11c
⑩大喰王(5.11b→5.10d)☆☆
2020/05/02 1便MOS
中間部右よりのアンダーを使ってノーハンドレストできるらしい。内容は面白く、トップアウトしたときの爽快感が素晴らしいが、およそ2箇所大レストポイントがあり断続的なため星2つに留める。
⑪穴弾力(5.11d→5.12b)☆☆
2024/11/04 4日10便MRP
(個人的体感の)5.12台としては、初のマスターでのRP。とはいえ、クライムダウンして座って休んだので、普通のRPとほぼ大差ない。天然記念物のビレイをしにいった2020年の春から宿題になっていて、去年の春の天然記念物敗退日にトライしても登れず、ようやくRPにこぎつけた。流石に余裕だったが、限界グレード5.12cの時に完登できず、5.13aの時でも完登できなかったので、毎度ヨレていた中のトライとはいえ、5.12bくらいあってもいいんじゃないかと思う。
ムーブは、普通にやればランジだが、過去2シーズンのトライでは繋げることができなかった。ホールドはそこまで遠くないのに届かないのだ。謎のクロス3連発ムーブを編み出したがこれが面白く、印象に残った。ムーブの面白さを確かに感じたので2つ星とする。ランジだと1級5.12cかもしれない(できてない。)。
余談
その日はへんてこりんのトライもしていて、結果的には楽勝の完登だったこともあり、穴弾力をトライする意味があったのか?と思ってしまった。へんてこりんは3便出したがホールドやムーブが意味わからな過ぎて、最終便でようやくムーブを起こせたためヨレ果てることができなかった。穴弾力をやらずに4便目を出せばボロ雑巾になれたと思う。登れると分かりきっている課題はトライしない、という考えは、経験を積んだクライマーなら誰しも持っていると思うが、自分はそれでも、完登することにこだわって、グレード関係なくトライし続けたい。やっぱり、登れないことには、登っていないことには、どんな評価や意味付けもできないと思う。
追記
外岩では、ボロ雑巾にならなくてもいいかもしれないと思った。ジムで頑張ってベースアップして、外岩は培った技術を表現する場として楽しむのもアリかも。
以下ムーブメモ
右手ガバをガストン(左手の方がハマるが詰む)、左足キョンで踏み込み(ジャム気味に捻じ込む、下の踏みやすそうで若干欠けてるスタンスではなく、一番上あたりのスタンス)、左手縦ガストン(非常に特徴的、親指以外はジャムっぽく効かせ、親指は下のホールドでつまむ)、右足を側面に張る、左手をクロスで中継しながらガバ、右手をクロスでガバの左のピンチ状ホールド、体勢を上げて右手を右面上部のカチ(わかりにくい)
6手2級